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ギャンブル依存症に新説?

2017-03-17 16:00:09 | ギャンブル依存症
先日久しぶりにWikipediaの「ギャンブル依存症」の項目を読んで
ちょっとびっくりしました。
以前にはなかった内容が、あちこちに付け加えられていたからです。

実はカジノ法案が成立した時に
ちょっと気になる話が出ていました。
それは「これからギャンブル依存症の実態調査をする」というのと
今使われている「ギャンブル依存症の診断基準は正確さに欠ける」という話です。
その時に「それは厚労省が2014年に発表した536万人という調査結果を
一旦白紙にするってことかな」と疑問に感じたのです。

そこでWikipediaの記事ですが
「ギャンブル障害にはタイプⅠ(単純嗜好型)タイプⅡ(他の精神障害先行型)
タイプⅢ(パーソナリティ等の問題型)の3つのタイプに分けた対応が
提案されており、他の精神障害の併存が相当にあると推測される」とあり
こういう併存型のタイプは、精神科での治療が優先され
「有効な治療薬はなく、認知行動療法が最も有力と考えられる」
とされています。

つまり、ギャンブル依存症の人には、
他の精神障害が先行していたり、パーソナリティ障害などを併発しているケースが
かなりあるので、その場合は、精神科で治療を受けて
認知行動療法をすることが有効ということになります。

もう一つは「2000年以降の研究では、自然回復が多数あり
進行的、不可逆的な障害という認識が改められつつある」という点です。

長年ギャンブル依存症の臨床や研究を続けられてきた田辺先生や帚木先生の
「ギャンブル依存症は進行性の病気で、治癒はない」という説は
以前のもので、最近の研究結果では
ギャンブル依存症は治るということになってるということでしょうか。
さらに「ギャンブルを断つことを最優先すべき群は
ギャンブル障害の10%から60%と見積もられ
必ずしも脱ギャンブリングが治療上必須とはいえない」という
これまで、ギャンブル依存症から回復するための
絶対条件とされた部分が大きく修正されています。

この説を主張されているのは
久里浜医療センターの河本先生で、先生の主張については
私も2015.3.4のブログ「依存症は治るのか治らないのか」で書きました。
河本先生は「薬なしで8割治る欲望充足メソッド」というのを提唱されている先生です。

2015年の時点では、臨床をされているギャンブル依存症の患者さんの中に
治った人がいるので、ギャンブル依存症は治ることがあるというニュアンスでしたが
Wikipediaの記事では「ギャンブル依存症は治る病気であり
治療にあたって、必ずしも脱ギャンブルは絶対的な条件ではない」というように読めます。

河本先生は、国内の依存症治療の最前線ともいえる久里浜医療センターで
ギャンブル依存問題にも積極的に取り組んでおられる先生ですから
その先生の研究や学説が国の「ギャンブル依存症対策」に
反映される可能性は十分にあるように思えます。

「依存症は治るのか治らないのか」でも書いたように
現在ギャンブル依存症者の回復に取り組んでいる施設やGA、ギヤマノンでは
「ギャンブルを止め続けることが回復で、ギャンブル依存症には治癒はない」
という考え方が基本になっています。

そこにこういう新説が出てきて
もしもそれが国の「ギャンブル依存症対策」の指針となるようなことがあるなら
現在ギャンブル依存症の回復に関わっておられる
全ての関係者とも、十分に討議を重ね、これらの説の明確な根拠を示し
お互いに共通の認識を作り上げていかないと
回復施設や、GAや、ギヤマノンの人たちが
嘘を言っている、誤ったことを言っているということにもなりかねません。

もちろんWikipediaの記事の信ぴょう性ということもあるのですが
「ギャンブル依存症対策」をめぐっては
このように何かと「ん?」と思うことが多いもので
気がついた点があれば、その都度書いていこうと思います。


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2 コメント

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たいしたことはできていませんが (りょう)
2017-03-19 10:22:06
研修行かれたんですね。
私も参加したかったのですが、今は当日の体調で
動くほうが安心なので、諦めざるをえませんでした。
今回はギャンブル依存症と犯罪の問題が取り上げられたので、シビアな話が多かったんだろうと思います。家族は、ずっとそういう「最悪」と向かい合って生きていますものね。

ずいぶん前に書いたのですが、仕事でも、家族でも
趣味でも、宗教でも、ペットでも、この道一筋みたいなのは、ある意味依存なのだと思います。
病気か、そうでないかの線引きは、それで、自分の回りのひとを苦しめたり、悲しませたり、傷つけたりしてるか、してないかなのではないかと。

本人や家族の考え方とか感じ方、最終的には生き方をどう変えていくかなのかなと。
そのための選択肢は、少しでも多いほうがいいと思えます。一つしかなかったら、それでだめだった時に、絶望してしまいますから。幾つかある中から、この方法なら依存から離れられそうだというのをやってみる、それができる社会になってほしいと思って、一生懸命いろんなお話を聞きにいったりしています。

私のような、ど素人にできることは、そうやって知識や情報を集めて、それを共感してくださる方と共有しながら、ちょっとずつ広げていくという、とてもチマチマしたことだけです。それでも、こうして共感してくださる方がおられることで、なんとか続いています。よろよろですけど(笑)

はるこさんとはいずれお会いできる気がします。楽しみにしています!
治る、治らない? (はるこ)
2017-03-18 19:26:57
りょうさんはたくさん勉強なさっててすごいです。
今日、ジャパンマックの研修に行ってきました。勉強にはなりますが、家族向けではないのかなって思いました。
他人事として捉えれば、なるほどって思えるのでしょうが… 講演中、どうしようもない感覚が蘇り、きつくて吐きそうでした。

依存症で、脳の神経活動が変わるなら、依存物質を他のものに変えるとか、徐々に減らし続けるって以外、完治はないですよね。
実際に依存症になったけど、やめ続けるてる方の講演を聞くと、いくつもの依存を経験されてて、私も恋愛に依存したり、メールに依存したり、似たようなとこあったなあって思います。それが、病的かどうか…境界があるんでしょうね。

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