沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩398 沖縄からのメッセージ 20

2013年03月04日 07時21分34秒 | 政治論
 福島県双葉郡富岡町は3.11で全域が警戒区域となったのだが、内、北東部は昨年12月の区域再編会議では帰還困難区域指定が確定的で今年度中にも決定するらしい。
 この帰還困難な区域の中に、かつて日本一小さな漁港と呼ばれた小良ケ浜を有する地域がある。筆者は以前本土で土木系の業務に従事していて、福島第一原発のある大熊町や富岡、楢葉、広野、など大津波や原発事故の多大な被害を甘受せざるを得なかった相双地方(相馬双葉地方)の主に公共工事関係調査をしていたのだが、故あってこの小良ケ浜にも何度か足を運んでいる関係から、今日偶々見ていたNHKの番組でアーカイブ放送を視聴し、1986年当時の映像と現在福島県内各地に避難生活を余儀なくされている住民の方々の表情など拝見し、ひとしきり感慨に耽る仕儀と相成った。
 桜井洋子キャスター、鎌田慧氏、1986年時の映像に登場する漁民のかたの現在の心境、あるいはその他の近隣住民の話など聞いているうちに見えてくる、原発を巡る地域住民と国の関係構造を思うと、筆者が住しているこの沖縄県で、今沖縄防衛局から辺野古を擁する漁協に埋め立て同意申請が出されていて、今月中にも北部土木に公有水面埋め立て許可申請をしようという動きの中、「札びら切って」誘致したまがい物が、今後我々の児孫に加えるであろう、見るも無残な「自業自得な結果」というものにピタリと当てはまり、ゾっとしたことを報告しておく。
 日本一小さな漁港「小良ケ浜」は出港も入港もえらく手間のかかる港だが、深くなることはあっても土砂の堆積がない天然の良港で、「今にして思えば」苦労はあっても実にいい生活の場であったというのが人々の共通の感想だった。
 危険極まりない原発を押し付けるために、国に金を積まれ無用な施設や箱物を見せつけられて、古い、かつての苦労が多い生活の場を捨て、結局与えられたものは帰還困難区域と化す故郷の、死に絶えた土地と生活にほかならない。
 国策の全てがそうだとは言わないが、沖縄県総ぐるみで移設反対を叫ぶこの状況下、地元の漁協だけが、どう見ても(一部)地域振興策、つまりは札びらになびいて同意するとしか見えないのにかかわらず、99%同意が得られるなどと豪語する権力者たちの神経は信じがたい。言葉足らずで恐縮だが、隣村宜野座漁協の反対姿勢は名護漁協に同じ考え方の生まれる兆しと感じるのだ。(つづく)