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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

残してほしい幽霊文化

2015-08-13 14:53:25 | 社会・生活
お盆といっても、ダンナの仕事は年中無休なので
特にお盆休みはありません。
その代わりに、今度のシフトは
出勤の時間が、午前11時ごろとか午後2時ごろ、夜中の11時ごろと
まちまちで、夜中の1時ごろに帰宅する日も
一杯飲んで寝るので、やたらにご飯を作る回数が多くなりました。

何だか買い物に行ってはご飯ばかり作っている感じで
36度とかの酷暑の中、チャリこいで買出しに行きながら
「これ、末期がんの患者の生活じゃねえし」と
心の中で悪態をついていますが
それでも露店の八百屋で働いていた頃からしたら
夢のようにのんびりした日常ですから、これ以上ぜいたくは言えません。

*ステージ4は末期ではないという説もありますが
医学的には「末期」に分類されているそうです。
ちなみに症状が重くなって死期が近い場合は「終末期」とのこと

家に私の旧姓のご先祖様の仏壇があるので
毎年恒例で、こじんまりとお盆の飾り付けをしました。
でも、もうずいぶん前から
「ご先祖様って、お墓にもいて、仏壇にもいて
でもお盆には極楽(?)から戻ってくるって
バルタン星人みたいに分身の術でも使うのか」という疑問を持っていますが
そういう理屈を超越しているからこその宗教なのでしょう。

このところ特に映画館で観たい映画もなく
DVDのレンタルの値下げ待ちで「観てもいいかな」と考えているのが
ティム・バートン監督の「ビッグ・アイズ」とか
ある有名な映画のブロガーさんが「ダメ人間映画の頂点」と評されていた
「百円の恋」とか、オンデマンドで近々100円になるらしい「紙の月」
後は先日封切られていた「脳内ポイズンベリー」あたりでしょうか。

ただ最近ますます、親子とか、夫婦とか、恋愛とか、自分探しみたいな
ちまちました人間ドラマ的なのに付き合う根気がなくなっていて
そういう「観てもいいかな」の過去作がだんだん増えてきているので
実際に観れるのはいつになることやら。

そんな中、あまりの暑さにどろりと溶けて
ぼんやり観たのがケーブルで放送された「ザ・リング」
そう「リング」のアメリカ版です。
リメイクですから、当然のことながら「リング」を踏襲している部分もあるし
変更されているところもあるのですが
本質的に「リング」の主役である貞子のキャラクターが違いました。

前から思っていたのですが、やはり欧米の人には
幽霊というものが、今ひとつ恐怖の対象にはなりにくいのかなと思います。
これは、キリスト教を信仰していない日本人にとって
悪魔というものに、強い恐怖心を感じることができないのと同じです。
日本のお芝居や、物語や、映画に登場する幽霊は
もとは中国由来なのでしょうが
仏教の教えと相性がよく、「因果応報」の拡大解釈という形で
すっかり日本の文化に定着しました。

映画のブログでも書きましたが
子どもの頃に観た「四谷怪談」
それはもう怖かったです。
手で顔を隠して、指の間からおそるおそる見ました。

でも、なんの罪もない人を殺したり傷つけたり、ひどい目に合わせたら
こんなにも恐ろしい目に会うのだということを
幼心に、それはもう骨の髄まで叩き込まれました。
だから人間は悪いことをしてはいけないのだと。
恐怖という感情は
どんなきれいごとの道徳のお題目よりもよほど効き目があります。

外来種のホラー映画、ジェイソンとかフレディとか、あのへんの系譜は
日本の幽霊映画とはかなり違います。
加害者と被害者の間に、たいした因果関係はなく
無差別殺人に近いものがあります。
そういう意味では、日本版の「リング」や「呪怨」も
本来の幽霊話と、欧米型のホラーの折衷型とも言えます。

「子どもに残酷なものを見せるのはよくない」という考え方が一般的ですが
私は昨今の若者たちの歯止めのない無軌道さを見ると
「人を殺したり苦しめたりしたら、こんな怖い目に合う」という
王道の幽霊映画は、なるべく小さい頃に見て
うんと怖い思いをしたほうがいいのではないかと思います。
「こんなことをしたらアレが出る」と
パッとイメージが浮かべば、いじめにしろ何にしろ
即効性のある抑止力になります。

「な、バカな」と笑われる方もあるかもしれませんが
もともとキリスト教の、壁画などの宗教画も
地獄や極楽を描いた仏画も
文字を理解することができなかった一般人に
教えを理解してもらうための手段だったそうです。
難しい言葉は分からないからビジュアルで分かってもらうわけです。

というわけで、怪談あるいは各種の幽霊文化は、
それなりに教育力のある日本の誇る文化だと私は信じています。
たかが幽霊、されど幽霊です。
そんな幽霊文化が、このままなし崩しにホラーに合併吸収されて
性格を変え、なくなってしまうのは寂しいものがあります。

以前「ホラー小説を書いている」と書きましたが
厳密には、この幽霊文化の系譜のお話を書いています。
今風ではないので、あまり受けはよくないですが
「怒りや悲しみを抱えて死んだ人は
今でも普通に自分たちの周りにいるんだよ」というそういう世界
そして死んでいった人間の思いを
ちまちまと形にするという試みを続けています。
と今日は何となくお盆風のネタで。






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