虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

スコセッシ、ディカプリオで「酔いどれ天使」のリメイク?

2005年02月14日 | 映画の話題
allcinemaONLINE HEADLINEから
「ギャング・オブ・ニューヨーク」「アビエイター」、そして次回作となる「インファナル・アフェア」のハリウッド・リメイク「The Departed」でもコンビを組むレオナルド・ディカプリオとマーティン・スコセッシ監督が、今度はワーナーが手掛ける黒澤明監督、三船敏郎主演「酔いどれ天使」(48)のリメイクでもさらにチームを組む可能性が出てきた模様。まだ、ごく初期の段階ながらすでにディカプリオの主演が内定しており、脚本にも「アビエイター」のジョン・ローガンが起用される模様。一方、監督についてはまだ確定ではないものの、スコセッシの起用を前提に調整が進められているという。

 ディカプリオ=三船敏郎というのは今のところすご~~~~~~く抵抗感がある。出来ればやめて欲しいと思ってしまう。あのとがった肩を、苛立ちを、素直じゃないつい、意気がってしまう悲しさをレオちゃんがどう演じるのか?ディカプリオでは駄目というのも思い込みかなあ。でもやっぱり見るの怖いなあ。

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キング・アーサー (2004/米)

2005年02月14日 | 映画感想か行
KING ARTHUR
監督: アントワーン・フークア 
製作: ジェリー・ブラッカイマー
出演: クライヴ・オーウェン キーラ・ナイトレイ ヨアン・グリフィズ ステラン・スカルスガルド

 イギリスの伝説のアーサー王を新視点で描く。
 ローマ帝国の版図が拡大しきっていた頃、各地から集められ、15年の兵期を勤めたブリテン駐留のローマ騎士アーサーと、その仲間の騎士たちは、現地の勢力に包囲された危険な死地へ、少年とその家族を救出に行くとという最後の指令を受ける。

 今まで知ってるアーサー王伝説とは全然違ったもので、ランスロットはグウィネビア王妃と道ならぬ恋に落ちるまもなく、なんとアーサーとグウィネビアの結婚前に死んでしまいました。エクスカリバーはあんなところから引っこ抜いてるし、キーラ・ナイトレイのグウィネヴィアは戦化粧で肌もあらわに大暴れ。今まで知ってた「アイバンホー」の貴婦人イメージなどとは打って変わった変貌振り。荒ぶる野生の美女にしては顔が都会的かも…でもきれいだからいいです。
 最後まで見てやっぱり「主役が地味だ~」と思ってしまいました。特に、エンディング。なんか気が抜けちゃった。ストーンヘンジってほんとにこうやって使ってたのか?とかそんなこと考えちゃったし。
 これが現代物の戦争映画でクライヴ・オーウェンが指揮官とかだったら、きっと納得でしょうけど、ヒーローになるにはなんか地味。常識人に見え過ぎて華がないというか…まあ、それなりかっこいいんだけど、この映画は周りの「ナイツ・オブ・ラウンド」のほうが絶対かっこよく見える。
 ランスロット役ヨアン・グリフィズも、ガウェイン・ギャラハッド役も見せ場はぐっと来ます。あの氷原のシーンの戦士の皆様にはほんとにしびれたッ。
 強くて誇り高い男の群像劇としてはなかなかだったので、ラストは特典映像の「もう一つのエンディング」のほうが絶対いいし、あんまり「自由」とか連呼しないほうが、己の誇りにかけての死を決意したアーサーの姿が、劇的に映ると思う。

天覧映画

2005年02月13日 | 日記・雑記
今読んでるの本
「オペラ座の怪人」ルルー/長島良三訳
 面白いから一気に行っちゃいますけど時間かけて考えておきたい。ただ、昔読んだ日影丈吉の訳文のスタイルが気になる。何とか見つけたい。
「原子宇宙の旅」アシモフ
 アシモフの本は教科書にしてます。
「ゲバラ日記」
 文庫があったので。これは映画のおかげで再販されたのかな。
それと、今更だけどゲーム理論の入門書から。ゲーム理論批判の新書を読んで、なかなか面白かった。

 それにヨコジュンの「明治おもしろ博覧会」
 既にほかの本で読んだことが多いけど、一項目4ページ程度にまとめて集めてあり、時間が細切れな時でも進めて楽しい。
 その中に明治天皇と映画の記事。
 明治44年、九州大演習御統制の行き帰り山口県の毛利公爵邸に御駐泊遊ばされ、その時毛利公は、御旅情を慰め奉らんとして、両日共に御前において琵琶を弾奏せしめ、また活動写真をご覧に供し奉ったのあった、そうです。〈なれない敬語は大変)

その時の上映は行きが
青森県鮫港沖の捕鯨作業の実況、アフリカ山河紹介の記録映画2本と日本映画「狸の七変化」
帰りが
アフリカからパリまでの郵便輸送の実況、番犬が泥棒を捕まえる劇物、荷馬車に積んだ瓜が運搬中に遁走して大騒動のドタバタ喜劇。
 
 とっても喜ばれたようですが、当時は喜劇しかなかったのかな?1911年では今見られるのなんて残ってないでしょうね。
 この時には、お召し列車脱線で自殺者が出る事件もあったそうです。

 さて、今回届いたDVDが「キングアーサー」これ見て「アレキサンダ-」見に行くのはなんだか、とっても無謀なことをするような気がします。史劇の「アレキサンダー」に関して言うと、私、思うにああいう英雄って、エキセントリックなところが感じられないと無理なような気がします。例えば、「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥールも十分エキセントリックだったと思う。冷静さに張り付いた得体の知れない影みたいなのが、コリン・ファレルに感じられるか?それが今までの彼の映画を見たところで持ってる懸念。

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ステップフォード・ワイフ (1975/米)

2005年02月12日 | 映画感想さ行
THE STEPFORD WIVES
監督: ブライアン・フォーブス
出演: キャサリン・ロス ポーラ・プレンティス ピーター・マスターソン ナネット・ニューマン ティナ・ルイーズ

 ニューヨークから、郊外の高級住宅街ステップフォードに引越してきたエヴァハート一家。
 そこは、静かで環境も良かったが、大きな家に夫にかしずく家事完璧な専業主婦の妻と、絵に描いたような家庭ばかり。男だけの不思議なクラブもある。
 ジョアンナ・エヴァハートは眠ったような町で、満たされない思いと周囲への違和感を感じていたが、この町で出来た親友と現状を変えようと動き始めて、不安へと発展する。

 とっても怖いスリラーでした。
 同じ原作者の「ローズマリーの赤ちゃん」はちょっと中世的なおどろな世界の怪奇だったけど、こちらは実に今風な怪奇。ニコール・キッドマン主演でリメイクされたばかりだけれど、現代のほうがもっと怖さは切実に感じられるんだろうな、と思った。
 ちょっとヒロインのイメージ違うかなあ、と思った。もっと知性と生命の躍動感が何もいわなくても感じられるとラストがとってもとっても怖いのに。ただ、ああおさまってしまうのだったら、ヒロインはこのキャサリン・ロスみたいに強すぎる感じがなくて良かったのかもしれない。
 親友ボビーと、セクシーなキャロルはぴったり。

 これはやっぱり明るい陽光の下の世界で、本物のグリーンにそこだけ造花の花壇があるような違和感が強烈にやきつくラストを期待してしまったけど、ちょっと最後で期待とすれ違っちゃった感じ。昔の恋人のエピソードもうまくおさまらなかった。

 原作者アイラ・レヴィンのシニカルさは、もうちょっと男性陣の独善性が滑稽に出ていたらもっと効いたと思うけど、毒はたっぷり。
「出来るから」
という言葉は、すごく重い。
「こんなんできます」と科学は囁き、それを実現させるのは人間の意思なのだ。

 でもさあ!セクシーな家事ロボットが男の理想だって、最高につまんない人生に思えますけどね~
 パートナー持つ意味ないじゃん!

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紙飛行機

2005年02月11日 | 日記・雑記
 10日は、友人に頼んでおいたものを受け取りに行って、そのまま遊んできました。
 なんと紙飛行機で。
 紙飛行機と一口にいっても、折り紙で折るのから、よく本になって売ってる紙飛行機組み立てキットみたいなのから、いろいろありますが、近所の「紙飛行機やラジコンなどを飛ばして遊んで、飛ぶものに対する興味喚起普及協会」みたいな活動をされてる方が設計したという、初心者向けの厚紙飛行機。
 作ってから、もう決して若くない女性が団体で、暗くなった公園で紙飛行機を輪ゴムと紙のカタパルトで飛ばし、すっかり熱中してぎゃ~ぎゃー騒いでしまいました。
 それから、「ロード・オブ・ザ・リング」の特典ディスク鑑賞会。
 みんなで見るには、情報ぎっしりの「王の帰還」もいいけど、「二つの塔」の、アンディ・サーキスと、CGキャラのゴラムの同じ場面を並べて見せてくれるとこなんか、めちゃめちゃ受けました。レゴラス役オーランド・ブルームはほんとに若くて、映画で見ても美しい軽業体育会系なプリンスだけど、素もそれに近い人みたい。それにしてもキャスティングの人はすごい。よくこのお兄さんにレゴラスを見つけたと思う。
 夕食はコンビニ食になったけど、久しぶりに大声出して遊んで楽しかった。いくつになってもこういうのは楽しい。友達は大事にしよう。

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きみに読む物語 (2004/米)

2005年02月10日 | 映画感想か行
THE NOTEBOOK
監督: ニック・カサヴェテス 
出演: ジーナ・ローランズ ジェームズ・ガーナー ライアン・ゴズリング レイチェル・マクアダムス

 老人療養施設で暮らす女性に、物語を聞かせる男性。
 それは、一目惚れから始まった若い、激しい恋の物語だった…

 愛の奇跡を描いた現代のある意味でおとぎ話。ジーナ・ローランズ、J・ガーナー共に大好きな俳優さんで、安心してその映画の世界に浸っていられました。「メッセージ・イン・ア・ボトル」と同じ原作者で、「メッセージ…」はちょっとべたべたすぎて引いてしまったけれど、やはりこの優しい物語にラストで自然に、思い切り泣けたのもお二人の演技あってこそです。

 これは、感想を書こうとすると、どうしても見る前に知らないほうが絶対に映画を楽しめるということを書かざるを得ません。

 ------以下はそういう感想です-------

 最近でこれくらい泣けた映画はありませんでした。この極めつけメロドラマなストーリーもさることながら、私が見てきた偕老同穴、比翼連理な老夫婦の記憶に泣かされたのでした。
 大恋愛の末に結ばれた二人の日常というのは、映画の中では写真や、成長した子どもたち、アリーの母のエピソードから暗示的に示されるだけになっているけれど、二人がお互いの愛情にこたえあう、輝かしい日々を持っていることが今の二人から明らか。私が人生の先輩の方々を見て本当に素敵だと思ったのは、こういう過去を共有していて、お互いへゆるぎない信頼があるのが感じられることでした。そういう関係になれるのは、とても幸福なことだけれど、ただ何もしないでそうなれるわけではない…それもわかったのでした。
 若い二人の苦節を乗り越える愛も素敵だった。やはり私は、焦点はアリーの決断にあると思った。アリーの母も同じように苦しみ、彼女なりの決断をした。しかし彼女は「自分は今幸福である」ことを言い聞かせる儀式を持っている。人間にとって本当に自分の望むことを見つけ出すのは、実は大変に苦しい作業であり、捨てて悔いない選択肢なんて実は存在しないのかもしれない。アリーは、母を理解し、そして決断した。
 その人生がこの愛の奇跡で締めくくられるならば、なんと祝福された人生であることか。

 ちょっと残念な点。一目ぼれシーンで、彼女が画面からさほど浮き出して見えないこと。もっと上手に光り輝かせてくれたら、私もノアと一緒に彼女に一目ぼれできたのに。ノア役のライアン・ゴズリング、とてもきれいでしたが、私の目から見るともうちょこっとだけ、心の底の狂おしいほどの炎を感じさせて欲しかった、なんて思ってしまった。

「風と共に去りぬ」ほかBS2・DISCASなど

2005年02月09日 | 映画の話題
 今はBS2恒例のアカデミー賞特集で、毎日どうしても見てしまう。
 昨日は「風と共に去りぬ」
 ほんとに、このスカーレットというのは不幸が不幸に見えないヒロインです。
 実に魅力たっぷりのわがまま娘時代から、中盤のたくましい美女、終盤にかけてもここまでやるかというほどひじを突っ張って、世の中のすべてを押しのけつつ歩んで行く感じで、見ていて思わず
「阿漕な…」
世渡りしてるな~と感慨持ちつつ、でも嫌いにはなれない。
 それでも、最後にはレット・バトラーに捨てられ、少なくとも私はなぜかほっとしてしまうのだ。あれだけやりたい放題に生きて、最後に彼の胸に迎えられたら、絶対釈然としないと思うんだけど。それで、
「あなたなら大丈夫!明日からまたがんばるのよ」
と安心して応援できてしまうのだ。
 こんな見方してるのは私だけか?

 文句言いつつ、オスカー取った作品というのはすごいものぞろいで、見ずにいられないのだ。困ったものだ。
 オンラインレンタルDVDのDISCASは、上位に予約してあるのが人気作ばかりなんだろうか?なかなか上位からは来ない。今回は珍しく2位の「キング・アーサー」そして8位くらいだった「ステップフォード・ワイフ」
 「デイ・アフター・トゥモロー」(9月に予約!)も 「デビルズ・バックボーン」も「キッチンストーリー」もまたまた駄目だった。

 「真田風雲録」を見た。高校生のみならず、私にも良くわかんない映画だった。中村錦之介はとってもかっこいいけど、なんだかテンションが高いのに若い者たちの精神が佐藤慶の大野冶長を筆頭にやたらとニヒル。それでいて騒々しい。千秋実の飄然とした演技は好きだけど、どうにももやもやする映画。

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ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密 (2002/米)

2005年02月08日 | 映画感想や行
DIVINE SECRETS OF THE YA-YA SISTERHOOD
監督: カーリー・クーリ
出演: サンドラ・ブロック エレン・バースティン ジェームズ・ガーナー アシュレイ・ジャッド マギー・スミス

 ニューヨークに住む若手劇作家シッダは、タイム誌のインタビュー記事で母親との確執を書かれてしまう。その記事が母ヴィヴィの怒りを買い決定的な亀裂が入ってしまう。ヴィヴィの50年来の親友ティーンシー、ニーシー、キャロの3人は、8歳の時に生涯の友であることを誓い合った“ヤァヤァ・シスターズ”。3人はシッダを拉致すると、そのままルイジアナに連れ帰り、彼女の知らない母の姿を伝え、親子の仲を取り持とうとする。

 女性向きのお話だな…と思った。
 美しく、才能があり、世界の中心のような華やかさを持ちながら田舎町に農家の主婦として埋もれた母ヴィヴィ。ニューヨークで劇作家として成功した娘。あふれるほどの野心と才能がありながら、恋人も失い、ままならない自分の人生に怒りを抱いていた女性と、愛しながらも母を誤解していた娘が、母の人生を辿ることによって、そのわだかまりも、自分自身のこだわりからも開放されていく。
 これは、私が主人公の苛立ちにもっと共感できればもっと心に響く映画だったんでしょうけど、今ひとつというところ止まりだった。

 サンドラ・ブロックはいかにも中産階級のインテリらしいムードがあり、映画によってはそれが「臭み」のように感じられる時があるけれど、この映画に関してははまり役。でも老いてもお母さん(エレン・バースティン)のほうが華やかなムードを持ってる。この映画は、アシュレイ・ジャッドもきれいで、行動的ないかにも素敵な女性演じてるんだけど、年取ってからのヤアヤア・シスターズの女優さんの迫力にはどうにも勝てない感じがする。マギー・スミスはじめ、みんな年取ったら「かくありたい」と思わせる魅力に満ち満ちてる。この一人一人しっかりと歩んできた自分の人生を生きられる女性たちなら、支えあいも出来るし、この素晴らしい羨ましい友情も存在するよなあ…と感じさせる。

 出てくる男が、寛容で包容力のある、女の夢みたいな男ばかりで、やっぱりスイートな女性向け物語だなあ…と思っちゃう点なのでした。

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「アラバマ物語」「可愛い配当」「北の零年」

2005年02月08日 | 日記・雑記
 7日の夜、BS2の放送の「アラバマ物語」を見て泣いていたら、家族が
「これ見るの初めて?」と聞く。
「DVD持ってる」
「なのに、また泣いてるの?」
 なんてことを言うんだ!
「アラバマ物語」ですぞ!
 見るたび泣かずにいられようか。
 そうでしょう?

 駅売り380円DVDを買ってきた。
「可愛い配当」(1951年 S・トレーシー「花嫁の父」続編)
「検察官閣下」(1949年 ダニー・ケイ)
「可愛い配当」は、おそらくレンタルがあれば買わなかったかな、というもの。でも380円なので出してしまった。
 ご近所でまたレンタルショップが閉店するが、こういう安いセルDVDも一因だろうか。

 駅に行く途中で近所のご夫婦とお会いしたら、これから映画を夫婦50割引で見に行かれるとのこと。
「北の零年」か「オペラ座の怪人」のどちらか。
「オペラ座の怪人」を選んだことを切に願ってしまう。
ついでに、「下妻物語」お貸ししますので是非見てね、と広報活動もしてきた。

「毒舌日本史」(今東光)以来、古代史方面で古田武彦・豊田有恒など読んでいる。ついでに2チャンネルやら、個人の歴史主張サイトも覗いているが、古代日本史というのはおのおのの妄想が突っ走る場にもなっているのか!と驚くほどの百花繚乱。なかなか面白いけど、頭冷やしながら見ないといけません。

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ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 SEE版

2005年02月07日 | 映画感想ら行
 追加映像50分。
 追加というより再編集多し。
 それに、本編に劣らない長さの特典ディスク2枚付き。
 もうこんな映画はそうは出来ないだろうなあ…とまたまた思った。
 届いたその日に本編を目を皿にして見、特典のメイキングや何やらを見、4日目には英語字幕、日本語字幕でまた泣きながら見た。エオウィンとメリーのエピソードとペレノール(ペレンノール)野のローハンの戦いがより膨らませてあって、セオデンの檄では涙で画面が霞んだ。ああ、なんて声のいい爺さんが多いのだろう。
 メイキング映像を見てからだと、カメオ出演にドキドキし、音楽の効果にも頷き、映像化された戦いやモンスターに感動し、より一層映画が素敵に見えてきた。

 登場人物の性格や、描き方など完全にジャクソン流になっているけれど、もうなんだか全部許せてしまう。映画は映画で、原作は原作としてそれぞれのメディアにあった表現や見方があるのだ。それぞれのキャラクターに振られた役割も本よりも一層くっきりと分かれているようだ。そう思えば、気の毒なデネソールの扱いもまた納得出来る。本当のところは、エオウィンやファラミアは私のイメージとは相当違っているけど、まあ仕方ない。 

 結局シャイア掃蕩は入らなかった。原作では、かなり重要な部分だと思うのだが。
 すべて終わったと思って帰ったホビットたちの美しい故郷が荒らされ、悪の手に落ちていたことで「特別な場所などどこにもない」こと、そして大事なものを守るためには自分たちが立ち上がらなくてはならないことを思い知らされる場面。そして堕ちたといえども、賢者であったサルマンの矜持をフロドの成長が打ち砕く。原作の中でも、かなり重要なメッセージであると思う。
 ただ、映画で大団円の後でまた一つの物語では、最後の灰色港への流れが切れてしまう。だから闇の力の強大さに屈して追従しようとしたサルーマンの結末は、己の操ろうとしたものに逆襲されるという形でストーリーに入れるのも自然かな、とは思った。

 本と映画では、時間の流れ方のテンポがまったく違う。言葉一つとってもそう。原作では、さながら昔の日本の侍たちが名乗りを上げるように、戦いでさえも力強くて古い言い回しの会話がなされている。そこがまた「指輪物語」らしくて好きなところなのだが、映画でそれはやってられません。
 エオウィンがアングマールの魔王に対してセオデンを守って立ちはだかるシーン。

"But no living man am I!
You look upon a woman.
Eowyn I am, Eomund's daughter.
You stand between me and my lord and kin.
Begone, if you be not deathless!
For living or dark undead, I will smite you,if you touch him."
(しかし私は生き身の男ではない!
お前が向かい合っているのは女だ。
私はエオムンドの娘、エオウィン。
お前こそ私の王であり、血縁であるものと私の間に立って邪魔をしている。
不死でないならば、去れ!
もしお前がわが殿に触れれば、生き身であれ、幽暗に漂う者であれ、お前を打ちのめしてくれよう!)

…というエオウィンの言葉が、映画では

"I am no man!"

だけ。仕方ないです。これだけ延々としゃべったら大変です。
 そして初めてその騎士がエオウィンであることを知ったメリーの決意と2人の必死の戦い。たっぷりやったらここだけで10分以上かかっちゃいますね。

 それでも尚残念なのは、SEE版でも「エレンディル!」の叫びが聞けなかったこと…
 そりゃあ、あれを映画でやったら違和感あるかもしれないけれど、やって欲しかったなあ…
 死者の道を粛々と進む決意と力を静かに漲らせた一騎当千のレンジャーたち…見たかった…

ロックンロールミシン (2002/日)

2005年02月06日 | 映画感想ら行
監督: 行定勲
出演: 池内博之 りょう 加瀬亮 水橋研二

 平凡な会社員生活をしていた賢司は、ある日学生時代の友人凌一と再会する。今の自分やその生活になんとなく実感をもてなかった賢司は、自分たちのアパレルのブランドを立ち上げようとしている凌一たち3人にまぶしいものを感じる。ある日はずみで上司を殴ってしまった賢司は、彼らに合流することになった。

 盛り上がらないテンションの映画でした。
 それに個人的に、きつい映画だった。
 面白い、とはいえない。これは、若いときだけなのだろうか、誰でも生きることに充実感を求めてしまうのだろうか…と見ていて、ストーリー追いつつも、頭の半分で考えてしまう。映画だけに没入は出来なかった。
 これは、賢司の視点でいえば一時の冒険物語で、結局彼は行って帰って、自分の生きる場所を(ともかくとりあえずは)定める。ハリウッド流教養小説的な映画ならば、彼に何事か成し遂げた達成感を与えるだろうが、ここではちょっとした思い出と、自分の限界の認識である。表現は厳しくないが、きつい。かなり強烈に効いた。
 ラストの凌一の背中の翼は、自己の充実感のためには多くを犠牲にしなくては…そしてもしかしたらそれは独りよがりに終わるかもしれないと私を脅かすものだった。

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高校生のお休み

2005年02月05日 | 
 昨日は朝から「これはいかん」というような体調で、ノイビタEX3錠でドーピングしたのだが、午後6時過ぎにはばったり倒れ、寝てしまった。金曜の夜に早寝とは何たることであろう。先週の金曜夜は「オーシャンズ12」を見に行ったのだが、やはり疲れ気味だった。それでうまく映画にのれなかったのかな。

 今週は、高校生が入試休みで、私のビデオや本をいくつか持っていって見ていた。そのラインナップがなかなかのもの。
「美女と液体人間」(1958/本多猪四郎監督)
 彼女のお気に入り。3年ほど前に見て、東宝特撮に目ざめてしまった。特に、東宝のキャバレーシーンが好きで大笑いしている。よく液体人間のまね、とかスカーフを巻いて「キノコを食べるとキノコになるのよ」と微笑んで遊んでいる。家族内でも理解する人間は少ない。
「浮雲」(1993/アキ・カウリスマキ監督)
 初見で「なんか不思議なテンションの映画だねえ…」という感想。
 BS2昼の放送の「真田風雲録」(1963/東映・中村錦之介主演)も録画してくれたようだ。「この映画の笑いのセンスが理解できない」と言っていた。
 本のほうは「中国五千年」(陳瞬臣著)「こころ」(夏目漱石著)それにアメリカのアニメ雑誌。「こころ」の感想が「手紙が長すぎる。何であんなに考えてあの結果になるのか?」その感想が私にはちょっと不思議。久しぶりに読み直してみよう。

 しかしその前に、「王の帰還 SEE版」を目いっぱい味わいつくさねば!

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「王の帰還」SEE版に浸る日々

2005年02月04日 | 日記・雑記
 現在のところはモニター上でも伝票でも細かい字をず~っと見続けているので、相当目が疲れ気味なのだが、「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」SEE版とあってはかまっていられない。
 届いた日に本編を見て、3日は豆まきもサカサカ済ませて、本編に負けないくらい長い特典ディスク1を見ていた。
 トールキンと、物語の創作の背景や、脚本をどういう方向で作り上げて行ったか、また「指輪物語」という壮大な、そして空前絶後に面白い物語をありったけ表現するために、セットや衣装、小道具までいかに細心に作り上げられたか…
 ほんとに指輪への愛がいっぱいの特典ディスクなのでした。
 特典ディスク2も本編・特典1に劣らず長いみたい。これは今夜で、あと土日にまた本編をコメンタリーと共に見て、どっぷり指輪に浸かった週末になりそう。
 でもやっぱり、ミナス・ティリスが眼前にあらわれるシーンとか、烽火のシーン、大スクリーンのあの胸がキュ~ンと音を立てそうなほどの感激は感じられない。これは回数でなくて、効果の問題だと思う。この映画、定期的に映画館で上映しなきゃいけない。この感動はみんなに分かち合わねば!

 そのほか、最近の衝撃。
 小学4、5年生くらいの女の子が「少女コミック」をスーパーで読んでた!
(少女コミックという漫画誌は、ローティーン向け相当にノー天気なエッチ漫画だらけ)
 海外のオークションサイトで日本のコミックの「DOJIN」「YAOI」というジャンルが成立していた…見ていてかなり恥ずかしい。高校生には「情報遅い」と笑われたけど。
 
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ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 SEE版届いた!

2005年02月03日 | 日記・雑記
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」SEE版届きました!
 また2~3度見てからきちんと感想は書き直したいけど、それほどたくさん加えられてはいない感じ。
 サルーマンとグリマは、あそこで片付けちゃったのか!
 あの海賊は絶対オリエントイメージだなあ。
 ファラミアとエオウィンはかなり手短に扱われて悲しい。ファラミアのくどさが好きなのに。
 死者の道のどくろ崩しは好きだわ。
 見てると大スクリーンで見たくてたまらなくなる!やっぱりテレビ画面じゃやだ。

 夜の7時過ぎに届いて、いろいろ片付けて見始めたのが8時過ぎ。
 結局寝たのが2時近く。眠い。しかし、いくら何でも(遊びすぎて)たまったお仕事、今週中にやってしまわなくてはいけない。終わったらゲーム開封じゃ~
 昨日、立ち寄ったコンビニでカバヤの「ゲーム伝説」見つけたもんね。
 「ゼルダ」に「ICO」に「ゲーム伝説」、しばらくは遊べそう。
 それに、「ポポロクロイス物語」のピエトロの冒険がPSPで出るが、これって、GBアドバンスとゲーム・キューブみたいに、テレビ画面で遊べる様にはならないみたい。乱視と遠視の度がますます進んでる私には小さい画面はきついなあ。
 でもピエトロとナルシアのお話の結末、ハネハネショッカクは取れるのか?というのは見てみたいなあ。

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Ray/レイ (2004/米)

2005年02月03日 | 映画感想ら行
RAY
監督: テイラー・ハックフォード
出演: ジェイミー・フォックス ケリー・ワシントン クリフトン・パウエル ハリー・レニックス 

 ジョージア州の貧しい家庭に生まれ、黒人・盲目のハンディキャップを超えてポップス・ミュージックの神様とまで謳われたレイ・チャールズの伝記映画。

 あの「ネバーランド」のジョニー・デップを向こうにまわしてのゴールデングローブ男優賞ですから、期待していってきました。
 確かにジェイミー・フォックスのレイ・チャールズは素晴らしいと思いました。2時間半が長いとは感じなかったくらい物語に引き込まれていました。フォックスだけでなく、他の俳優たちも、特に母を演じたシャロン・ウォーレンの強さには引き付けられた。この映画では、本来の道を彼に示すのは母であり、妻であり、女性の役割のようだ。
 しかし、なんと言ってもレイ・チャールズの音楽。本当に強烈なパワーがある。エンドクレジットが始まっても、彼の歌声が流れていてほとんど席を立つ人がいませんでした。レイ・チャールズの声が流れると、身体も心も揺さぶられるようで、どうにも抗しきれない感じ。やはり神に愛されたとしか形容の仕様がない才能を持つ人がいるものだ、としみじみ思う。
 
 制作に本人が参加していたのだから当然のことかもしれないが、ドラマの作りは、優しい。
 若い頃、大手に注目されるまで、才能を搾取されていた。
 ドラッグに中毒していた。逮捕されてもなかなか断てなかった。
 ほかにも家庭を持つ不実な父親で、母も自分も苦労していたが、やはり自分も女性関係で妻子を悲しませた。
 ビッグネームになっていく過程で、世話になった人を裏切りもした。
 弟の死に負い目を感じていた
…など人間としての弱さも、汚い側面も、それほど強烈に感じさせずに上手に取り込んでいる。あくまで家庭が大事。そして母の自立の教えを強調して。それでもその部分がさほど鼻につくことなく、一気に見せたのはやはり作り方が上手なんだろうと思った。公民権運動の時に、差別に抵抗してジョージア州から永久追放された、後に名誉回復・彼の「ジョージア・オン・マイ・マインド」が州歌にまでなる、というような社会的に大きいインパクトのあったことも、ちょっとさらっと気味にかんじてしまった。
 誰しも、自分の人生に理不尽と思えるようなハンディがつくことは、個人の力ではどうにもならないことだ。しかし彼は闘い、彼の人生と独自の音楽を開花させた。あの、新しい音楽が生まれるシーンでは本当に背筋がゾクゾクするようだった。コンサートシーンも素晴らしい。この映画を見ていて、思わず知らず身体が動いてしまわない人はいないのではないだろうか。

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