読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

19世紀のNY

2008年03月29日 | 読書

◇「漆黒の鳥」(原題THE BLACKEST BIRD)」ジョエル・ローズ著松下祥子訳
  (早川書房刊2,300円2007.8初版)
  久しぶりに珍しい本に出会った。何が珍しいかといえば、第一に時代背景が
 19世紀中頃のニューヨークが舞台となっていること、第二に「モルグ街の殺人」など
 で有名な、推理小説の先駆者エドガー・アラン・ポーが、こともあろうに殺人事件の
 容疑者となっていること、第三に当時の文学者、ジャーナリスト、治安長官、ギャング
 など実在の人物が、それなりの役割を持って登場していることである。

  世界的大都市NYも、ポーが活躍した19世紀中頃は人口30万そこそこの街
 であった。ガス燈と馬車の時代である。しかし、市長が警察の個別の事件に介
 入することはまだしも、治安長官というしかるべき職にありながら事件関係者を
 取り調べ、関係者を訪問し調査をするなどということはほんとにあったのかなと
 は思うが、15年掛けて書き上げたという作者のあとがき、調査参照本などを見
 るとあながち実情を大きく離れてはいないのかもしれない。やはり日本とは文化
 が違うのだろう。
  ポーが周辺の男らには好かれていないのに不思議と女性にもてている。それに
 対して男たちが頭をかしげているあたりは日本でも事情は同じ(何であんな男が
 いいのかね、女って分からんねえ。)。

  「漆黒の鳥」という題名はポーの代表詩「大烏」にちなんでいる。

  
  
  スクールが休みに入って我が家にやってきた孫由来(と推測される)感冒性胃
 腸炎(嘔吐・下痢症)に罹ってしまい、絶食が2日ほど続いた。薬を飲んで静か
 にしていろということで、その間やることもなく本を読んでいた。

  久しぶりのエド・マクベインの<87分署シリーズ>「KISS」(早川書房)を読む。
  これまた舞台はNY。「漆黒の鳥」と同様ハドソン川、エイーストリバー、ウェストサイドなど
 おなじみの場所で事件が展開する。おなじみの個性豊かな刑事たちが活躍す
 るのだが、この小説では単なる殺人事件の捜査と解決だけでなくどんでん返し
 が二度あるところがおもしろく、また女はこわいと改めて思わせるところがよい。


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