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命がある限り希望を持つということ

子育ては難しい 「チャッピー」

2015-06-24 13:54:02 | 社会・生活
先日ダンナと観にいった「チャッピー」
去年は「猿の惑星」でしたが、今年は多分この「チャッピー」が
マイベストになりそうな予感がします。

いい映画というのは、とてもたくさんのものを表現していて
それを観る人は、自分が受け取れるものを受け取るのだということは
私が尊敬する伊藤計劃さんも書いておられました。

「映画とは、そこにただある映像に過ぎません。
 そこから何を持って帰るかは、われわれに任されています。逆に言えば
 映画を見て得られるものは、その本人の感性や知性のレベルに見合った
 ものでしかないということです」伊藤計劃ブログ「第弐位相」より

さて「チャッピー」はと言えば
この映画の中で、とても大きな意味を持つのが実は「子育て」なのです。

2016年 南アフリカ 治安が悪化し荒廃したヨハネスブルグ。
人間の警官の代わりに、たくさんの警官ロボットが活躍しています。
天才的な技術者のディオンは、人工知能を搭載したロボットの開発を
提案するのですが会社から却下され、銃撃戦で破損して廃棄される
ロボットを盗み出しますが、ストリートギャングに誘拐される羽目に。

ニンジャ(男)ヨーランディ(女)アメリカ(男)の
三人組のギャングは、最強のギャングロボにしようと
ディオンにA.I搭載のロボットを作らせますが、誕生したのは
まだ五才くらいの知能のチャッピー。
そこからチャッピーの教育が始まります。

情操教育をして、善良な性格に育てたいとがんばるディオンと
弱肉強食、スパルタ教育をして、立派なギャングに育てたいニンジャパパ。
そしてチャッピーに出会って母性に目覚め、本を読んであげたり
ニンジャにたてついてチャッピーを守ろうとするヨーランディママ。
製作者の人の話の中にこんなのがありました。
「チャッピーは、科学者といれば科学に興味を持つ。
ギャングといれば犯罪者になる」
生まれた時は完全に白紙の状態で無垢な子どもにとって
環境がどんなに大切かを、簡潔に表現している言葉です。

その言葉の通り、何でも吸収してしまうチャッピーは
ディオンに言われた、銃はダメ、殺人はダメ、犯罪はダメというのを
守っているつもりでも、ニンジャさんに簡単にだまされて
自動車泥棒をやったり、ナイフで人を刺して「おねんね」させたり
悪いこともじゃんじゃんやってしまいます。

そしてチャッピーたちを壊滅させるために
ディオンの才能を妬む同僚が開発した巨大ロボットが彼らに襲いかかり
チャッピーは、自分を愛してくれたヨーランディやディオンを助けるために
その巨大ロボ「ムース」と戦う…という、まあ他愛もない筋ではありますが。

チャッピーは、正反対なタイプの親的な人たちから
色々なことを教えられながら、どんどん成長して
その中で、自分なりの価値観を育てていくのです。
混乱し、悩み、失敗を重ねながら。
ある意味子育ての理想とするところだろうと思います。

親が子どもに与えてあげられるものは
自分の経験や知識や感情を総動員したって限られています。
狭い人生経験の中で得た親の「これが正しい」「こうするべき」という信念とは
正反対のものが世の中には山のようにあります。
しかも、親が子どもの人生を最後までフォローすることは不可能です。
長い人生、親は親なりに、子どもは子どもなりに
考えてそのつど選択することを続けていかなければなりません。

様々なものを取り込みながら、失敗や挫折も経験しながら
自分を作り上げていく、それがアイデンティティーなのだと思います。
私は何でもかんでも「みんなと一緒」という考え方は
「それ、人間やない。アンドロイドやろう」と心の中では思いますが
そういう極端な意見は家族にも受け入れてもらえないので
長年思ってはいても口には出さずに生きてきました。

しかしまあ、人間って、なんて面倒くさいものなんでしょう。
てか、私の頭が面倒くさいのかもしれませんが。
そこでこの映画、最後は、余命5日のはずだった
チャッピーは、新しいボディを手に入れ
死んじゃったママのヨーランディも、死にそうだったディオンも
それぞれの意識をロボットに転生させて
みんな人間やめちゃいましたという
いかにも「第九地区」の監督さんらしい
はちゃめちゃで「えーっ、それでいいの」というやりっぱなしな
終わり方だったところが、なおさら私のツボだったわけです。

自分でも「猿の惑星」といい、「第九地区」やこの「チャッピー」といい
古くは「ブレード・ランナー」とか「シザー・ハンズ」とか
人間以外のキャラクターに、過度に感情移入する
異種フェチであることは自認しています。

その後、子どもから「お母さんがあんまりエビエイリアンを絶賛するから
「第九地区」を観たよ」というメールがきて青ざめました。
さんざん押しといてそれはないだろうと言われそうですが
恐る恐る「どうやった」と聞いて見たら
「うん、結構グロかったけど、なかなか面白かったよ」と返事が来て
胸をなでおろしました。

「第九地区」は、総合マイベストでは上位5位に入るくらい
自分的にはおもしろ映画なのですが
この「チャッピー」なんかと比べると
もっとざらついた、荒けずりな感じの映画なので
すごく好き嫌いが別れると思います。
まあこの「チャッピー」にしても
イカれたチンピラギャングとか、過剰な暴力表現とかが
まったく許容できない人には、かなり酷評されているようです。
なので「第九地区」については、いずれここではなく
映画のブログのほうで書きたいと企んでいます。





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