予定されていた打ち上げの中止を引き起こした韓国型ロケット「ヌリ号」の1段の酸化剤タンクレベルセンサー(水位感知器)誤作動の原因が、肉眼点検を通じて早ければ同日中にも明らかになるものと予想される。

2022-06-18 09:08:48 | 韓国を知ろう

韓国型ロケット「ヌリ号」、点検に突入…

23日までに打ち上げられるか

登録:2022-06-17 06:10 修正:2022-06-17 08:13
 
16日午前8時30分から点検作業開始 
酸化剤レベルセンサーの点検のためには1・2段の分離が必要
 
 
韓国型ロケット「ヌリ号」の2回目の発射が再び延期された。打ち上げ予定日を翌日に控えた15日、全羅南道高興郡の羅老宇宙センターでヌリ号が組立棟に移動するため発射台から外されている=写真・共同取材団//ハンギョレ新聞社

 16日に予定されていた打ち上げの中止を引き起こした韓国型ロケット「ヌリ号」の1段の酸化剤タンクレベルセンサー(水位感知器)誤作動の原因が、肉眼点検を通じて早ければ同日中にも明らかになるものと予想される。しかし、肉眼検査で原因が明らかにならない場合、ヌリ号の1段と2段を分離するなどの複雑な作業が必要であり、原因の把握と補完にかなりの時間がかかるものとみられる。

 韓国航空宇宙研究院(航宇研)は同日、「15日、ヌリ号発射管理委員会の決定を受け、ヌリ号を発射台からロケット総合組立棟に移送する作業を午後10時30分に完了した。その後、16日午前8時30分からヌリ号を組立棟の特定の場所に移し、点検のための器具の装着と電気線の連結、点検窓開放などの準備作業を進めた」と発表した。

 ヌリ号は15日午前、第2発射場に移され、発射台に立てられた後、電気アンビリカル(「へその緒につながった」という意味。ヌリ号発射に必要な燃料と酸化剤を供給)を連結し、電気部品を点検したところ、酸化剤タンクレベルセンサーに異常が見つかり、発射が中止となった。

 1段目には一番下からエンジン部、燃料タンク、タンク連結部(インタータンク)、酸化剤タンクの順に結合されている。酸化剤がどれだけ充電されたかを感知するレベルセンサーは、酸化剤タンクの上部に装着されている。ヌリ号が横に倒れていた時とは違い、立てられた場合は、レベルセンサーの浮標が一番下に下がって信号が変わらなければならないが、ヌリ号が発射台に起立した後も信号値がそのままであることが発見された。燃料タンクのレベルセンサーは正常作動した。

 航宇研のコ・ジョンファン韓国型ロケット開発事業本部長は16日、「レベルセンサー作動にエラーを起こしうる部位は、レベルセンサー自体、信号または電気パワーを連結する電線類(ハーネス)、信号処理ボックスの3カ所で、このうち電線類と信号ボックスはタンク連結部に、レベルセンサーは酸化剤タンク上部に位置している」と説明した。

 航宇研はまず接近しやすいタンク連結部から点検に入った。同日午後2時50分頃、タンク連結部点検窓を開き、4~5人が入って点検作業を行っている。コ本部長は「この部分は早ければ同日夜までに点検を完了できる」と話した。

 もし、この作業で原因を明らかにして補完できれば、ヌリ号の打ち上げは再び進められる可能性がある。科学技術情報通信部(科技部)はヌリ号発射予備日を23日までと設定しているため、補完作業が21日までに完了すれば、22日にヌリ号を発射台に設置し、23日に発射することも可能だ。

 しかし、ここで原因が見つからなかった場合、酸化剤タンク上段のレベルセンサーを点検する作業は困難を極める。1段の酸化剤タンクの真上に2段エンジンがついており、人が直接点検するのが難しいからだ。1段と2段を結合するには3日ほどかかるが、再び分離するのにどれくらいかかるかは分からない。すでに飛行のために段組み立てが終わった状態なので、分離は慎重に進めなければならない。コ本部長は「段分離装置だけでなく、段分離や逆推進モーター、飛行終端システムなどに使われる火薬類と点火装置などが装着されているため、極めて慎重に行わなければならない」と語った。

 レベルセンサーに異常があった場合は、現在組み立て中のヌリ号3号機のレベルセンサーを代わりに使用することはできる。しかし、段分離などにかかる時間などを考慮すれば、今回の発射予備日内に発射を再試行するのは容易ではなさそうだ。この場合、科技部は発射日を再設定し、国土交通部を通じて国際民間航空機関(ICAO)と国際海事機関(IMO)などに通報する手続きを再び踏まなければならない。航宇研のオ・スンヒョプ・ロケット体推進機関開発部長は「国際通報手続きには通常4週間から1カ月はかかる。一度設定した発射日を修正または延期する場合はこれより短く、1~2週間程度かかりうる」と述べた。

 しかし、来週からは梅雨が発射日程に影響を及ぼしかねない。科技部が当初、6月15日を発射日に決めたのも、6月下旬の梅雨を避けるためだった。気象庁は現在、北側から流入する冷たい空気が停滞前線の北上を防いでいると発表したが、来週からは非常に流動的になると予想している。

イ・グニョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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