犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

【能登半島地震】令和6年能登半島での生活インフラの復旧

2024年09月17日 | 能登半島地震
(電気の復旧)
 能登町、特にその内の旧柳田村では、山間に小集落が点在している。
 集落間の生活道路に沿って電力線が通じている。
 今回の地震では、倒木や斜面崩壊による電柱の傾倒によって長期に渡り、電力が不通となった。
 生活インフラの内の「電力」は早期に回復するといわれていた。
 村の中心の地区では、地震後、短時間で回復したところもあったが、集落によっては、回復に2カ月かかった。
 住民が望んでいるわけではないが、これでは過疎化、集落消滅を促進することにもなりそうだ(-_-;)

(上下水道の復旧)
 今回の地震では、幸い、上下水道ともに基幹となる浄水・処理施設の被害は少なかった。
 各家庭と基幹の施設を結ぶパイプ、管路施設の被害が多数発生。
 1995阪神大震災、2011東日本大震災、2016熊本地震と比較してかなり大きい。※

 「上下水道地震対策検討委員会・中間とりまとめ」では ※※
 ●耐震化未実施であった基幹施設等で被害→ 広範囲での断水や下水管内の滞水が発生→ 復旧の長期化
 この点は、いずれの地震においても指摘されてきたこと、
 また、
 ●「避難所」など重要施設に係る上下水道管路の一体的な耐震化
 と指摘したが、災害時の「避難所」だけは非常用の水と電気を確保するため、優先して実行してほしいところだ。
 今回、一部で、可搬式の飲料水供給設備、汚水浄化プラントの支援が注目。
 そして、
 ●国が上下水道一体の全体調整を行い、上下水道一体で復旧支援する体制の構築
 とした。
 上水道は厚生労働省、下水道は国土交通省、集落排水事業は農林水産省、浄化槽は厚生労働省の管轄であり、バラバラが復旧の支障の一つ。
 今後は、上下水道を国土交通省が統一して管轄する方向になるようだが。

 これまでの生活インフラの方向は、「広域化」、経営の「合理化」を進め、さらに「民営化」だったが。
 思いつくままに、
 「広域化」→ 進めるにあたっての留意事項は、
 人口減少、住家減少を踏まえ、集合処理するのではなく、柔軟に各戸の浄化槽を整備することも肝要。
 広域化が進むほど、連絡網が寸断される危険が高まり、全体の機能が低下する。
 「合理化」→ 効率的ではないにしても、管路をループ化して断水になりにくいシステムも必要。
 「民営化」→ 上水道の復旧に、輪島市へは東京都の支援、珠洲市へは名古屋市の支援が入ったが、公営であるから、支援が容易に進んだ。
 責任ある維持と災害対応を民営に求めにくいのではないか。
 
※ 上下水道地震対策検討委員会 中間とりまとめ 令和6年5月29日
https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000572.html
 
※※ 上水道管路の被害率(管路kmあたりの修理が必要な被害個所数)
 珠洲市(2.09):神戸市(0.32):仙台市(0.07):熊本市(0.03)


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