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ギャンブル依存症対策の行方(2)

2017-06-02 15:28:07 | ギャンブル依存症
政治の動きとしては
現在「ギャンブル等依存症対策基本法案」が国会に提出されていて
今期の国会での成立を目指しているようです。

法案の内容はネットでも読むことができましたが
今の段階では国と地方公共団体、医療機関、精神保健福祉センター、保健所
その他の関係機関で連携して
ギャンブル依存症などの対策に取り組みましょうという
あくまでも総論的な内容で、対策の具体的な中身は
法案が決まってからということなのでしょう。

具体策としては、都道府県や市の精神福祉センターや保健所に
専門の相談窓口が設けられるとか
対応してくれる医療機関が増えるとかになると思われます。
その場合の、治療やアドバイスの指針になるのが
ギャンブル依存症が発生した初期から治療にあたられた田辺等先生や
久里浜医療センターでギャンブル依存症治療外来を開設された
河本泰信先生のような専門家の方の見解ではないかと考えられるので
そこを少し勉強してみたかったのです。

その河本先生が、「明日を拓く」という日遊協(パチンコパチスロ関連企業の業界団体)
のインタビューに答えられている中で
もう少し専門的な内容をお話しされていました。
冒頭には「相談者の9割はパチンコやめろとは言いません。
症状の見極めが重要です」というコメントが書かれています。

DSM-5の診断基準では9つの項目があり
重症度の分類は、4~5つ該当すれば軽度、6~7つは中等度 8~9つで重症
経緯分類では 慢性進行型と単発型に分けられています。

治療に関しては、医療モデルを医学モデルと心理的モデルに分けてあります。
医学モデルは、依存症のメカニズムと考えられている
脳内報酬系における神経伝達物質の変化、つまりドーパミンの異常については
結局薬物投与などの、確立された治療法はないということ。

それで依存症の分析と治療には「認知モデルⅠ・Ⅱ」と「力動モデル」という
心理的モデルが用いられますが、河本先生が実践されているのが
「認知モデルⅡ」に基づいた治療、即ち金銭欲から離れ
他の目的に転化するというもので、ほとんどの患者がギャンブルを止めるか
小遣い範囲のギャンブルに戻っているということです。

まあ家族のギャンブルの問題に何十年も振り回されてきた家族からすれば
そんなに簡単な話かなあと、眉に唾をつけたくもなる訳ですが
これがアメリカの精神医学会の最新の知見に基づく治療ですと言われたら
そうですかという他はありません。

ただ河本先生のように、立派な治療実績のある専門家の先生が
日本中に何千人もおられて、ギャンブル依存症の人がみんな
最新の治療を受けられるというような現状ではありません。

泥縄式のギャンブル依存症対策で
精神保健センターや保健所などの公的な機関や、業界の人なんかで
何回かギャンブル依存症の研修を受けた人たちが
相談窓口の相談員として、この最新の学説の一部だけを理解して
「ほとんどの人は自然に治ります。
必ずしもギャンブルを止める必要はありません」というようなアドバイスをしたり
専門家ではないのに「この人は精神的な疾患だろう。
この人は発達障害があるだろう」と仕分けをしたり
というような展開になったりはしないだろうなと
こういう問題に関しては、何しろ今までが今までですし
ついつい、あれやこれやと予期不安の塊になるわけで
これが全て、超マイナー思考の病人の妄想、杞憂であることを願っています。

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