強制徴用賠償請求、今度は消滅時效が争点に
登録:2018-11-10 06:10 修正:2018-11-10 08:15
登録:2018-11-10 06:10 修正:2018-11-10 08:15
最高裁の判断後に再開された下級審で
日本企業側、時間稼ぎ策に出る
「違法行為による損害を認識した日」めぐり
2012年5月と2018年10月に意見分かれる
10月30日午後、「強制動員問題の解決と対日過去清算のための共同行動」の会員たちと被害者がソウル市瑞草区瑞草洞の最高裁前で記者会見をしている。強制徴用被害者イ・チュンシクさん(94)が感想を話しながら涙を流している=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社
日本企業に強制動員の被害者らに対する損害賠償を命じた最高裁判所(大法院)の初の確定判決が下されたが、後続訴訟でも同じ結論が出るかが議論になっている。最高裁が韓日基本条約にもかかわらず、個人の損害賠償請求権は消滅していないと明らかにしたものの、「消滅時効」については明確な判断を示さなかったからだ。
ソウル中央地裁民事2部(裁判長キム・ハンソン)が8日に行った強制動員被害者たちの損害賠償請求訴訟で、被告の日本企業新日鉄住金(旧新日本製鉄)側の弁護士は「消滅時効カード」を取り出した。「消滅時効についてまだ最高裁の判断が下されていないため、弁論期日を改めて決めてほしい」と主張したのだ。
最高裁判所の全員合議体が先月30日、新日鉄住金に強制動員の被害者たちに1億ウォン(約1千万円)の賠償命じる判決を言い渡してから、強制動員関連下級審の裁判が再開されている。今月23日にはソウル高裁で株式会社不二越(旧不二越鋼材工業)など3件の損害賠償裁判が相次いで行われる。三菱重工の損害賠償控訴審の判決は12月5日に言い渡される予定だ。しかし、新日鉄住金側の弁護士は、全員合議体が依然として審理中の三菱重工業の損害賠償判決が出るまで、裁判の延期を主張した。同訴訟は、強制動員被害者の損害賠償を認める趣旨で、新日鉄住金事件をソウル高裁に差し戻した2012年5月の最高裁判決後に提起された。「韓日協定と損害賠償請求権」問題が解決しただけに、残った核心争点は消滅時効だ。 このため、日本企業は消滅時効で裁判の足を引っ張るものとみられる。
民事訴訟は被害者が違法行為による損害を「認識した日から3年」以内に提起しなければならない。この期間が過ぎると、損害賠償請求権が消滅する。2012年5月の最高裁の判決を消滅時効の起算点とすれば、3年後の2015年5月に消滅時効が終わる。それ以降に訴訟を提起した被害者らは救済を受けることができない。
強制動員被害者側は最高裁の確定判決が出た今年10月30日を消滅時效の起算点にすべきと主張する。キム・セウン弁護士は「2012年の最高裁の判決は確定判決ではなかった。今回の最高裁の確定判決を受け、強制動員の被害者らはようやく、損害賠償請求権が韓日請求権協定により消滅していないことを認識した」と話した。この場合、消滅時効は3年後の2021年10月30日まで、下級審で審理中の12の事件にも消滅時効の問題がなく、追加訴訟を提起することもできる。
反人権犯罪には消滅時効を適用してはならないという声もあがっている。イ・サンガプ弁護士は「国家による人権侵害事件に消滅時効を適用すること自体が問題がある」と指摘した。
コ・ハンソル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)