沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩395 「人間の国」でない国にいる我々 26

2012年11月19日 17時20分19秒 | 政治論
 自衛隊は、GHQの指令でできた警察予備隊から「国軍」化した、国際法上のれっきとした「軍隊」であり、交戦の可能性は、相手が宣戦布告すれば自動的に生じるはずの所謂「暴力装置」にほかならない。従って必ず実体的には、9条の2項に違背する方向へ進展する、流動的「解釈媒体」としての道具であり、「戦力不保持」「戦争放棄」「交戦権否認」いずれについてもこれに抵触する事実上の違憲機関と看做される。戦後史はこの原理を渋々承認し自衛隊合法化工作に明け暮れたが、結論は憲法改悪以外には何事も進まないというところに落ち着いた。つまり現在この国は憲法違反の「軍隊」を保持し続ける不思議な国家体制にあるのだが、自衛隊が米軍の補完部隊として機能し、合同訓練で戦力の充実を諮り、海外派遣すら可能にした結果、当然ながら向後これを戦力として保持強化するためにも、米軍と一体となって米軍の方針どおりに行動していく必要性から、憲法を改悪し、再軍備宣言し、ついでに核武装を達成する事実上の軍国化(軍事を中心に据える対外政策)をこの国は策動している。従ってアジア西太平洋にシフトした米軍の世界展開構想に則って、日米軍事同盟に忠実に従い、米軍と共同の戦略展開を実行しているのが現在の尖閣騒動を核とした、沖縄近海におけるこの国の軍事的施策にほかならない。アメリカが日本国の再軍備(事実上自衛隊がそれだ)になんらの警戒感も示さないのは当然だが、一方核武装については恐らく静観しているだろうし、望んでもいないし(日米安保の「核の傘」論が消滅する)、またその莫大な核兵器製造費用からみても、国内輿論の趨勢からしても、それは日本にとってきわめて困難な企てだと見ているだろう。しかしながら、現在国内にある50数基の原発が齎らす核物質には核兵器のための資源という狙い目があるはずで、原発事故後実際原発行政に対する米国の圧力がかかって、再稼働はもちろん原発新設までしようとした形跡がある。このように日米の軍事的提携は、日本の自衛隊を従えて米軍が物量と人員規模に物言わせて、対中橋頭堡の確保という使命に忠実なることでは些かの躊躇いもない。安保条約にさえ違背している(その発動は夫々の国の法秩序に基づくことを前提しているのにも関わらず憲法違背の軍略的行為に勤しんでいる)自衛隊の軍事的作戦訓練行動は、その行為の犯罪性と米国植民地政策とにより諸共に問答無用で行使される性質を持たされている。オスプレイは日本列島の上空乃至低空を我が物顔に飛び交い、墜落の危険性と重低音乃至耳障りな爆音を轟かせてこの国の民を翻弄してやまない。とりわけ国内74%の米軍基地を押し付けられオスプレイの展開基地に設定された普天間を抱える沖縄本島は、既に有名無実化したオスプレイ飛行経路時間等に関する日米合意(この合意というやつがかつて厳正に守られたことはない)逸脱飛行乃至訓練の横行によりいよいよ危険極まりない状況に押し込まれ、「世界一危険な基地」の故に「普天間返還」する手はずが逆に辺野古に新基地建設するという便乗的条件で外交課題を16年間無作為に中座させて一向に進捗せしめないばかりでなく、対中戦雲いよいよ暗く尖閣近辺に漂い始めたと触れ回り、戦時的様相を醸し出そうと画策しつつ一層の軍拡行為に余念がない日米戦争大好き連中のいいように掻き回されている。先の大戦で未曾有の危難を被った沖縄県民とは何の関係もなく戦後を過ごした平成天皇が「海つくり大会ご臨席!!」の間際に、またぞろ米兵不祥事を連発しては沖縄県民の怒髪天を突くという、この国のふざけ切ったありようをこの天皇はどう思ったものか。彼もまた「人間の国」でない国に住する、一人の「間」として何事もなかったかのように振る舞い死ぬのだろう。(中断)