インドネシアのプラボウォ国防相は「いかなる軍事同盟にも関与しない」立場を改めて鮮明にし、「相違があっても友好的な方法で解決に努めるのがアジアの道だ」と述べました。

2022-06-20 18:35:36 | アメリカの対応

東アジアの平和

9条生かす外交こそ未来開く

 参院選に向けた論戦の中で自民党や日本維新の会など改憲勢力は、ロシアのウクライナ侵略に乗じて軍事力の強化を声高に主張し、憲法9条への攻撃を強めています。力による対決をあおるやり方では平和はつくれません。9条を生かした外交で東アジアに平和の枠組みを築くことこそ日本が進むべき道です。

地域を包む枠組みつくれ

 10~12日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で東南アジア諸国連合(ASEAN)各国は、米中対決が強まる中、粘り強い外交で紛争を解決することを呼びかけました。

 インドネシアのプラボウォ国防相は「いかなる軍事同盟にも関与しない」立場を改めて鮮明にし、「相違があっても友好的な方法で解決に努めるのがアジアの道だ」と述べました。

 シンガポールのウン・エンヘン国防相は、東南アジア友好協力条約(TAC)が東アジアの平和にとって「核心的な法律文書」だとし、安全保障のためには、中国を含めてすべての国を包み込む「包摂性」が強調されなければならないと表明しました。

 講演で日米同盟の強化と軍拡に前のめりの姿勢を示した岸田文雄首相と対照的です。

 ASEANは1976年に締結したTACを土台に、平和と協力の地域を築き上げる努力を半世紀近く続けてきました。TACは「紛争の平和的手段による解決」「武力による威嚇または武力の行使の放棄」を明記しています。

 ASEANは、ASEAN10カ国と日米中など8カ国で構成する東アジアサミット(EAS)を強化し、TACの原則にそくして、東アジア規模の友好協力条約を展望する構想を提起しています。ASEANインド太平洋構想(AOIP)です。

 2019年6月のASEAN首脳会議はAOIPの目的、原則などを採択しました。「対抗でなく対話と協力のインド太平洋地域」をめざすことや、ゆくゆくは東アジア全体でTACの平和原則が国家関係の規範となるようにすることを提唱しています。軍事ブロックのように、特定の国を仮想敵に見立てて排除する仕組みと対極的な方向です。

 5月に東京で首脳会合が開かれた「クアッド」(日米、オーストラリア、インド4カ国の枠組み)は対中国包囲の色彩が濃く、対立を拡大していく危険をはらんでいます。いま世界で求められているのはこうした排他的なやり方ではなく、地域のすべての国を包み込む平和の枠組みです。

ASEANと協力進めよ

 EASを活用して東アジア規模のTACを締結し、戦争の心配のない平和な地域を築こうというのが日本共産党の「外交ビジョン」です。AOIPはこの方向と合致しています。現に存在するEASを発展させる点で、どの国も賛成しうる現実性のある提案です。

 憲法9条は、国際紛争を解決する手段として戦争、武力による威嚇、武力行使を放棄しています。TACの原則と共通する考えです。日本政府が9条を生かした外交に徹することが重要です。紛争の平和的解決を安全保障の第一に据え、ASEANと協力してAOIPを本気で推進することが日本に求められている役割です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 尹大統領の出勤途上の発言を総合すれば、前政権に任命された委員長には「自ら判断せよ」と遠回しに辞任を促しながら、前政権時代の辞職強要事件に対しては検察捜査が必要だと語っているわけだ。

2022-06-20 09:20:54 | 真の解決目指して

「辞職強要は犯罪」だと言っていた検事…

大統領になった途端に遠回しに辞任圧力

登録:2022-06-18 02:33 修正:2022-06-18 08:32
 
尹錫悦大統領、文在寅政権から任命された 
チョン・ヒョンヒ、ハン・サンヒョク両委員長に遠回しに辞職促す 
文政権ブラックリスト疑惑の捜査は擁護 
尹、朴槿恵の辞職強要を捜査…「自分に甘く他人に厳しい」
 
 
尹錫悦大統領が17日、ソウル龍山の大統領室庁舎に出勤し、記者の質問に答えている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、文在寅(ムン・ジェイン)政権に任命されたチョン・ヒョンヒ国民権益委員長とハン・サンヒョク放送通信委員長の任期について「ご自身で判断する問題」だと述べた。国民の力から辞任圧力を受けている2人に事実上、自ら身を引くよう求めたわけだ。にもかかわらず、産業部ブラックリスト疑惑についての検察による捜査は「正常な司法システム」だと評価した。尹大統領自身は文在寅政権の関係者に対して辞任圧力を加えながら、文在寅政権による機関長辞職強要疑惑に対しては捜査が必要だという二重的な態度を示したのだ。

 尹大統領は17日、ソウル龍山(ヨンサン)の庁舎への出勤途中での囲み取材で、チョン・ヒョンヒ、ハン・サンヒョク両委員長の国務会議排除問題について「あえて来る必要もない人まで同席させる必要があるのか」と述べた。「2人に身を引いてほしいのか」との問いには「任期があるのだからご自身で判断してくれ」と答えた。権益委員長と放通委員長は大統領が任命する。文在寅政権に任命された2人の任期満了はそれぞれ来年6月と7月。

 尹大統領は、検察の産業部ブラックリスト疑惑に対する捜査をめぐって共に民主党が「政治報復」だと反発していることを問われ、「民主党政権時代にはしていないのか」と問い返した。そして「正常な司法システムを政治的に論争化するのは望ましくない」と語った。

 尹大統領の出勤途上の発言を総合すれば、前政権に任命された委員長には「自ら判断せよ」と遠回しに辞任を促しながら、前政権時代の辞職強要事件に対しては検察捜査が必要だと語っているわけだ。

 尹大統領は2017年に国政壟断事件の特検捜査チーム長を務め、朴槿恵(パク・クネ)元大統領が「本当に悪い人」、「まだ現職なのか」と述べたノ・テガン元文化体育観光部局長辞職強要事件を捜査している。最高裁では職権乱用罪が確定している。

 そのため政界と法曹界からは、チョン・ヒョンヒ、ハン・サンヒョク両委員長に対する尹大統領の遠回しの辞職強要について「自分には甘く他人には厳しい」との批判の声があがっている。元検事のある弁護士は「直接的な辞職強要ではないが、政治的圧力を加えたもの。環境部と産業部のブラックリスト事件があるためジレンマに陥ったように見える」と述べた。共に民主党のウ・サンホ非常対策委員長は前日、「自分たちも文在寅政権が任命した任期制公務員に対して居座りと批判したり、辞任を促したりしているではないか。これもブラックリスト事件か」と批判している。

ソン・ヒョンス、ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする