癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

ギャンブル依存症治療の進展を(1)

2016-12-17 11:33:03 | ギャンブル依存症
10月の下旬に、水俣病の犠牲者の慰霊式が行われ
患者や遺族を代表して、ご主人を水俣病で亡くした方が、祈りの言葉を奉げられました
「くやしいのは「魚は絶対に食べたらいかん」と教えてもらえなかったことです」
この言葉が、私の胸にしみました。

つい最近も、ジャパンマックでお会いした方の中で
家族がギャンブルでつくった借金を
かなりの金額を立て替えたというお話を何回も聞きました。
「どうしてそんなになるまで」と、今だからこそ思いますが
私も10年前は、その人たちとまったく同じだったのです。
何度も何度も同じことを繰り返し、なぜそうなってしまうのか
いったい何をどうすればいいのか、全然分かっていませんでした。

あれからずいぶん時間が過ぎたのに
未だにまったく同じ状況が繰り返されている、それが悔しいです。
私のように、ほんとにただのおばちゃんが、何を偉そうに
理想論だけなら誰でも言えると思われるかもしれません。
けれど、あの頃、ギャンブルは危険なものだと教えてもらえなかった。
依存症という恐ろしい病気なのだと教えてもらえなかった。
その、血の涙を流すような、辛く苦しい思いがあるから
私は今でもこうしてつたないブログを書き続けているのだと思います。

IR法案、カジノ建設との関係で
この数日はメディアでも度々「ギャンブル依存症」という言葉が登場しました。
(プーチン大統領来日のニュースで、あっという間に消えましたが)
あれで「カジノができたら、日本でもラスベガスとか韓国のように
ギャンブル依存症の患者が増えるかもしれない」と思った人はおられるでしょうが
それでは今、日本のギャンブル依存症問題がどうなっているのか
もしも家族がギャンブル依存症になったらどうすればよいのか分かったという人が
果たして何人いるだろうかと疑問を感じたので、前回の記事を書きました。

536万人という数字の是非はともかくとして
すでに20年以上前から、日本でも一定数発生し、その後増加の一途を続けながら
未だに治療や回復の手段が認知されておらず、確立されてもいないこの病気への対応が
カジノ法案を契機に、たとえ1ミリでもいいから前進しないものだろうかと思うのです。

依存症は「薬物療法で解決が期待できない」「医療になじみにくい」病気で
そのために精神医療の現場では、治療に取り組む医療機関が少なく
いまだギャンブル依存症を病気だと認めていない医療関係者の方もおられます。
けれど厚労省の依存症対策には、現在はギャンブル依存症も含まれています。

また前のブログで書いた「ギャンブル依存症の現状」によれば
「回復するためには(アルコール・薬物などの)物質使用の依存症同様に
心理療法(認知行動療法、内観療法、集団療法、心理教育)が効果があり
当事者グループ所属で安定する」との報告があります。
12ステッププログラムを用いた自助グループGAは、この当事者グループ
の一種なのですが、これに関しても否定的な医療者の方がおられます。
依存症の治療や回復に携わるすべての人たちが
依存症に対する共通する正しい認識、知識を持つことが必要なのです。

厚労省、医療機関、自助グループ、それぞれが点として存在し
うまく連携や協力がなされてないように思います。
けれど、前のブログにも書いたように、厚労省が536万人という数字を公表したことは
驚きでもあり、一筋の希望でもありました。
今はまだ点であるものがつながって、治療に関する認識が共有されることを願います。

十数年動かなかったものが、一気に動くというほど楽天的に考えてはいませんが
何度も書いているように、IT機器の普及によって
依存の問題は、すでに次の段階に入っています。
ギャンブル同様にのんびり構えていたら、あと十年もしたら
とんでもないことになるような気がします。
ギャンブルと同様に、PC,スマホといったIT機器にも多くのリスクがあることを
今度こそは、使う側の私たちが、認識した上で使えるようになること
それが十年後に「誰も教えてくれなかった」という悲劇を防ぐことになるように思えます。


ランキングに参加してみました。よろしければクリックをお願いします!


にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 依存症へにほんブログ村


にほんブログ村 病気ブログ 乳がん ステージ3・4へにほんブログ村



2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (はるこ)
2016-12-20 14:17:19
本当ですね。
先走って心配しないのがクラフト的なんでしょうけど。国がやることは、もっとより専門的で、慎重な議論が欲しいですね。
ギャンブルもアルコールも、依存症は家族を崩壊させ、治療法もわからないまま、例え、病気と認識しても、どこかに繋がり続けてないと、孤立してまた迷いの中に引き戻されて… 苦しい日々。
そんな人が、少なからず、今よりも増えるのかと思うと、本当に辛いです。
ジャパンマックに繋がる前、精神科や、相談窓口では、本人を連れてくるようにと、あなたも共依存と言われるばかりで、余計に絶望的な気持ちになってましたもん…
何とかしてほしいですよね (りょう)
2016-12-20 18:43:08
こんにちわ。コメントありがとうございます!

依存症治療でも、最前線で治療や研究に関わられている先生たちは、より有効な治療法を提示されていますが、それが全然広がらないんですよね。

教科書通りのことを繰り返されても、家族は救われません。今回のカジノを契機に、本当にもう少しなんとかしてほしいと思いますので、年内はこれに絞って書いていきます。

ちなみに私は、共依存については、あまり考えないことにしています。依存問題は、社会とか環境が原因の半分以上だと思っていますので。日本でギャンブル依存症の有病率がものすごく多いことが、その証拠だと思います。

コメントを投稿