「一帯一路」開始から9年…
中国の影響力と好感度、アフリカで米国を抜いた
影響力、中国77%、米国67%
肯定的な影響、中国76%、米国72%
アフリカの青年層を対象にした主要国の影響力と好感度の調査で、中国が米国を抜いて1位を占めた。2年前の調査では、米国は好感度で中国をリードしたが、今回は逆転した。2013年に中国が始めた対外拡張政策である「一帯一路」事業が、様々な物議をかもしながらも効果を発揮しているものとみられる。
中国、2年前に比べ影響力・肯定評価ともに米国をリード
南アフリカ共和国の「イツコウィッツ家族財団」が13日(現地時間)に公開した報告書「2022年アフリカ青年世代調査」によると、中国は影響力部門において77%で、アフリカで最も影響力の大きい国との調査結果が出た。米国は67%で、中国に次ぐ2位。両国の影響力の差は10ポイントで、以前の調査よりさらに広がった。2年前の調査では中国が79%、米国が74%と差が5ポイントだった。両国いずれも影響力は下がったが、米国の下落幅の方がはるかに大きかった。今回の調査は、アフリカ15カ国の18~24歳の若者4507人を対象に行われた。
肯定評価の部門でも、中国は米国を抜いた。アフリカの若者の中で中国が肯定的な影響を与えると答えた割合は76%で、アフリカ連合(AU、82%)と南アフリカ共和国(80%)に続き3位だった。米国は72%で、中国をはじめ欧州連合(EU、74%)や英国(75%)などにも後れを取った。2020年の調査では、米国に対する肯定評価が83%で、79%の中国を上回ったが、2年で逆転したのだ。特に中国が「非常に」肯定的な影響を与えると答えた割合は35%であるのに対し、米国が「非常に」肯定的な影響を与えると答えた割合は26%にとどまった。
イツコウィッツ財団は、ブルームバーグ通信とのインタビューで、「他の国々がアフリカ開発にほとんど参加しない時にも中国は常に行ってきた。中国がついにトップに上がった」として「特に投資と貿易、インフラ構築などにおいて、米国の役割は非常に微々たるものだった。困惑するほどだった」と述べた。
「中国、適正価格を払わず資源を持ち出す」否定的な反応も
中国の影響力を具体的に分析した部分をみると、中国に対するアフリカ諸国の食い違った反応がみられる。まず、中国の影響力を肯定的に捉える人の44%は、中国製品が安いという点を挙げた。社会の基幹施設に対する投資と援助が41%で2位、アフリカに雇用を創出するという点が35%で3位だった。国家融資や経済的支援(29%)、輸出市場の提供(17%)なども重要な理由だった。要約すると、スマートフォン、衣類、自動車など価格競争力を備えた中国製品や、中国政府の積極的なアフリカ投資と援助などが、中国を肯定的に評価する主な理由とみられる。
いっぽう、中国を否定的に捉える人のうち36%は、中国が適正な価格を払わずにアフリカの資源を持ち出すという点を挙げた。中国の労働者がアフリカで現地人の雇用を奪っているという点(24%)と、中国投資による経済的植民地化に対する懸念(24%)が後に続いた。アフリカに対する尊敬が欠如しており(21%)、中国向け融資の返済が難しいという点(21%)も理由にあげられた。中国の積極的なアフリカ投資に対する悪影響と、中国がアフリカを支援する実際の本音がみえるということだ。
2013年から対外拡張政策の「一帯一路」開始…影響も深刻化
中国がアフリカ諸国に積極的に投資しはじめたのは、習近平国家主席が2013年に重要な外交政策として対外拡張政策である「一帯一路」を打ち出してからだ。中国の西側である東南アジア、中央アジア、アフリカ、欧州地域に「陸路」と「海路」で進出するということだが、経済・軍事拡張を目的としている。中国内の遊休資本と労働力の活路を開き、同時に米国など西欧圏が重要視していない地域に対する影響力を拡大するという目標が含まれていた。
具体的には開発途上国と低開発国などに中国資本を貸し、中国の会社と労働者を進出させ、高速道路や橋梁、港湾などの社会基盤施設を建てる方式で行われた。アフリカではケニア、エチオピア、タンザニアなど資金の足りないアフリカ諸国がこの事業を積極的に受け入れた。だが、一部の国が借金まみれになったり、返済不能状態に陥ったりしたことで、中国の「借金取り外交」という批判が出ている。