沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩398 沖縄からのメッセージ 26

2013年03月17日 07時10分15秒 | 政治論
 第一次大戦後のドイツの惨澹たる状況にあって、ヒトラーの社会経済政策が当初極めて良好な成果を上げたことは、彼の言わば珍しい大手柄には違いないし、これにより彼の邪悪な独裁政治が大衆的人気を確保し、人心を巧みに把捉操縦する強力有効な機能を準備したことは了解されよう。
 しかし「邪悪な」ヒトラーの野望に満ちたファシズムは、マイノリティの弾圧阻害排除の、機械的計画的な実行という犯罪傾向を伴って、その実際的な施策を強引に推し進めるというものにほかならなかった。
 大衆を篭絡することにかけては彼以上のカリスマは史上にも稀有なのだが、合目的的政治、つまりは絶対主義的独裁政治にあっては、これも極めて効率の良い人心収攬手段のひとつに過ぎないのであり、「アメとムチ」はここでも実例として生きているということになる。
 何らかの期待感だけで現象している、先物買い的な株価上昇円安加速を経済学的に評価しようという、現今安倍政権への妙な擦り寄りもみられてきたが、過去の例には、こうしたバブル的空気の最終結末を史実化して示していることを危機的に知らねばなるまい。
 つまり、こうした景気動向の上向きな傾向の一方には、チェリノブイリ以上の悪条件を醸している、原発事故の深刻さを棚上げするかのように「原発ゼロ」見直し、つまりは再稼働新設増設を可能にする方向への転換によって、「フクシマ」を切り捨てようとしていることもあり、更には4月28日「主権回復」祝賀にみられる、その日が「屈辱の日」たる一方の沖縄に対する軽視断面があり、合意事項を大方踏みにじる米軍オスプレイ飛行訓練実態に関する抗議改善要請の欠如、県が大挙して反対している「辺野古移設」を何が何でも(今度は一体化兵力の確保ときた!)推進しようとして、もともと政治に疎い地元漁協を容易に籠絡し、公有水面埋め立て許可申請をしようとしている。
 この、言わばマイノリティ阻害軽視排除の犯罪性は更に、東村高江におけるオスプレイヘリパッド建設強行による住民迫害、環境破壊となって顕現している。
 メデア・マスコミの無批判な上昇志向の扇動傾向は、こうした一方における阻害迫害排除事実に対する警告を含めたジャーナリズムを展開することなしにはただの体制迎合にしかならず、戦前戦中の報道一般がそうだったことを徹底して自己批判しなければなるまい。「決める政治」は結局拙速と議論の希薄という、バランス欠如傾向を醸す。(つづく)