虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

きみに読む物語 (2004/米)

2005年02月10日 | 映画感想か行
THE NOTEBOOK
監督: ニック・カサヴェテス 
出演: ジーナ・ローランズ ジェームズ・ガーナー ライアン・ゴズリング レイチェル・マクアダムス

 老人療養施設で暮らす女性に、物語を聞かせる男性。
 それは、一目惚れから始まった若い、激しい恋の物語だった…

 愛の奇跡を描いた現代のある意味でおとぎ話。ジーナ・ローランズ、J・ガーナー共に大好きな俳優さんで、安心してその映画の世界に浸っていられました。「メッセージ・イン・ア・ボトル」と同じ原作者で、「メッセージ…」はちょっとべたべたすぎて引いてしまったけれど、やはりこの優しい物語にラストで自然に、思い切り泣けたのもお二人の演技あってこそです。

 これは、感想を書こうとすると、どうしても見る前に知らないほうが絶対に映画を楽しめるということを書かざるを得ません。

 ------以下はそういう感想です-------

 最近でこれくらい泣けた映画はありませんでした。この極めつけメロドラマなストーリーもさることながら、私が見てきた偕老同穴、比翼連理な老夫婦の記憶に泣かされたのでした。
 大恋愛の末に結ばれた二人の日常というのは、映画の中では写真や、成長した子どもたち、アリーの母のエピソードから暗示的に示されるだけになっているけれど、二人がお互いの愛情にこたえあう、輝かしい日々を持っていることが今の二人から明らか。私が人生の先輩の方々を見て本当に素敵だと思ったのは、こういう過去を共有していて、お互いへゆるぎない信頼があるのが感じられることでした。そういう関係になれるのは、とても幸福なことだけれど、ただ何もしないでそうなれるわけではない…それもわかったのでした。
 若い二人の苦節を乗り越える愛も素敵だった。やはり私は、焦点はアリーの決断にあると思った。アリーの母も同じように苦しみ、彼女なりの決断をした。しかし彼女は「自分は今幸福である」ことを言い聞かせる儀式を持っている。人間にとって本当に自分の望むことを見つけ出すのは、実は大変に苦しい作業であり、捨てて悔いない選択肢なんて実は存在しないのかもしれない。アリーは、母を理解し、そして決断した。
 その人生がこの愛の奇跡で締めくくられるならば、なんと祝福された人生であることか。

 ちょっと残念な点。一目ぼれシーンで、彼女が画面からさほど浮き出して見えないこと。もっと上手に光り輝かせてくれたら、私もノアと一緒に彼女に一目ぼれできたのに。ノア役のライアン・ゴズリング、とてもきれいでしたが、私の目から見るともうちょこっとだけ、心の底の狂おしいほどの炎を感じさせて欲しかった、なんて思ってしまった。