「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

日本と世界のリアル状況確認と僕の思索を書き留めるブログ。
重要なことはメルマガで展開していますので、ご購読下さい。

ごく真っ当な日弁連会長メッセージをみなさんに読んでいただきたいです。

2011-04-24 00:43:11 | 福島第一原発と放射能

福島の学校の問題について、政府決定の撤回要請署名がまわっています。僕も署名しました。

http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/04/20-4449.html

 

賛同受付フォーム 【緊急声明と要請】子どもに「年20ミリシーベルト」を強要する日本政府の非人道的な 決定に抗議し、撤回を要求する。

署名フォームは以下の通り↓

 

表記に賛同していただける方は、【4月25日午後11時まで】に、下記にご記入をお願いします。 呼びかけ団体:グリーン・アクション、グリーンピース・ジャパン、原子力資料情報室、福島老朽原発を考える会、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会、国際環境NGO FoE Japan

 

 情報を、さらにお伝えします。まず親しい官邸のスタッフから、福島県内の学校について、どうして日弁連会長ののごく真っ当なメッセージがほとんど、メディアを通じて世の中に流れないのかと言う話がありました。官邸を動かすためにも、世の中に情報を伝えてくれと言うのが彼の言い分です。現在、僕はこのブログが最大の手段になっておりますので、掲載します。日弁連の宇都宮会長は昔、何度か取材はしていて、サラ金の問題解決などに具体的に最も動かれた、大変優秀な弁護士です。宇都宮さんがトップの体制なら、このような真っ当なものを出してくれるのは本当によくわかります。僕自身は、もはや学童疎開しか方法はないとまで考えはじめていますが、宇都宮さんのような段階を踏んだ真っ当な考えは、尊重するしかありません。ごらんになった方も多いかもしれませんが、掲載します。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/110422_2.html


=====================================================


「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」に関する会長声明

4月19日,政府は「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」を発表し,これを踏まえて,文部科学省は,福島県教育委員会等に同名の通知を発出した。これによると「児童生徒等が学校等に通える地域においては,非常事態収束後の参考レベルの1~20mSv/年を学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安と」するとされており,従前の一般公衆の被ばく基準量(年間1mSv)を最大20倍まで許容するというものとなっている。その根拠について,文部科学省は「安全と学業継続という社会的便益の両立を考えて判断した」と説明している。

しかしながら,この考え方には以下に述べるような問題点がある。

第1に,低線量被ばくであっても将来病気を発症する可能性があることから,放射線被ばくはできるだけ避けるべきであることは当然のことである。とりわけ,政府が根拠とする国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109(緊急時被ばくの状況における公衆の防護のための助言)は成人から子どもまでを含んだ被ばく線量を前提としているが,多くの研究者により成人よりも子どもの方が放射線の影響を受けやすいとの報告がなされていることや放射線の長期的(確率的)影響をより大きく受けるのが子どもであることにかんがみると,子どもが被ばくすることはできる限り避けるべきである。

第2に,文部科学省は,電離放射線障害防止規則3条1項1号において,「外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が3月間につき1.3 ミリシーベルトを超えるおそれのある区域」を管理区域とし,同条3項で必要のある者以外の者の管理区域への立ち入りを禁じている。3月あたり1.3mSvは1年当たり5.2mSv であり,今回の基準は,これをはるかに超える被ばくを許容することを意味する。しかも,同規則が前提にしているのは事業において放射線を利用する場合であって,ある程度の被ばく管理が可能な場面を想定しているところ,現在のような災害時においては天候条件等によって予期しない被ばくの可能性があることを十分に考慮しなければならない。

第3に,そもそも,従前の基準(公衆については年間1mSv)は,様々な社会的・経済的要因を勘案して,まさに「安全」と「社会的便益の両立を考えて判断」されていたものである。他の場所で教育を受けることが可能であるのに「汚染された学校で教育を受ける便益」と被ばくの危険を衡量することは適切ではない。この基準が,事故時にあたって,このように緩められることは,基準の策定の趣旨に照らして国民の安全を軽視するものであると言わざるを得ない。

第4に,この基準によれば,学校の校庭で体育など屋外活動をしたり,砂場で遊んだりすることも禁止されたり大きく制限されたりすることになる。しかしながら,そのような制限を受ける学校における教育は,そもそも,子どもたちの教育環境として適切なものといえるか根本的な疑問がある。

以上にかんがみ,当連合会は,文部科学省に対し,以下の対策を求める。

1 かかる通知を速やかに撤回し,福島県内の教育現場において速やかに複数の専門的機関による適切なモニタリング及び速やかな結果の開示を行うこと。

2 子どもについてはより低い基準値を定め,基準値を超える放射線量が検知された学校について,汚染された土壌の除去,除染,客土などを早期に行うこと,あるいは速やかに基準値以下の地域の学校における教育を受けられるようにすること。

3 基準値を超える放射線量が検知された学校の子どもたちが他地域において教育を受けざるを得なくなった際には,可能な限り親やコミュニティと切り離されないように配慮し,近隣の学校への受け入れ,スクールバス等による通学手段の確保,仮設校舎の建設などの対策を講じること。

4 やむを得ず親やコミュニティと離れて暮らさざるを得ない子どもについては,受け入れ場所の確保はもちろんのこと,被災によるショックと親元を離れて暮らす不安等を受けとめるだけの体制や人材の確保を行うこと。

5 他の地域で子どもたちがいわれなき差別を受けず,適切な教育を受けることができる体制を整備すること。

2011年(平成23年)4月22日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健 児

======================================================
 同じ官邸スタッフから、今月出たばかりのIPPNW「チェルノブイリ健康被害」新報告と、官邸ホームページにあがっている「チェルノブイリ事故との比較」との違いについてどう思うのかと聞かれました。

 官邸のホームページは以前の記事でリンクしていますが、ものすごくレベルの低いものです。IPPNWは核戦争防止国際医師会議で、核戦争を医療関係者の立場から防止する活動を行うための国際組織です。1980年の設立。83カ国、20万人の医師が参加し、1985年にノーベル平和賞を受賞している団体です。この中身をある程度は読みましたが、一定以上信頼度のおける報告だと僕は思いました。

 僕と官邸スタッフの結論は同じで、恐らくこの報告書に基づいて、福島第一原発でも、より何が東北・関東エリアにおきるかを想定していかないとどうにもならないのではないのかということです。官邸の中の大半の人はまったくそんなことは考えてもいません。この報告は、ファイルで全てが読めますが5Pから11Pにサマリーがあります。

http://www.chernobylcongress.org/fileadmin/user_upload/pdfs/chernob_report_2011_en_web.pdf

 部分訳はピース・フィロソフィー・センター(カナダ・バンクーバー)が掲載されています。大変、参考になります。

http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_17.html

=====================================================

 資料が貰える話です。ICRP勧告ですので、内部被曝などの考慮が十分でないという異論もあるかとも思いますが、日本アイソトープ協会が送料負担のみで無償配布してくれるようですので、参考資料としては、手元にあった方がよいと思いました。

===========================================

ICRP勧告日本語版刊行 無償配布のお知らせ

 ICRP勧告日本語版として「Publ.96 放射線攻撃時の被ばくに対する公衆の防護」を刊行いたしました。このPubl.96は、放射線テロ発生時の被ばく防護措置に関する専門的助言となっていますが、今回のような放射線事故による緊急事態にも有効であることから、当協会では、当面の間、同書を無償配布することにいたしました。

ICRP勧告(日本語版)
「ICRP Publication 96 放射線攻撃時の被ばくに対する公衆の防護」
B5判98頁 2011年4月29日発行  

【内容案内】
放射線攻撃後に予想される緊急時シナリオは,放射線事故から生じうるものと多くの面で似ている。本書は,放射線緊急時における被ばく防護措置に関する専門的な助言であり,様々な人々――緊急事態に対応する作業者と救助者,妊婦と乳児,子供,公衆――を被ばくから守る基本的な考え方,被ばく回避の段階的対策と判断規準,被ばく後の健康影響,飲料水・食品・日用品の汚染管理,被害者への治療を含む総合的な内容となっている。各種規制のガイダンスレベルも多数掲載した,放射線緊急時対応プログラムに必要な全体像が理解できる1冊である。
http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15086,76,html

======================================================

 


最新の画像もっと見る

37 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (りえ)
2011-04-24 01:49:14
東京在住の小学生と中学生の母親です。
テレビのニュースでもとりあげませんね。
私は、朝日の夕刊でこの記事を読みましたが、日経の夕刊に
ありませんでした。今の日本の雰囲気に恐怖を抱きます。

母乳から放射能検出の記事では、母乳で育てた身として、昨日は涙しました。安全と水がただで手に入ったこの国はもう存在しません。
このような連盟から声が上がったことは国民として心強いです。強く支持します!
返信する
源は同じ (あさたかし)
2011-04-24 01:51:34
宇都宮会長は、サラ金問題でも真っ当に闘った人。
メディアは、金欲しさにサラ金の広告を解禁した。今回の東電に対する配慮と同じ構図だった。
その宇都宮会長が、原発問題で声を上げるのは、やはり真っ当な闘いをする人なんだなと思う。
サラ金問題に無関心で、庶民の生活など分からなかったエリート記者がサラ金問題と同じことを繰り返しているのだろう。
サラ金を消費者金融と言い換えたメディアは、
戦犯である。
その連中の原発報道など信じられるわけがない。
メディアで働く人間として言います。原発報道で、マスコミは金と権力に転んでいます。
事実です。
返信する
何度もしつこいですが (あさたかし)
2011-04-24 02:08:05
最近、議論が私が考えているところとずれていますがー

一言言わせてもらえば、避難するしないの是非とかは個人の問題だからいいのです。議論する必要はありません。

問題は、その前提となる情報が正しく出ているかどうかです。今は明らかに出ていません。

メディアは国民の知る権利に答えていないのです。両論併記をくどいほど言う連中が、なぜ、原発報道だけは当局発表垂れ流しなのか。
どうして自前で検証報道しないのか。

木下氏の説得力はそこにあるのです。間違おううがいいのです。
一方的な報道はダメなんじゃなかったの、マスコミは。
なぜ、原発だけは安全じゃないと、大丈夫じゃないと、いけないの。

言い過ぎかも知れませんが、良心を忘れてしまった記者は反省しなきゃー

かっこばっかつけてなくてー



返信する
Unknown (いこく)
2011-04-24 03:11:55
木下さん、
この件どうなっているかわかりませんか?

これが実行されたら日本中が汚染されてしまう。

愛知を含め30都道府県が東北3県のガレキ受け入れhttp://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20110423/CK2011042302000106.html?ref=rank

返信する
ピース・フィロソフィー・センター (乗松聡子)
2011-04-24 04:55:06
私のサイトへのコメントと、紹介をありがとうございます。IPPNW報告書の翻訳リンク更新しております。非常に重要な、WHOとIAEAの報告書の問題点について指摘をしておりますので更新分も併せてご覧ください。最終的に11ページまで訳して掲載する予定です。

http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_17.html
返信する
署名しました (打倒大本営)
2011-04-24 08:09:16
ブログ毎日チェックしてます。ありがとうございます。早速署名しました。tweetもしました。家族にも協力してもらいます。今回の政府の規定については私も怒り心頭で、このままでは同時代に生きてた日本人は何をやっていたんだと後世に非難されます。期間が短いので急がないといけませんね。
返信する
マスコミは考査が必要と考えれば&引越し後の状況 (青木 洋輔)
2011-04-24 09:02:49
ネットでずいぶん「拡散」されていますが、私は署名を遠慮させていただきました。別件の放射能取材をした経験や多少調べた知識からは20mSVはよろしくないと思いますが、「撤回」&「氏名公表」に具体的な意味を見出さなかったからです。


私はカメラマンという技術職ですが、テレビで「危険」「最悪はあり得る」という話ができないのは、危険だという確定情報が無い点(仮に放送して危険では無かった場合は誤報になり「訂正放送」をしなければいけない法律さえあります)、もしシュミレーションで危険を放送し世間が反応し社会的パニックやデモ等になった場合に責任がとれないからというのも大きいでしょう。業界関係者への「後始末はどうするんだ?」という殺し文句があります(汗)

社会的影響があるからこそ、マスコミは「考査」をして放送をしなければいけないのです。 そういった性質があると考えれば、腹立たしさも多少は減るかと思います。。。


また「スネークインスネークアウト」と呼ばれる手法があります。NHKでは天気予報で一時期風向きを強調していた時期がありました。風向きは単なる気象情報で原発とは関係ありません。 察しがつきますでしょうか? これがその手法です。 マスコミの性質から得られやすい判断材料にしてみてください。 



私はマスコミの中では技術職なのでジャーナリストではないですし、個人的にもそれらに対して意見はありませんが、不安にたいして臆病なので引越しをしました。故郷より便利なところが見つかればそこに住みたいタイプですし…。


引っ越した後の状況ですが、子供は適応が早く問題なさそうです。反面、ママは急激に落ち込むことがあります。急に引っ越して無職になり今までの地域コミュニティーも無くなり、友達からのメールの返信にも困ったり(危険房でかつそれを実行した人は少数派ですから)、知らない土地で一人・・・みたいに落ち込む時も結構あります。それでも原発心配よりは良かったと感じてくれているので(←大事!!)、なんとかやりすごして生活を営むしかないと思ってます。 

「被ばくリスク」を含めて、家族で一番良いバランスを探してみるという作業が大事だなぁと思いました。
返信する
報道機関は何のためにあるのか? (50のおじん)
2011-04-24 09:11:01
一部のテレビ・新聞の論調が変わってきている。原発政策に関して、転換派と維持・推進派とに分かれ始めているのだ。国民の利益という観点からの議論ならば良いのだが、それは見せかけに過ぎない。所詮、彼等は社会の木鐸なぞではないのだ。

本当に国民の健康や生命を重んじているのならば、転換派か維持・推進派かに係わらず、日弁連会長の声明を報道しただろう。少なくとも注意を喚起して、一人でも多くの国民を救うための報道をする筈である。世論形成を図り、国民が不利益を蒙らないように政治・行政を動かす努力をする筈である。

しかし、彼ら記者クラブメディアにとって、国民は烏合の衆であり、自分達の利益のために利用する対象でしかない。そんな連中に何を期待するのか。他の三権を監視するための第四の権力と言われることがあるが、そんなものはまやかしである。
返信する
Unknown (ベル)
2011-04-24 10:49:09
木下様、いつも貴重な情報を共有して頂き感謝しています。
日弁連の要望書に署名しました。
また、原発推進派の緊急建言に差し迫る危機を再認識しました。
政府から客観的で正確な情報が出てこない現状では、自らが情報を収集し、対処方法を考えるしかなさそうです。引き続き客観的で正確な情報を発信して下さい。宜しくお願い致します。
返信する
子供達を助けてください (福島市民保護者)
2011-04-24 10:50:16
・子供達を放射能から助けてください

・子供達を政府の都合から助けてください

・子供達を確率論で安全だという学者から助けてください。一人の犠牲も出したくない。

・子供達を守れない役人根性丸出しの教育関係者から助けてください。トップの大臣が移設費用と手間により、子供基準をひっくり返しました。

・子供達を無関心のマスコミから助けてください。復興も経済も精神的なケアも大事なことですが、命や健康の危険性はかけがえのない大事なことなのに忘れかけられています

・子供達を思考停止した親達から助けてください。大変な判断を求められる問題の為、安全論を盲信している親が増えています。放射能の話がタブーな雰囲気さえ出て来つつあります。

私は何の力もない個人ですが、心が折れない限り闘い続けます。

最後に意味不明な資料を添付します。先日文部科学省主催の子供達の活動制限の基準の計算です。答えが既に間違ってます!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。