「シリーズ 知っておきたい 韓国・朝鮮」歴史教育協議会編集 青木書店2800円
1998年第一版9刷発行
この本はずいぶん前に、買ったのですが、今回改めて、読み直しました。
韓国・朝鮮の人々の民族独立への苦しみとたゆまぬ戦い、情熱を知ることが出来ました。
歴史書という点では、秀吉の1592年から1598年の撤退まで、1597年の2度目の侵略行為の事実と、韓国で英雄となっている李舜臣将軍の侵略との戦いなど、朝鮮民衆の民族的エネルギーの力を知りました。
また、韓国ドラマを見ていると背景として良く出てくる、1910年に日本に併合後、1919年の3.1独立運動と柳寛順氏の独立へのたたかい。など韓国人の心に残る人々のことが分かりました。
また、初代韓国統監伊藤博文を暗殺した安重根を英雄としている韓国人の気持ちと、この本の中では率直にテロで、独立を勝ち取れるのかという著者の韓国学生との対話も紹介されていますが、韓国内でも単一の見方ではないという視点も大事だと思います。
北朝鮮での金日成の指導権の確立の経過については、1986年~58年にかけてとなっています。
「韓国の若者の意識」「私たちにとっての韓国・朝鮮」という項目が一番勉強になりました。
ただ、この本の出版が、1992年でありその後の民主化経済成長の中での、韓国の若者の意識がどうなのかという、面は残ります。
歴史の見方について、この本の最後の方に「『まずなにより大切なのは、朝鮮民族の主体的発展という観点でとらえること』でありり、そのためには(1)朝鮮社会の内在的発展の認識、(2)朝鮮文化の創造的発展の認識(3)外圧への抵抗の認識が必要であり、さらに日本と朝鮮の関係を正しきく認識するために、日朝関係を①古代の日朝関係②内外善隣友好関係③近代以降の侵略と連帯に留意すべきだと指摘された(旗田巍『朝鮮史を学ぶために』『朝鮮の歴史』三省堂1974年」と書いています。
私は、内在的発展の認識ということと、人類史の発展段階としての将来展望の中で、とらえること。自分自身が日本社会の自覚的変革者として生きる中でこそ、真の友好の立場でとらえることが出来ると思います。
まさに、日本共産党が領土問題でもっとも道理ある提言を行っているのは、侵略戦争反対の歴史的活動を背景にしているからではないでしょうか。