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『三浦綾子記念文学館』を訪ねて

2008-09-25 09:00:03 | 読書
 

               

 旭川市に平成10年にオープンした『三浦綾子記念文学館』は、今どき珍しい民営の文学館。

 
               

 記念館二階へ上がる踊り場の窓。
氷点』をイメージした雪の結晶のステンドグラスの向こうに、作品の舞台となった見本林が広がる。
『氷点』は朝日新聞社主催の日本初の一千万円懸賞新聞小説だった。
当時は百万円持っていれば百万長者と羨ましがられていたのだから、一千万は度肝を抜く破格の懸賞金額だった。
当時中学生だった私は、毎朝必ず『氷点』を読んでから学校に行った。

 記念館内には、三浦綾子さんの自筆原稿や愛用品、出版された作品等が所狭しと展示されている。
ご夫婦愛用の将棋盤も展示されていたが、羽生善治さんが旭川でビッグタイトルを賭けた対局があった時、当時病気療養中だった三浦さんを訪問したというほほ笑ましいエピソードを思い出した。

 以前読売新聞社の「好きな日本人作家」調査で第7位にランクされていた三浦さん、女流作家では一番人気だった。
単行本83冊、文庫本99冊の全著作が並んでいたが、これらの作品はみな42歳以降の仕事だというからおばさんパワー恐るべし!
17ヶ国語に翻訳され中国、韓国でよく読まれているというのも頷ける。
 
 彼女ほど多くの固定ファンを持つ作家は珍しい。
作品のテーマは(信仰・原罪・よりよく生きること)などの結構重たい内容なのだが、平易な文章でぐいぐいと読者を引っ張っていく卓越したストーリーテラーとしての才能は見事だと思う。
北の大地、旭川発信『三浦綾子記念文学館』はオススメだ。

 そういえば『氷点』受賞後すぐの三浦綾子さんの講演会に、母と二人で出かけたことがある。
三浦さんが作品の内容をふまえた上で
母の愛というのは、時としてとても残酷なものなのです。
とても含蓄のある話をされ、私は得心して横目で母の顔を盗み見た。

 帰途、母が私に向かってこう言った。
「あのね、三浦さんは自分の子どもがいないからあんなことが言えるのよ。
母の愛が残酷な訳がないでしょっ!」

 40年以上前の大変強気な母の発言を突然思い出した。


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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
氷点 (ギズモ。)
2008-09-25 09:52:31
おはようございます

当時、ブームでしたネ
テレビドラマで、内藤洋子さんが健気で可愛らしくて可哀そうで、涙した覚えがあります・・・

内藤洋子さん
喜多嶋舞さんのお母さんですよ
知ってるかなあ~~

母親役は・・・南田洋子さんだったかなあ~~
チガウかなあ~~

北海道に行く事があったら
『三浦綾子記念文学館』
『旭山動物園』
『旭川で泊まって遊ぶ』
ですね
ラジャー
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ギズモ。さんへ (nihao)
2008-09-25 14:38:59
ドラマ化された『氷点』は数々あれど......内藤洋子さんが出たのは第一作。
お互い年齢がわかりますねえ。
母親役は新珠三千代さんですよ。心の氷点を上手に演技していましたね。
結婚適齢期の頃の秋篠宮が、記者から「理想の女性のタイプは」と聞かれ、「新珠三千代さん」と答えたことがあって、渋い好みだなあとビックリしたことがありました。

ギズモ。さん、旭川での三点セット、忘れないでくださいね。
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Unknown ( 京こまめ)
2008-09-25 15:05:13
nihaoさんは中学の頃『氷点』を読まれたのですか。その頃と今とではまた感じ方が違うんじゃないでしょうか。原罪の受け止め方など。
三浦綾子さん、すごいですねぇ。42歳以降の作品ばかりですか。書く時って何か降りてくるんでしょうか・・私は雑念が入ってだめですよ。
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こまめさんへ (nihao)
2008-09-25 15:40:44
1963年頃のことです。
こまめさん、もしかしたらまだ生まれていない?

当時は原罪と言われても確かにピンとこなかったですね。
ストーリーの面白さだけを夢中で追いかけていただけでした。
もう一度読もうと思って本棚をさがしたのですが.....ない!ない!ない!
どうやら処分してしまったみたい。
ブックオフで買ってきて読んでみますね。
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Unknown (うらら)
2008-09-26 17:08:43
三浦綾子さんの作品は、私も殆ど読んだと思います。

我が家の近くに、休日には子供たちが集まるような家庭的な小さな教会があって我が家の子供もお世話になりましたが、そこの牧師様夫妻のことが「ちいろば先生」という作品に書かれています。
その奥様の温かい人柄は、いまも忘れる事は出来ません。
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うららさんへ (nihao)
2008-09-26 18:27:28
私も、記念館に展示されている全作品の7・8割は読んだ記憶があり、自分でもちょっと驚きました。
私の読書量が旺盛だったというよりも、そういえば三浦さんの作品って、図書館とか書店とか学校とか集会所とか、手に届きやすい場所に常にあったなあという驚きです。
とにかく面白くて読みやすい。
大勢の人に読まれる所以ですね。

『ちいろば先生』はまだ読んでいません。
今度見つけたら手にしてみますね。
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Unknown (百子)
2008-09-26 20:27:21
私も、三浦綾子さんの本が好きで、若い頃によく読んでいました。
「氷点」は、今も捨てられなくて、本棚の奥で茶色に変色しています。「塩狩峠」を読んで涙に埋もれた記憶もあります。

いろんな本を読んでも、すぐに内容を忘れてしまうこの頃ですが、(←老化)
いい本は、ずっと記憶に残っていますね。
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百子さんへ (nihao)
2008-09-26 22:14:25
『氷点』をまだ大切に保管していらしたんですね。
私はもう一度買ってこようと思っています。
原田康子さんの『挽歌』は、まだ残っているんですが......。

『塩狩峠』って、本当にあるんですよ。
今回車で走り抜けてきましたが、昔は大変険しい峠だったと思います。
この峠、三浦さんのおかげでとても有名になりましたが、小説を読むまでは、あのような悲話が実在することも知りませんでした。
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これはちょっと微妙 (燃える闘魂)
2008-09-27 00:24:31
> nihao さん

>読書量が旺盛

この場では(今の私の手許の資料では)確実な確認方法が無いので、実は私信でお送りしようかと思ったのですが、その方法がわからなかったので、そして以前に貴女の文章に対しての指摘については許可をいただいているのでここに書き込みます。

おそらく、という印象なのですが、「旺盛」という言葉は「食欲」「好奇心」「活力」など、何かをする(したい)気持ちとか性向とか、そういう「指向性、方向性」のあるもの以外に使うことには違和感があります。
因みに手許の辞書によれば、

>活動力が非常に盛んであること。また、そのさま。

>非常に盛んなようす。気力や精力などが盛んな・こと。

などと出ていますが、ここから直接に冒頭に引用した表現が「間違い」である、とは断言できません。しかし上記の説明に当てはめてみても、「読書量が盛ん」はちょっとヘンな気がする。やはり「盛ん」という解説に見られるように、「勢いがある、求める力や気持ちが強い、強い」というような、「傾向、性質」などを表す言葉だから、「読書量」のような言葉だと、多いか少ないか、大きいか小さいか、などの「量的」形容にしか馴染まないはずである、というところが私の違和感のもとでしょうか。

どうでしょう???
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燃える闘魂さんへ (nihao)
2008-09-27 09:19:22
ああ、確かにそうです、そうでした!
ご指摘の通りだと思います。
ありがとうございます。

この場合旺盛を使用するのなら「読書欲が旺盛」が正解ですね。
全く気がつかずに書いてしまいましたが、今さら、詩人nihao(?)の「量を力に置き換えた比喩である」と開き直ることは出来ませんね。

昨日どツボにはまって、闘魂さんにお聞きしたいと思った言い回しがありました。
「寸暇を惜しんで読書する」....これは解ります。
「寸暇を惜しまず読書する」....このような言い方は間違いでしょうか?
私には両者の違いがよく理解できません。
お時間のある時で結構ですから教えてください。


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