私には歳が離れた兄が三人いる。
ものごころついた頃には長兄と次兄はもう家を離れていたが、三兄とは長く一緒に暮らしていたので思い出がたくさんある。
「お前はまだ海を見たことがないから可哀想だ」
と言って、学校の海水浴の行事に幼い私を連れて行ってくれたこともある。
当時はまだそのようなことが許されていた時代だった
その三兄が退職して2年後、妻が脳梗塞で半身不随となった。
自宅での介護生活は既に10年目を迎えている。
慣れてきたとは言え、炊事・洗濯・掃除・妻の世話と兄の疲労はかなり蓄積している。
介護生活が長くなると訪ねてくる人の数も段々少なくなってくる。
兄たちの暮らしは、夫婦ふたりだけのひっそりとした孤独な闘いの毎日だ。
帰省した折りだけでも力になりたいと思っているので、今回も数日間兄の家に滞在した。
しかし几帳面な兄の家は、私の家より掃除が行き届いている。
何か美味しいものをご馳走したかったのだが、二人とも大変ストイックな食欲の持ち主なので、残念ながら私の腕を披露するまでには至らなかった。
ただ一日中寄り添って話し相手をしているだけだった。
それにしても...「妻の介護を第二の人生とする!」と決意した男の覚悟は、なんと揺るぎがないものだろうと私は感心する。
今まで、兄の口から不平不満や弱音や愚痴を一度も聞いたことがない。
大好きなスキーやゴルフやテニスや飲み会などの未練をすっぱりと断ち切り、闘病生活に疲れて我が儘になりがちな妻の要求を適当に処理しながら、ひたすら介護に専念している。
嫁と姑ではこうはいかない。
夫婦だから出来るのだろうか?
いや、男だから出来るのだろうか?
家族を守らなければならないという気概を持って生まれた男の場合は、介護にも一途な使命感を持つのだろうか?(ウチは無理だな...)
そう言えば、介護の専門家の友人が「夫に介護されている妻の方が、身だしなみなどが美しく清潔である。」と言っていた。
もちろん煩悩多き人間のやることだから、いくら頑張っても快適で完璧な介護が実施されているとは言い難い部分はたくさんある。
兄と義姉の間には、時として険悪な感情や諦めの感情が流れることもあり、側にいてその空気を感じることは切ないことだった。
数日間だけでも、私の存在が介護のオアシスとなっていたら幸いなのだが......
↓は兄の描いた絵を二枚貰ってきたうちの一枚で、約16㎝×23㎝の小品。
雪解けの白樺林の風景で、色彩、構図とも気に入った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/1f/c55497c9c9663cbb34db72c0e2dfc340.jpg)
そして↓は、織物を趣味とする友人士別さんからいただいたお手製のマフラー。
軽くて暖かくて最高の肌触りだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/d3/0b0c1d1bf93ee51ebd63bf815cd1d405.jpg)
以上の二点を見比べて面白いことに気がついた。
兄の絵の色を分解して糸に着色して織りあげれば、士別さんのマフラーにならないか?
北の大地の人々の愛する風景、色彩の偶然の共通点に驚いて、なんだかとても嬉しくなった。
ものごころついた頃には長兄と次兄はもう家を離れていたが、三兄とは長く一緒に暮らしていたので思い出がたくさんある。
「お前はまだ海を見たことがないから可哀想だ」
と言って、学校の海水浴の行事に幼い私を連れて行ってくれたこともある。
当時はまだそのようなことが許されていた時代だった
その三兄が退職して2年後、妻が脳梗塞で半身不随となった。
自宅での介護生活は既に10年目を迎えている。
慣れてきたとは言え、炊事・洗濯・掃除・妻の世話と兄の疲労はかなり蓄積している。
介護生活が長くなると訪ねてくる人の数も段々少なくなってくる。
兄たちの暮らしは、夫婦ふたりだけのひっそりとした孤独な闘いの毎日だ。
帰省した折りだけでも力になりたいと思っているので、今回も数日間兄の家に滞在した。
しかし几帳面な兄の家は、私の家より掃除が行き届いている。
何か美味しいものをご馳走したかったのだが、二人とも大変ストイックな食欲の持ち主なので、残念ながら私の腕を披露するまでには至らなかった。
ただ一日中寄り添って話し相手をしているだけだった。
それにしても...「妻の介護を第二の人生とする!」と決意した男の覚悟は、なんと揺るぎがないものだろうと私は感心する。
今まで、兄の口から不平不満や弱音や愚痴を一度も聞いたことがない。
大好きなスキーやゴルフやテニスや飲み会などの未練をすっぱりと断ち切り、闘病生活に疲れて我が儘になりがちな妻の要求を適当に処理しながら、ひたすら介護に専念している。
嫁と姑ではこうはいかない。
夫婦だから出来るのだろうか?
いや、男だから出来るのだろうか?
家族を守らなければならないという気概を持って生まれた男の場合は、介護にも一途な使命感を持つのだろうか?(ウチは無理だな...)
そう言えば、介護の専門家の友人が「夫に介護されている妻の方が、身だしなみなどが美しく清潔である。」と言っていた。
もちろん煩悩多き人間のやることだから、いくら頑張っても快適で完璧な介護が実施されているとは言い難い部分はたくさんある。
兄と義姉の間には、時として険悪な感情や諦めの感情が流れることもあり、側にいてその空気を感じることは切ないことだった。
数日間だけでも、私の存在が介護のオアシスとなっていたら幸いなのだが......
↓は兄の描いた絵を二枚貰ってきたうちの一枚で、約16㎝×23㎝の小品。
雪解けの白樺林の風景で、色彩、構図とも気に入った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/1f/c55497c9c9663cbb34db72c0e2dfc340.jpg)
そして↓は、織物を趣味とする友人士別さんからいただいたお手製のマフラー。
軽くて暖かくて最高の肌触りだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/7d/261dece19e868bbe62d011685d2d09da.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/d3/0b0c1d1bf93ee51ebd63bf815cd1d405.jpg)
以上の二点を見比べて面白いことに気がついた。
兄の絵の色を分解して糸に着色して織りあげれば、士別さんのマフラーにならないか?
北の大地の人々の愛する風景、色彩の偶然の共通点に驚いて、なんだかとても嬉しくなった。
10年も妻の介護をなされているなんて本当に素敵なお兄さんですね。我が家の近くにもアルツハイマーの奥さんの面倒を見ている方がいらっしゃいますが、ご主人様の献身的な介護にはびっくりします。一人は定年を前に仕事をやめ片時も離れず、奥さんと手をつないで歩いています。食事、身支度、お風呂、すべてご主人様がめんどうを見ています。子供をあやす様な仕草です。時々大変だと愚痴はいっても片時もはなれません。これが反対だったらどうだろうか?時々第三者に頼んで、自分が楽しむことも忘れないですごすのでしょう・・・
お互い元気でいることが一番ですね。
久々に寝込んでます。熱と腹痛・・・日曜日ツーリングで雨にあたったのが悪かったのかしら・・
やはり、ここ一番の覚悟と言うか、腹を決めたら男の人の方が厳しい様に思えます。
nihao様の心遣いは、長くなれば 視野が狭くなってしまいがちな介護生活へのささやかでも暖かい風になったと思います。(…なんて、偉そうに、すみません。)
お兄様、ご無理なさらず、お疲れの出ませんように。
お兄様の絵画と士別さんのマフラーの色遣いが似ているとおっしゃってますが、nihao様の好みの色調の様に思いますが。。。
お兄様の絵には茶色が結構入っているので、茶系の洋服にこのマフラーをするってのはどうでしょう。
って私が好きなのよねこの色。(^^)
>妻の介護を第二の人生とする!と決意した男の覚悟
お兄様はすばらしい方ですね。一途な強さを感じます。
なんと言ってもやっぱり奥様がかわいいからでしょうね。
私も近い将来義父母を介護していく身。
いろいろ考えちゃいますね~
いえいえ、もう...そればかりでした。
だから兄を見ていると凄いなと思います。
ショートスティは月一度利用するかしないかだし、ディサービスも義姉がいやがると「仕方ないな」と言って休ませてあげます。
一体いつ休むのだろう、もっと休めばよいのにと思うのですが、兄はそんなに苦になっていない様子です。
すべての男性に当てはまる訳ではないでしょうが、兄やHUZUさんのご近所の男性のように、覚悟を決めた男の献身的な介護には頭が下がります。
>久々に寝込んでます。熱と腹痛
おっとこれは珍しい!鬼のかく乱だ!
兄は家庭のことなど全くタッチしないで過ごしてきた人ですが、いったん決意すると変わり身が早かったです。
女性の場合は、浮き世への未練が多すぎて駄目かもしれない(^_^)
私も夫の介護には自信がないです。
でも介護されるよりは介護する人の方が幸せなのではないかとつくづく思うので、先ずは健康に留意して暮らしていきましょう。
兄から絵を貰った後に士別さんからマフラーを戴いて、偶然にもその色調の共通性に驚きました。
厚い雪を溶かす暖かい春の日差しと川の流れ、これは北の大地に住む人の心の原点の色?
HUZUさんが「寒色なのに暖かい色」と感想を述べていますが、おそらく日差しを感じさせるからでしょうね。
マフラーは、ざっくりとしてとても軽くて暖かいです。
士別さんは、このマフラーを数時間で織り上げたんですって!
こまめさんの大好きな羊毛フェルトの作品なども見せていただき、目の保養になりましたよ。
>なんと言ってもやっぱり奥様がかわいいからでしょうね。
そうですね。確かにそれに尽きるかもしれません。
お互いの我が儘がぶつかって時々険悪になりますが、それでも修復出来るのは仲の良い夫婦だからかもしれません。
義父母様の介護は難しいと思うけれど、こまめさんなら出来ると思います。
明日はわが身、の年代となりまして、主人が倒れても私が倒れてもおかしくないわけで。
週末疲れた顔で帰ってくる主人を見ると、とても心配で、「大丈夫?大丈夫?」とずっとひっついて顔ばっかり見てます(笑)
若い頃だったら、飲んで食べて、翌日には復活したものですが。
今じゃ、ちょっと飲みすぎ食べ過ぎただけで、翌朝まで胃が重たくて・・・困ったものですね。
擬姉はそれをとても嫌がっていましたが、さすがに今回は止めていました。
男性の介護は論理的・分析的・徹底的です(^_^)
介護される側はちょっとたまらないかも...
兄も頑張っていますが義姉も頑張っているということですね。
すずめさんのご主人は単身赴任が長いから心配ですよね。
>「大丈夫?大丈夫?」とずっとひっついて
あはっ、場面が想像出来ます。
男性の場合は、退職前後5年が要注意です。
もっともっとひっついてあげましょう(笑)
介護って心を強く持ってしないと、継続できないなぁとつくづく思う今日この頃、十年続けているお兄さんは、金メダルを上げたい位すごいです!!
きっと色々分析もしながら長く続けていく秘訣も日々探求しているんでしょうねー。
まぁ、ありがとうございます(^_^)
兄も疲れたりイライラしているところは見受けられますが、絶対に弱音を吐きません。
私なら、つい外でストレスを発散したいと考えるところですが、兄の場合はすべてを受け入れている感じに見えます。
10年の間にはいろいろな感情が交錯したと思いますが、ふたりともかなり整理されてきたようです。
義姉も言いたいことがたくさんあると思うのですが頑張って耐えているみたい。
「介護に歴史あり」
完全にふたりの世界が出来上がっていました。