警察内部では「私も懲戒せよ」という声が公開的にあがるなど、むしろ反発が強まっている。今月30日「懲戒による弾圧」に抗議する全国現場チーム長会議の開催も新たに予告された。

2022-07-27 09:19:00 | 韓国を知ろう
予想超えた韓国の「警察署長の乱」、
総警らはなぜ立ち上がったのか
登録:2022-07-25 06:52 修正:2022-07-25 08:18
 
「署長の乱」で現れた反発の波紋 
大統領室「一般検事会議は全体意見 
警察署長会議は治安の責任担う地域からの離脱」 
「監察に抗議する」全国チーム長会議開催を予告 
「長官・大統領の顔色ばかり窺う庁長はダメ」 
ユン・ヒグン警察庁長官候補の辞退要求も
 
 
                                          今月24日午後、ソウル西大門区の警察庁=聯合ニュース

 全国警察署長(総警、階級で日本の警視正に相当)会議の波紋が、支持率の下落で苦戦する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の悪材料として浮上した。「早期鎮圧」のために大統領室まで乗り出して懲戒を促し始めたが、警察内部では「私も懲戒せよ」という声が公開的にあがるなど、むしろ反発が強まっている。今月30日「懲戒による弾圧」に抗議する全国現場チーム長(警監・警衛、それぞれ日本の警部・警部補に相当)会議の開催も新たに予告された。

 警察指揮部が突然懲戒に着手し、与党が警察叩きに乗り出したのは、現場の警察組織を束ねる警察署長らの会議出席の規模が予想を上回ったためとみられる。警察指揮部は21日、下位職の警察などが中心の警察職場協議会懇談会を機に、警察局をめぐる議論を一段落させる計画だった。来月2日、行政安全部に警察局が新設されれば、自然と反発も収まると予想したが、意外にも14万人に及ぶ現場の警察組織を管轄する警察署長を通じて反発が蘇り、大規模の監察・懲戒カードを持ち出さざるを得なくなったわけだ。

 実際、23日午後、忠清南道牙山(アサン)の警察人材開発院に集まった総警クラスの警察幹部は、警察内外の予想をはるかに越える規模だった。「警察の花」といえる総警全体約650人のうち、半分を越える357人が自身の名前をかけ、尹錫悦政権が警察改革の中心課題に掲げた行政安全部警察局の新設に反対した。人事・昇進に敏感な警察組織で、警察高位職に向かう出発点である総警クラスの集団行動がこれほどの規模になると予想した人は、警察内でも多くなかった。

 警察署長らの反発の導火線になったのは、警察局をめぐる議論に決着をつける代わりに報酬引き上げなど処遇の改善を強調したユン・ヒグン警察庁長官候補の18日の発言だった。警察の政治的独立と福祉を交換しようという警察首長候補の「侮辱的提案」(リュ・サミョン総警)の直後、急きょ立ち上げられた総警たちのグループチャットには、数日間で500人近い人々が集まった。23日の総警会議に出席したA総警は24日、「指揮部に『できることはやった』と言われたが、この無力感をどうすればいいかと考えていたところ、警察署長会議の提案があり、これに共感した多くの総警がオンラインとオフラインで出席することになった」と説明した。

 
今月23日午後、忠清南道牙山の警察人材開発院で開かれた全国警察署長会議後、総警級幹部の出席者たちが会場を後にしている。同日の会議に参加できなかった総警級幹部約350人は「国民の警察」リボンがかけられたムクゲの植木鉢を送った/聯合ニュース

 現場の指揮官としての責任感もあった。会議に参加したB総警は「現場の職員が警察局に反発するのを見ながら『指揮官の私たちが何もしなくても良いのか』と考えざるを得なかった」と話した。ある警務官は「現場の指揮官である総警は上層部の指示ばかり気にしていては、現場で顔が立たない」と話した。

 警察署長会議の前に「暇なのか。非常に不適切だ」と警告発言をした行政安全部のイ・サンミン長官は、大規模な監察・懲戒事態に広がった24日には口を閉じた。その代わり、与党の国民の力はもとより、キム・デギ大統領秘書室長まで乗り出して、警察署長叩きに乗り出した。治安監(日本の警視監に相当)人事が覆され物議を醸した当時、むしろ警察に向かって「国の規律を乱した」と批判した尹錫悦大統領の「警察に対する不信感」が反映されたのではという見方もある。

 ただでさえ「検察政権」のレッテルが貼られている尹錫悦政権が、検事と警察の集団行動に対して異なる態度を示したのも、警察の反発に火をつけた。与党は政権引継ぎ委時代、検事たちが検察庁法改正に反発し、一般検事から高等検察庁長までが大統領と国会議長、国会、法務部長官をまとめて非難した集団行動を煽った経緯がある。平日に2日間にわたって全国一般検事会議が開かれ、長官直属の法務部検察局検事まで会議を開いた。大統領室関係者は同日、「一般検事たちは所属庁の一般検事たちの意見を集めて会議したもの。治安の責任者たちが地域を離れて会議したのとは本質的に異なる」とし、一般検事より責任範囲がはるかに広い警察署長会議を非難した。これに対し、リュ総警は「休日に館外旅行申告など法的手続きを守って出席した。問題は全くない」と反論した。会議に出席しなかった首都圏のある総警さえ「検事たちは数回会議を開いたのに、一度も不利益を受けたことがない」と不満を示した。

 警察のイントラネットには「私も待機発令せよ」として指揮部を批判する文が続々と登場し、警監と警衛クラスの会議が新しく予告された。警察大学所属のある総警は「警察の中立性・独立性を確保するために会議に出席したことを申告する。だから、名簿を把握する必要はない」とし、自ら名乗り出た。慶尚南道庁所属のある警察官はユン警察庁長官候補に向かって「国民と組織員を無視し、長官と大統領の顔色ばかりうかがう庁長を私たちは望まない」と書いた。会議に出席しなかった警察庁のある総警は「高速昇進したユン候補は、上層部の圧力に耐える力がどうしても弱くならざるを得ない。政界まで加勢したことで、警察内部の傷が深まることになった」と話した。ソウル広津(クァンジン)警察署のキム・ソンジョン警監は、「自分のことは二の次にして正しい行動をする立派な指揮官を失うことになれば、私たちは今後、自分の利益を重視する忠犬の指揮官の下で国民を弾圧する『犬察』になるだろう」という書き込みを掲載し、30日、警察人材開発院で警監と警衛クラスが主軸の全国現場チーム長会議を開催すると明らかにした。

パク・スジ、チャン・ナレ、コ・ビョンチャン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする