癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

ギャンブル依存症治療の進展を(3)

2016-12-27 16:50:16 | ギャンブル依存症
11月に参加した、ジャパンマック福岡の3周年記念セミナーで
ギャンブル依存症の人の家族の体験談として
現在息子さんがジャパンマック福岡で回復に取り組んでいるという
お父さんがお話をされました。

「色々なことがあって、息子をジャパンマック福岡にお願いすることを決めて
息子と二人博多駅に着いたのが、ちょうど一年前のクリスマスの時期でした。
これからどうなるか全然分からず、不安でいっぱいで
駅前のイルミネーションの青白い光が、なんともいえずもの悲しく見えたのを覚えています」

このお話には本当に胸が詰まりました。
真面目に一生懸命働いて、子どもさんをを育ててこられた人たちが
どうしてこんな思いをされなければならないのでしょうか。

このお父さんとは、クラフトの勉強会でもご一緒しました。
私はセミナーの日は、朝から行かなかったので聞けなかったのですが
午前中の依存症本人の体験発表で、息子さんも発表をされたようです。
ジャパンマックにつながって、回復のためのプログラムに取り組まれている
息子さんを見守るこのお父さんの目に
今年のイルミネーションがささやかな希望の光と映ることを願わずにはいられません。

今回のIR法案を契機に、社会が上から変わる、上にいる人たちが
「これは大変なことだ。何とかしなければ」と真摯に考えてくれるなら
これほどよいことはないのですが、そこはどうなるのか、まったく予測がつきません。

先日「エアー2.0」という、全然有名ではないけど
かなり面白い小説を読んでいて、こんな部分がありました。

「現実には金がこの世の中を規定してるんだよな。世界のすみずみまで
科学が説明し、気持ちよさげなものをどんどん作って、それに大量の金がつぎ込まれている」

そして主人公は次のように語ります。
「俺たちの生が金と科学でガチガチに決定づけられるってのはどうなんだろうか。
俺はいやだな。金と科学の上になにかもっと大きなものが必要なんじゃないかって
思うわけだ」

社会派の小説かと思ったら、これまた壮大な与太話というかおとぎ話のような小説でしたが
そんな中にも、部分的に共鳴できるところはたくさんありました。
「12ステッププログラム」もこの「なにかもっと大きなもの」のひとつなんだと思います。
上から変えることの難しい社会だったら、他にどんな方法があるのか
私たち一人一人がほんの少し変わることによって
少しづつ社会が変わる可能性はあるんじゃないか
「ひとり1円の寄付が1億3千万円になる」
それを私は愚直に信じて、このブログを書き続けています。

前のブログで書いた水俣病の被害者の方の遺族の言葉
「くやしいのは「魚は絶対に食べたらいかん」と教えてもらえなかったことです」
こんなことが際限なく繰り返されないために
「ギャンブルにもネットにも、人生を、人間を破壊してしまう大きなリスクが
あるんですよ」という言葉を発信しつづけていくつもりです。
もちろん依存症のリスクは、ギャンブルとネットだけでなく
薬物にも、アルコールにも、他の多くのものにも潜んでいます。

大切なのはまずリスクがあること、それがどういうものかを知ること
そしてもし既に依存の問題があるなら
数は少ないですが、相談ができる場所はいくつかはあるということ。
相談をするのは、手の施しようがなくなってからではなく
早い時期のほうがより効果が期待できるということ。
私自身も、いろいろな場所に足を運び
ジャパンマックのスタッフさんや、回復されている人たちやその家族
医療者やケースワーカーさんなど、援助者の人たちのお話を聞いて
たくさんの気づきがあり、分かったこともたくさんあります。

「知る」ことで、出口のないトンネルから抜け出す道はあり
そこで出会う人たちから、たくさんのヒントをもらうことができます。
しょぼいですが、私がこうして発信している情報に目を止めてくださる方があり
その方が、一歩を踏み出してくださるなら
そしてご自身の経験を語り継いで、それをまた他の方につないでいただけたら
1円の貯金が100円になり1000円になり
それが3人に増えれば3000円になるわけです。
気の遠くなるような話ではありますが
上の人たちが変えてくれるのを待つだけではなく
私たちの側が、知ることによって少しでも変わっていく
それはある意味確実な方法なんじゃないかと思っています。
年末なので、私にしては相当がんばって、前向きなことを書くのにチャレンジしました。
タイトルと今いち合っていませんが、今の思いをなるべく素直に書いてみました。


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6 コメント

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すごいです (はるこ)
2017-01-03 22:01:44
りょうさんはすごいです。
私もIRには、不安を感じています。
今はアルコール依存の旦那もかつてはギャンブル依存だった。カジノが身近になれば、両方の依存になるかもしれない…とか、不安を覚えてしまいます。
先日、ジャパンマックで
個別の相談をしていただきました。
今までも、辛かったけれど、今後も症状が進行して行くことを告げられると、
やはり、私は無力であることを知るだけでなく、もう投げ出したい。今後の人生、旦那から遠く離れて、幸せになりたい気持ちの方が強くなりました。
帰り道で泣きました。楽になりたい。
ジャパンマックに夫婦で来てる方は、私には羨ましい。
一緒に考える人がいるだけでも心強いと思います…
つながりに感謝です (りょう)
2017-01-04 21:44:12
はるこさん コメントありがとうございます!
今年もよろしくお願いします。

いやいや たまに悟ったようなことを言っているだけで全然すごくなんかないです。
自分がギャンブル依存症のことも、借金の対処の仕方も知らなくて、やってはいけないこともいっぱいやったし、本当に大変な思いをしたので、とにかく一人でもいいから今よりも楽に生きれるようになってほしいです。

うちもギャンブルは止まっていますが、そこまでで、このあとどうなるのかはわかりませんが、はるこさんと同じで、もう私にできることはないと思っています。

でもはるこさんがどういう選択をされるにしても、自分の思いを話せる場所や人には、ずっとつながっていていただきたいです。

私もこうして孤独にブログを書いていますから(もっといつも前向きで、純粋で、好感を持たれるようなことばかりを書ければいいんですけど 笑)コメントでつながっていただけるだけで本当に感謝しています!
パチンコ屋さんの相談室 (はるこ)
2017-03-13 23:42:28
パチンコ業界で依存症対策を始めるようですね。
今日、パチンコ屋さんの方がクラフトの勉強に来られてました。こういう取り組みを先立って行うのは、とても良心的なお店なんでしょうね。
今、業界自体も減収で利用者も減っているという話に、少し安堵したものの、反して一人が投じる金額は増えているとの事。結局、フィーバーが依存症を作り出したんじゃないですか❓とは思いましたが…
私が子どもの頃は、電動ではなく、弾いて玉を飛ばす台でしたし。1000円もあれば充分に暇を潰せた時代でしたよ。
スロットも無かったですね。
依存症になった人に対策をとるというよりは、ならないような台を作るのが業界の対策ではと思うのは、私だけでしょうか…
業界は (りょう)
2017-03-14 12:04:28
はるこさん コメントありがとうございます!

そうなんですね。私が行ってなくてよかった。
大喧嘩してそうです(笑)

業界が作っているリカバリーサポートという相談機関は
どうも「12ステッププログラムではだめだ」という
方向性でいきたいようですね。ですから、GAとかギヤマノンではないということで、クラフトなのかもしれません。けれど、クラフトにしろ、スマープにしろ、最終的には自助グループにつながるのが最善とされているのですが、そこは無視するんだと思います。
おそらく、いろいろ規制をかけられたくないから「対策やってますよ~」といううわべのポーズなのだと思います。

パチンコ業界だけではなく、多くのものが経済至上主義で動いていますから、そこを変えるのは簡単ではありません。色々勉強して、社会を変えようとするよりも、自分を変える努力をするほうが、まだしも効率がよいと考えるようになりました。そのための選択肢は、多ければ多いほどいいし、要は自分が少しでも生きていきやすくなるなら、どんな方法でもO.Kという緩やかな考え方が広がってくれればよいのですが。

どうもそういう風にはいかないようですね。一番困るのは「〇〇はだめです。これしかないです」と断定されることです。依存症の治療で、欧米に半世紀以上遅れている今の日本で、そんな方向にいったら、今よりももっとひどいことになりそうです。

あっ、いや、書いてるときりがありません。ホント、こんなだから友達が少ないんですよね(笑)「わぁ、この人面倒くさい」と思われるでしょうが、これからもどうかよろしくお願いします!
嬉しいです (はるこ)
2017-03-15 19:04:06
パチンコ屋さんのクラフト参加には、私はとても違和感を覚えました。
不満をぶつけて下さいって、感じの態度も。
りょうさんみたいに、スパッと、喧嘩してたって言ってくれる人がいると、嬉しいです。
パチンコの借金で、どんだけ苦しんで考えて、債務整理して、もう治ったかと思えば、今度はアルコール依存症で、家族が巻き込まれて、それでも、生活していかなきゃいけなくて。そんな思いをしてる家族に何かかける言葉とかあるのかなって、腹が立つより不思議でした。
依存症になった人の現状を知らないから、その家族の元を訪れるのが怖くもないのでしょうね。
今は.パチンコのCMもそこまで嫌悪感ないですが、お酒のオシャレなCMはほんと嫌です。カバライオンのCMも子どもと一緒にこころ折れてましたけど(笑)
いろいろ心配なことが (りょう)
2017-03-16 12:14:36
なるほど、そういうことなのですね。
おそらく「業界はちゃんと対策をしてますよ」という
うわべだけのパフォーマンスなのだと思います。

以前厚労省から出た536万人という数字も
業界的には絶対に受け入れたくないところだと思います。
業界は、啓蒙用のポスターでも何でも
「依存症」という言葉を使うことを避けています。

以前は「のめりこみ」と言っていて
今は「依存問題」とか「依存」とかいう表現で
「病気である」という根本を否定しているのと同じです。

そういう人たちが、表面的な知識だけで
依存症の人や家族の相談に乗るということは
「病気ではありません」と言われる可能性が大です。
この問題も書き始めたらきりがありませんんね(笑)

車を使うことで、どれほど悲惨な事故が起こっても
車をなくすことはできない社会になっていて
お酒も、ギャンブルもネットも、それと同じだと
思います。

けれど、それで人生をだめにしたり、家族が苦しむ
といった重大な問題が起こるなら
ちゃんとした解決の方法がなければ片手落ちだと
思えてなりません。
私のような、ただのおばちゃんというか年寄りに
できることはほとんどないのかもしれませんが
それでも、この流れはとてもまずいように思います。

少なくとも、業界の人が、治療や回復の分野に
口出しをすることだけは止めてほしいなと
それだけは切実に思います。
長くなってすみません。

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