ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

神様に選ばれた試合その1

2016-09-02 09:14:12 | 日記
甲斐さんのお好きな色川武大さんの言葉「9勝6敗を狙え」が
朝日新聞「折々のことば」に取り上げられてました

選者の鷲田清一さんによると…
「高校野球なら、毎試合全力を投入しないと次に残れないが
プロの勝負は通算で決まる
人生も同じで、何もかも上手く行く訳はないから
どこで勝ち、どこで負けるかが肝要となる

そのためには[これを守っていれば勝ち越せる]という
フォームを見つけること
実生活では形勢が読み難いから、余計にフォームが大事になる」と
「うらおもて人生録」に書かれているそうだ

確かに、ずっと勝ち続けることが出来ない以上
勝率を高めるためのノウハウを身につけることは大切でしょう
…が、しかし、大人にも「絶対に負けられない戦い」はあります(笑)

そう、昨夜のW杯アジア最終予選…(泣)
アジア杯に続き、またしてもUAEにヤラレてしまいました(汗)
中継の冒頭からずっと「最終予選の初戦を落としたチームが
W杯出場を果たしたことはない」と
「分…36%、負…0%」なるテロップまで映し出されてたのに…(苦笑)

ともあれ、川平慈英さんを始めとするテレ朝サッカー部は
スポット番組や番宣にも力を入れて
アジア最終予選全面バックアップ体制を敷いてたんだけど

その中でも特に「リオの次はサッカー!」と
数多くのメダリストの皆さんが登場するスポットと
「神様に選ばれた試合」という番組が光ってました

これも最終予選の「前哨戦」よろしく
日本が初めてW杯出場の切符を手にしたアジア第3代表決定戦
「ジョホールバルの歓喜」にスポットを当てたもので

この一戦の立役者・岡野雅行さんと、元日本代表監督の岡田武史さんが
19年ぶりにジョホールバルのピッチに立たれ、当時の裏話をなさってました

その1997年の更に4年前、1993年には
後半ロスタイムにまさかの同点弾を叩き込まれW杯行きを逃した
「ドーハの悲劇」を経験している日本代表

フランス大会予選に挑む思いには並々ならぬものがあったものの
予選第3戦では、残り10分で2ゴールを挙げられ、韓国に2-1で逆転負け
続くカザフスタン戦でも、後半ロスタイムに同点に追いつかれドロー

この試合の4時間後に加茂監督が電撃解任され
急遽、監督経験のない岡田コーチが代表監督に就任

第5戦、第6戦もドローに終わり
不甲斐ない試合内容に怒ったサポーターが
キング・カズ選手に生卵を投げつける事態にまで発展
しかし、残り2戦に勝利した日本は
イランと第3代表をかけて戦うことに…

その決戦の地、マレーシアのジョホールバルには
2万人の日本人サポーターが集結し
まるで、ホームのような様相を呈していたらしく

中山雅史さんは「スタジアムに到着した途端、日本人だらけで異様な雰囲気
何としても勝たないといけないと思った」そうだけど

岡田監督は、スタンドに詰めかけた日本人サポーターが
「神様、仏様、岡田様」と書かれた横断幕を掲げているのをご覧になって
「勘弁してくれよ、プレッシャーかけんなよ(笑)」と思われたんだとか…(笑)

この試合の前夜、岡田監督はご自宅に電話をかけられ
「明日、勝てなかったら日本に帰れない
家族で外国に住むことになる」と覚悟のほどを語られたという

ちなみに、この試合の平均視聴率は、47.9%だったらしい
約2人に1人が戦況を見つめておられたってことですね

前半39分に「ゴンゴール」が決まると、実況アナが
「フランスに一歩、フランスに一歩、フランスに一歩近づいたー!」と絶叫(笑)

1-0で折り返す際の控え室では
「秋田や井原が声出してて、良い雰囲気だった」と岡田監督
…が、後半開始直後30秒で、ゴール前の井原選手が痛恨のクリアミス(汗)
アジジ選手にシュートを決められ同点に…

岡田監督は「勝ちたいっていうんでガチガチに固くなってた
ナンであんなのが入っちゃうの?(苦笑)」と話され

名波浩さんは「ずっとそういった失点が多かったから
また…という気持ちがした」と振り返っておられました

後半3分、奈良橋選手からのクロスを
中央に折り返したかのように見えた中山さんの「パス」は
「実は、ゴールを狙いに行った(笑)
貰った!と思って焦った気のはやり」だったり

7分のFKのチャンスは、カズさんが直接ゴールを狙うも
枠を捕らえ切れなかったり…と得点には繋がらず
13分、アリ・ダエイ選手にシュートを決められ、逆転を許してしまう

岡田監督いわく…完全にヤバイ!あんな無抵抗な失点の仕方は
一人一人がボーッとしてた集中力を欠いた失点の仕方だよ

試合の残り時間が30分になったところで
監督は「選手達の目をピッと覚まさせ
メンタリティを持ち上げるためには
何かショックを与えなければならない」と考えられ
カズさんとゴンさん、2枚のFWを同時に交代させることに…

通常なら、まず城選手を投入し
呂比須選手は、2枚目のカードのはずなんだけど
「みんなが[えっ]というような[おっ]と思うようなことで
我に返ってくれることがあるんで…」と監督

ただ、一番驚かれたのはカズさんでしょうね(笑)
予選を通じて、初の途中交代に「俺か?」と
ご自身の胸の辺りを指差され、確認なさってました

監督は「歴代の監督はしなかった、日本のエースだからね
そこまで考える余裕がなかった
チームが勝つためにどうするかしか考えてなかったから

大変なことしちゃったのかな?(笑)と思ったけど
[うん、お前]って言うしかなかった(笑)」と苦笑いなさって

「ヒデ中心のチームだからね
ヒデと一番タイミングや意思の疎通が合ってたのが城だった」
…と、説明されてたんですが

番組の冒頭から「ヒデは別格だった」とか
「技術・戦術眼、フィジカル以上に存在感のある選手」と
当時、若干20歳の若き司令塔を大絶賛でした

それが後の「非情じゃなくて非礼」と言われた
W杯メンバー選出に繋がって行くんですね

それはさておき…この監督の采配がハマり
中田選手からのボールを城選手が決めて、2-2の同点とし
試合は延長戦に突入…この時から延長戦には
「ゴールデンゴール方式」が採用されていて
どちらかのチームが得点した時点で試合は終了

甲斐さんがツアー名に使われていた(笑)いわゆる「サドンデス」というヤツです

チーム一丸となって勝利を掴むため、メンバー全員で円陣を組む際には
栄養士の女性も加わっていたんだとか…

この時、岡田監督は残り1枚の交代カードを使うかどうか
「監督経験がなくて悩んでいた」そうですが
「ヒデが背中を押してくれた
[足の速いヤツを入れた方が良いんじゃないですか?]って言ったんだよ」

それが、もう一人の立役者「野人」岡野選手
足の速さは、Jリーグ屈指…ただ、予選出場はゼロ(笑)

監督は「点を取るための手段は岡野しかなかった」とおっしゃいつつ
「岡野かあ…」と思っておられたらしい(笑)

その時、岡野選手は「ゴール裏でアップしながら、スタッフと喋ってた
[ゴールデンゴール方式]の延長戦って、初めてなんだよね
マジ、怖いですねぇって言った瞬間、岡田さんに呼ばれた(笑)」

「ここは止めときましょう!みたいな(笑)
この場面は余りにも怖くないですか?
初めて出る選手が、あの場面で何かヤラカシたら…(汗)」と岡野さん

中山さんによると「大丈夫かな?っていうくらい、顔がイッちゃってた(笑)
スピードは相当だから、岡野が何かしてくれるだろうと…
何かしてくれましたよね、色んなことを…(笑)」

延長前半2分「何してるか判らない状態の時にチャンスが来た
すぐにこんなチャンスが来て、入れたらスゴイことだなと思いながら
最初なんで思い切り振り抜いておこうとシュートしたら
GKの正面に行ってしまって…(苦笑)」

「あの時は、1発目だから大丈夫!大丈夫!って思ってた
そしたらまたすぐ同じチャンスが来た
さっき外してるから、今回外したら大変なことになる(汗)

でも、今度は(イランの選手が)追いかけて来てて
抜いた瞬間に打てるなと思ったら、その選手が足を滑らせて(笑)

(またGKと1対1になってしまい)…これ外したらマズイなと思った時に
横見たら、ヒデと目が合ったんでパスしたら
まさか(2人の間の)真ん中にDFがいたとは…(苦笑)」

岡田監督は「岡野ならしょうがねぇなと思ったけど(笑)
シュート打って外したなら、まだしも
得意じゃないパスして外すって、冗談じゃねぇ!って
ベンチ飛び出して、かなり酷いこと言ってたよ(笑)」

さらに、味方のシュートのこぼれ球を
ノーマークの上に至近距離にも関わらず「クロスバーの上」に外され(汗)
頭を抱えて身悶える監督が映し出されてました(笑)

名波さんによると「1本目は[イイよ、イイよ、次行こう!]
2本目くらいから[…おい、大丈夫か?]
3本目には[ふざけんな!]って空気が
ピッチの外も中も全部に伝わりました(笑)」

チャンスをいくつも作りながら、決めきれないイヤな展開に
2万人のサポーターが静まりかえり(汗)

岡野さんは「日本に帰って、サッカー続けられないよなと
悪い方向にしか考えられなかった
本当に地獄の中で試合してました
やっぱり日の丸の重みというか…

サッカーやって来た自分を凄く恨みました
サッカー選手になって、こんな思いをして
サッカーをするなんて有り得ないって…」

この試合をご覧になった方はよくご存知でしょうが
ホントに怒りと失望で口もきけないような
重苦しい空気が流れてたんですよね(汗)

でも、延長後半が始まる直前
岡野さんは、城選手や中田選手から
「もっと強気でやってくれ
1点入れてくれればチャラにするから」と声をかけられ
「凄く勇気が出て来たのを覚えてる」と…

ただ、イランは「イエローカード覚悟の危険なタックル」や
「露骨な時間稼ぎ」でPK戦に持ち込もうとする作戦(苦笑)

監督は「あれだけ押しててPK戦になったら
日本の選手は[勿体ない]と思って
イランは[ラッキー]と思う
PK戦は精神的なものがかなり影響するんで、PK戦にだけは行きたくない
どんな形でもいいから1点決めて欲しい」と思っておられたんだとか…

日本が前がかりに攻めるも決めきれないでいる内に
イランのカウンターを喰らって
岡野さんは「スローモーションになりましたね」と話され
監督は「終わったなと思った」と…

幸いにもアリ・ダエイ選手が外してくれた直後
中田選手のシュートのリバウンドを押し込んだ岡野さん

実況アナが「W杯の扉を今、開けました!」と絶叫していた時
岡野さんは「涙が出るとかじゃない
試合中に地獄を感じていて、みんなに迷惑かけていたので
これで解放されたなって…

W杯に行けるということよりも
この場所から解放されるのが一番だった」とおっしゃってました

監督も「W杯に行ける喜びよりも
背負っていた重い荷物をようやく下ろせたという
気持ちの方が強かったかも知れないね」と話され

他の選手の方々も「魂が抜けてしまったみたい」で、大騒ぎされることもなく
「ロッカールームは負けた雰囲気」だったそうだし

「ドンペリ開けて(祝勝会を)やったんだけど
食べ終わったら部屋に帰っていいって言ったら
みんな、サアーッて帰って行った(笑)」らしい

「楽に勝った予選はない
勝負の神様は細部に宿る
ちょっとした差で、勝ち抜けるかどうかって試合を勝ち抜けなくなる」
この岡田監督の言葉をサムライ達に贈りたいですね
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