オランダのアムステルダムにある、Adam&Wolf移民弁護士事務所、サイトは下記です。
http://www.immigrationlawyersnetherlands.com/home
今回の騒動は、実はある特定の日本人(オランダへの移住を薦めるサイトを開設している若い女性)が、申請料として1200ユーロ(13万円程度)を払うことについての訴訟が、影響を及ぼしているということもわかりました。確かに彼女のサイトで訴訟を起こしていることも記されています。
なお、この見解内容の引用に関しては、当該事務所に確認が必要となります(僕は確認のうえ掲載しています)。
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2016年10月1日以降の制度改正の可能性について
(略)
オランダ移住を検討している日本人やオランダ在住の日本人に波紋を広げている今回の出来事は全て、日本国籍保有者が現在オランダの滞在許可を申請する際に支払われなくてはならない申請料の値下げを要求している、現在係争中の訴訟に起因しています。
政府評議会がINDの決定を容認した場合にのみ、日本国籍保有者は再び労働許可の取得が必要になります。
政府評議会の今後の決定については、2通りのシナリオが考えられます。
シナリオ1:政府評議会がINDの決定を容認しなかった場合
全て現行の通りです。日本国籍保有者は滞在許可を取得すれば自動的にオランダの労働市場への自由なアクセス権を得ることができます。
滞在許可の種類は問われません。
弊事務所では、日本国籍保有者に適用される申請料はスイス国籍保有者と同じ50ユーロに下がることはなく、今後も高額な申請料を支払うことになると考えています。
オランダと日本の間に結ばれた、蘭日友好通商協定の存在により、日本国籍保有者はスイス国籍保有者と同じように優遇されます。
しかしながら、日本国籍保有者がスイス国籍保有者であるとみなされる訳ではありません。
シナリオ2:政府評議会がINDの決定を容認した場合
オランダの政府評議会が、1875年にスイスとの間に結ばれた協定を根拠に日本国籍保有者もスイス国籍保有者と同等に優遇するという現在の措置を辞めるという決定を下した場合、 「松風館ルール」が確定された2014年12月24日以前の状態に戻ります。
たとえそうなった場合でも、1956年にオランダとアメリカの間に結ばれた蘭米友好協定を根拠とし、日本国籍保有者は引き続き優遇され、以下の通りの結果となります。
被雇用者: 日本国籍保有者がオランダ国内で被雇用者としてとして就労している場合、雇用者側が被雇用者の労働許可を取得する、もしくは知的労働者としての給与規定を満たす必要があります。
自営業 :日本国籍保有者で、オランダ国内で起業した場合、フリーランスとして仕事を請け負うことは勿論可能ですが、被雇用者として就労することはできません。
家族 :日本国籍保有者で、オランダ国内で被雇用者として就労、もしくは起業している場合、家族の滞在許可を取得することができます。しかしながら、現在のように家族にオランダの労働市場への自由なアクセス権が自動的に付与されることはありません。
既存の滞在許可 :オランダの労働市場への自由なアクセスが許可されているオランダの滞在許可を既にお持ちの場合、被雇用者、自営業の種類を問わず次回更新時にはオランダの労働市場への自由なアクセス権を失います。
1956年の蘭米友好協定は家族の同居を保障しています。従って、日本国籍保有者は2016年10月1日以降も引き続き家族の滞在許可を容易に取得することができます。
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実際にこの二つのシナリオのうち、僕はやはり後者の可能性が残念ながら高いと思います。この場合に、ヨーロッパ移住で優先的にオランダを選択する意味があるのかどうかをもう一度考えるべきであると僕は思います。
どうしてもオランダという感覚の人はともかく、特にヨーロッパの中で選択を考えている移住希望者は、経済的メリット、その国での過ごし方などを多角的に考えておく必要があります。
起業する場合はともかく、雇用という面では、やはり制約が大きくなるからで、EUの中でオランダにすば抜けたメリットはなくなると考えるべきでしょう。
しかし、可能性は低いながらも、まだIND(移民局)の決定を政府評議会が認めない場合も存在はするようです。
これも在日オランダ経済省企業誘致局は実施時期は未定だが決定自体は変更はないと僕には説明しているので、可能性は高くはないと思いますが。
いずれにしても、オランダでこうした状態になっていることを踏まえておかないと、思わぬことになりますから。移住にはどうしても、当該国の事情により大きく左右されるということです。
ただし、一要因としてある日本人女性が申請料を巡っておこした裁判が、オランダ当局の政策変更に影響を及ぼしたこともあるのだとすると、実は僕も貴女も、またしても少し考え込む話にもなりそうです。
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