JCP市原時夫です

千葉県房総の睦沢町から、政治・経済・歴史・オペラ・うたごえを考えるgabuku@m12.alpha-net.ne.jp

「賃金・価格・利潤」と日本の労働運動の弱点

2011年02月16日 | Weblog

 「日本共産党だったらこう解決する」という立場で、その一つとして、経済危機打開への総合的な賃上げ政策を「ワンパッケージ」として示しています。
非正規社員の正社員化、最低賃金の抜本的な引き上げ、中小企業への本格的な支援、解雇規制のルールの強化です。
 マルクスの「賃金,価格,利潤」を読んで、(大月書店1969年第7刷)(現在は 新日本出版社から「マルクス『賃労働と資本』『賃金、価格および利潤』」として出版。)
 資本主義社会一般だけでなく、現代日本経済と労働運動の根本問題を考える大きなヒントになりました。
 労働者が賃金として受け取るものは、本来は、「彼の労働そのものではなくて彼の労働力であって、彼は労働力の一時的な処分権を資本家にゆずりわたすのである」大月版52ページ。
 「ほかのあらゆる商品の価値を同じく、労働力の価値も、それを生産するのに必要な労働量によって決定される」53ページ。
 「労働力の価値は、それを維持または再生産するのに必要な労働量によって決定されるが、しかし、その労働力の使用は、労働者の活動エネルギーと体力によって制限されるだけである。労働力のの一日分または一週間分の価値が、その同じ力の一日分または、一週間分の行使とはまったく別物である」と、ここに剰余労働が生まれる根拠があるという事だと思います。
 「労働日(時間のことだと思います。注・市原)の限界が一定だとすると、賃金が生理的最低限のときに利潤は最大限であること、」「また、賃金が一定だとすると、労働者の体力がゆるすかぎり労働日を延長したときに利潤は最大限であるということ」83ページ ここに、労働時間や賃金をめぐって、労働者と資本家の利害が相容れない根本問題があります。
 「労働の生産諸力が発展するにつれて、・・・資本の蓄積が促進され・・・・固定資本・・・の部分は・・・賃金つまり労働の購買に投じられるもう一つの資本部分くらべて、累進的にに増大する」85~86ページ。
 「近代産業の発展そのものは、・・・労働の価値を大なり小なりその最低限界におしさげるものである」87ページ。
 この中で、労働者、労働組合の労働時間短縮、(労働強化とのたたかい)、賃上げ要求の正当性があるのではないでしょうか。
 「労働日の制限についていえば、・・・イギリスでも法律の介入によらないでそれが決まったことは一度もなかった・・・・全般的な政治活動が必要であった」84ページと政治が行うべき役割についても述べています。 日本共産党のワンパッケージの政策提起は、当面の極めて現実的合理的な提起であると思ったことと、この本の内容との関連でも意味深いものでした。
 不破哲三さんの「マルクスは生きている」平凡社新書720円では、社会的ルールづくりの世界史的な発展の3つの節目があると言っています。
 ①1917年のロシア革命の社会保障制度を掲げた影響がヨーロッパに広がった。ドイツのワイマール憲法1918年ドイツ革命後の1919年ドイツ人の権利と義務の規定。ベルサイユ会議1919年で、国際労働機関の創設(ILO)
 ②1936年「人民戦線」の時代のフランスで、経営者と労働組合の全国組織同士での労働者の権利と労働条件を定めた団体協約。
 ③第2次世界後の国際連合の発足
 
 しかし、日本では、ヨーロッパ諸国と違って、労働運動や労働組合に重大な弱点があり、こうした権利を勝ち取ることができず、「過労死」「サービス残業」「派遣労働」「下請けいじめ」などルールなき社会になっています。
 不破哲三さんは、これらの段階の時代に、専制政治で労働者が無権利に押さえつけられていた。戦後の「民主化」もアメリカの占領下での「上からの改革」としての、重大な弱点がある。(新日本共産党綱領を読む 新日本出版)と指摘しています。それが今日まで続いているということだと思います。
 「その組織された力を労働者階級の終局的解放すなわち賃金制度の最終的廃止のためのてことして使うことをしないならば、それは全面的に失敗する」(賃金価格利潤89ページ)と資本主義に変わる、未来社会と労働者階級の役割を示しています。
 この未来社会論は、別の場所でも「労働する人間と労働手段との分離がひとたび確立されると、・・・・ついに生産様式上での新しい根本的な革命がふたたびこれをくつがえして新しい歴史的形態で原結合を復活させるまでつづくであろう。」53ページとも述べています。
 毎日新聞2月7日付「風知草」山田孝男氏は、2日の衆院予算委員会での志位和夫委員長の質問を取り上げ、「『ベテランと経験を捨てて安全を守れるか』と切り込んだ・・・歴史的な一石を投ずる質問だった」と評価されています。
 そして「マルクス経済学用語や労組べったりの話法を振り回していたら、反響はもっと小さかったろう。」とも述べていますが。根本的な改革をめざすとともに、現在の「国民の命と安全を危険にさらす」やり方を許さない、日本航空の大義あるたたかいに連帯して、日本社会の展望を切り開くことが、日本共産党の使命であり、科学的社会主義の党の役割ということではないでしょうか。

  

初めて国連事務総長も賛同の核兵器禁止の新「国際署名」

2011年02月16日 | Weblog
 今日の「赤旗」に原水爆禁止日本協議会(日本原水協)がよびかけた、「核兵器全面禁止のアピール」国際署名の発表集会の記事が出ていました。

 「赤旗記事」より
 ポスターの11氏
秋葉忠利(広島市長)新たな署名運動「核兵器全面禁止.のアピール」が世界中の多くの人びとの賛同を得て、本市及び平和市長会議が目指す2020年までの核兵器廃絶に向けたうねりを更に大きくする力になると確信しています。
大江健三郎(作家、ノーベル文学賞受賞)
クミコ(歌手〉人の手で作り出されたr悪魔」は人の手で葬らねばなりません。それが人の「叡智」です。
瀬戸内寂聴(作家僧侶)
田上富久(長崎市長)
谷口稜曄(長崎原爆被災者協議会会長、日本原水爆被害者団体協議会代表委員)
元ちとせ(歌手)
張本勲(日本プロ野球名球会)世界平和の為核兵器廃絶を!!
日野原重明(医師・聖路加国際病院理事長)
益川敏英(名古屋大学特別教授、ノーベル物理学賞受賞)核兵器全面禁止のみでなく・戦争の無い世界をめざしましょう。
山田洋次(映画監督)

「15日、日本原水協が発表した賛同者のなかから一部を紹介します。
(敬称略)石川文洋(写真家)一人の命はとても大切です。それなのに、大勢の人をいちどに殺す核兵器の存在を認める人は頭がどうかしていると思います。
梅原猛(哲学者)
沢田研二(歌手)
ジェームズ三木(脚本家)
 核兵器の廃絶は人類の存亡に関わる問題です。
宝田明(俳優)
 1954年、第五福竜丸の被爆を土台にした核実験の恐ろしさを描いたのが、その年の11月に封切られた「ゴジラ」第一作でした。人間を脅かす加害者であるゴジラもまた核競争の被害者でした。昨年、シカゴのゴジラ上映会に参りましたが、米国人も今は反核の叫びを理解されて来たようです。
鶴見俊輔(哲学者)
 日本人は二度原爆を落とされた記憶を力として、世界に対していきたい。そう思います。
十朱幸代(女優)
三浦光世(三浦綾子記念文学館館長)
 旧約聖書イザヤ誓第2章4節には「彼らはそのつるぎを打ちかえて、すきとし、そのやりを打ちかえて、かまとし、国は国にむかって、つるぎをあげず、彼らはもはや戦いのことを学ばない」と記されています。この日の到来を祈ってやみません。
湯川れい子(音楽評論・作詞家)
吉永小百合(俳優)
 核兵器のない世界を、平和な地球をみんなで実現さぜましょう!

《自治体首長・議長》
高橋はるみ(北海道知事)
荒井正吾(奈良県知事)核兵器のない平和で安全な世界の実現は、全ての人々の大いなる切なる願いであると考えます。
上田清司(埼玉県知事)
湯崎英彦(広島県知事)核兵器廃絶のためには、世界各国の指導者が広島を訪れ、核兵器による破壊の現実を知り、その廃絶への決意を深めていただくことが大切です。「核兵器のない平和な世界」の実現に向けて、広島が国際平和の拠点としての役割が果たせるよう、取組みを進めて参りたいと考えています。
安部省祐(大分県議会議長)
上田文雄(札幌市長)
熊谷俊人(千葉市長)
吉原孝(長崎市議会議長)
清水泰(静岡県焼津市長)」


ひげ教授のロシア民謡解説「行商人}