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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

CRAFT(クラフト)勉強会 クラフトとは何か

2016-01-16 16:36:25 | クラフト
1月11日(月)に、ジャパンマック福岡で行われた
クラフト勉強会の1回目に参加してきました。

CRAFT(クラフト)とは、アメリカのロバート・J・メイヤーズ教授らが
開発した、アルコール・薬物依存症者と家族のためのプログラムです。

使用するテキストは
「アルコール・薬物・ギャンブルで悩む家族のための7つの対処法 クラフト」
    (出版元 アスク・ヒューマン・ケア)
    著者 吉田精次 + ASK(アルコール薬物問題全国市民協会) 税抜 1000円
それと、ジャパンマック福岡で作成された「CRAFT勉強会テキストブック」です。

このプログラムの目的は次のようなものです。(テキストから抜粋)

1家族など依存症者の周囲にいる人が
 自らのコミュニケーションを変えることで、対立を招かず
 治療につなげることが可能になる

2家族の「すでに持っているけれど効果的に使えてない力」が
 使えるようトレーニングする

3たとえ依存症者が治療につながらなくても、問題行動が減ったり
 家族がもっと楽に暮らせる(感情、身体、対人関係面で)効果がある

最初に、クラフトとは何かについて、20分ほどのDVDを観ました。
テキストの著者である吉田先生がおられる徳島の藍里病院での
クラフトの勉強会の模様(50名~60名ほどの家族が参加)
そして、松本俊彦先生と、薬物依存症の自助グループダルクの方による
クラフトの説明でした。

このテキストは、家族のための自習用ワークブックとして作られていて
それほど難しい専門用語などは使われておらず
誰にでも読みやすく、たいへん分かりやすく書かれていると思いました。

今回は第1回目だったので、テキストの1「状況をはっきりさせよう」をやりました。

ワークの1は「何がきっかけになっている?」で
本人は、どんなきっかけで飲酒・薬物・ギャンブルを始めるのか
どんなことがあると、ストップがきかなくなるのか
例えば <職場でイヤなことがあったとき> とか
<心配事があるとき>とか<疲れたとき>といった14の項目があって
思い当たるものがあればチェックをし
それ以外の理由がある場合は、テキストに書き込み
記入後に、講師の方と参加者で、簡単に討論をするという感じで
「兆候を整理する」「飲酒・薬物・ギャンブルの影響(本人・家族)」
「1週間にどれぐらい?」という順序で、現在の状況を
客観的に把握して、テキストに書き出すことで情報を整理するという作業をしました。

うちの場合は、パチンコに行くという行動は止まっているのですが
「過去に起きたことでよいので、書いてみてください」と言われました。

その後「流れをつかむ」のワークでは、依存症の問題を抱える家庭で
何度も繰り返される、同じようなトラブル
「やらないって言ったのに」「うるさい」という感じの
売り言葉に買い言葉で、状況がよくなるどころかむしろ悪くなることもある
そういうことがこれまでにあったがどうかを検証しました。

そして最後のワーク「シナリオを変える」では
トラブルになるやり取りの、どのセリフ、どの行動を変えたら
まずい結果になるのを避けられそうかを考えてみるというものでした。
参加されたのは、援助職の方がお一人、あとは私を含めて家族の方が12名ほどでした。
説明を聞いて、ワークを書くという厳格な雰囲気なんかでは全然なく
皆さん、ご自身の体験なども交えて自由に発言もされていました。

まだ1回目に参加しただけなので、さわりだけしか分かっていませんので
続きは、またその都度書きついでいきたいと思います。

「家族が変われば」というような話になると
真面目な方ほど「それでは家族に問題があったのか、自分の対応が悪かったのか」と
悩まれますが、このクラフトの考え方は、そういうスタンスではありません。
私はもともと、よほど極端な問題がない限り
「過去のトラウマが」というような考え方が好きではありません。
ほとんどの家族は、毎日自分たちにできることを一生懸命にやって
普通に生きています。それでも依存の問題は起こります。
ですから、依存や依存症を引き起こす一番大きな原因は
やはり社会の環境にあるという考え方は変わりません。

けれどそこは一個人の力ではどうすることもできませんから
それでは家族がやれることがあるならチャレンジしてみよう
そのための手段の一つとして、クラフトを勉強してみたいと思ったわけです。
このテキストは、ネットでも、書店でも、なければ注文すれば買えるはずですから
子どもさんのスマホ依存、ネット依存などがあって
家族の接し方を勉強してみようと思われる方は、どうかチャレンジしてみてください。

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年末年始と通院日

2016-01-06 15:56:43 | 癌のこと
大晦日は、ダンナが仕事だったので
ざっくりキッチンの掃除をして、お風呂に入って
その後は紅白歌合戦。
お目当ては、18年ぶりに紅白に登場するXJapanでした。

実は私は、怒涛のような子育ての時期(小学校の高学年から
中学を卒業する頃まで)を、XJapanと故hideさんのおかげで
乗り切ったといっても過言ではありません。
XJapanの解散後は、いろんな音楽をを聴くようになり
SIONさんを筆頭に
好きなミュージシャンもたくさんいますが
Xjapanやそのメンバーには多大な恩があります。
仕事と家事と子育てと、ダンナのギャンブル問題を
16ビートのドラムのノリで駆け抜けた日々でした。

ですからYOSHIKIの伴奏でToshiさんが「Forever Love」
を歌い始めた瞬間には、特に解散前のライブの光景がだぶって
一瞬20年前にワープしたようで
思わず泣きそうになりました。
かつてビジュアル系ロックブームの立役者として
一世を風靡したメンバーたちもそろそろ50代。
どうか自分たちの音楽にプライドを持って
これからもずっと活動を続けてもらいたいです。

そんな我が家の元日イベントは2日で
ダンナは録画した天皇杯のサッカーを肴に
飲んでは寝、また飲んでは寝の文字通り寝正月。
今年の正月準備は、コスパ最優先で
ダンナは酒のつまみがあればいいわけだから
黒豆とかきんとんとか、お菓子っぽいものはたくさんはいらない
と分析して、手作りしたのは数の子となますくらい。
黒豆はできてるのをスーパーで購入、きんとんはパス。
あとはお刺身とか鍋とか、ひたすらおつまみ重視でしたが
特に不満も出ず、短い正月気分を満喫しました。

そして3日は、佐賀のダンナの実家に年始。
前回は1匹だったニャンコが、なんと2匹に増えていました。
キャットタワーなんかも建ててもらってて
お兄さん一家がそんなに動物好きだとは知らなかったので
内心はものすごく嬉しかったです。

去年は、娘夫婦のところにも、猫カフェで保護されていた
可愛い二匹の長毛ちゃんたちが来たし
実は動物と暮らすのも、セロトニンを増やす効果があるんだそうです。
世の中の人たちが、ワンちゃんやニャンコと、家族として暮らすことで
日常生活でのストレスが軽減されて
少しでも平和に穏やかに暮らせるようになれるといいなと心から思います。

そして昨日は定例の通院日でした。
患部は少しづつ増大していますし、しこりの皮膚が破れているので
滲出液は結構出ていますが、特に痛いところなどはありません。
前回のCTは9月でしたが、今回もCTと血液検査がありました。
「転移しているのが症状の出ない肝臓だし
今飲んでいるホルモン剤のアロマシンの効果を見るためにも
少し細かく肺や肝臓の変化を見ていきましょう」というお話でした。

今の病院の緩和ケアに転院してからちょうど一年。
ステージⅣの告知を受けてからは、三月で丸二年ですが
考えてみたら、告知を受けてからは一度も寝込んでいません。
仕事をしていた頃は、年に1,2回はギックリ腰で
立つことができず、蛇女のようにずるずる這っていたり
十代から持病の頭痛肩こりで、3ヶ月に一度くらいは
鍼の先生に駆け込んでいたのが、嘘のようになくなりました。

私の両親は、高校生の頃に離婚して
私は父親と暮らし、高校卒業と同時に働き出して
通信制の大学の国文科に入学したのが、結婚をした22才の時でした。
四年後には長男が生まれたので、8年かかって30才で卒業しました。
楽しいキャンパスライフなどとはまったく無縁の
年一回のスクーリング以外は、ひたすら家でレポートを書き
福岡で試験がある時にそれを受けて単位を取っていくという
ホントに地味な大学生活ではありました。

大学を出たからどうなるというものでもありませんでしたが
一度はちゃんとした学問として、文学とか言葉を勉強したかったという
ただそれだけのことでした。普通の大学は経済的に無理ですが
通信制だったら当時年間数万円の学費で受講できました。
結婚して、一応生活が安定していたその時期が
勉強ができる絶好のチャンスだったのです。

そういうわけで20代の後半は、仕事と家事と学業に子育てと
今振り返ると、いつもいつも、あれもやって、これもやってと
他の人の何倍も欲張りで、生き急いできた人生だったと思います。
そこに追い討ちをかけるように、ダンナのギャンブル依存などもろもろの問題が起こり
そこからはもう、嫌でも全力で走り続けるほかはありませんでした。
16ビートどころか、倍の32ビートでもいいくらいの早さが
自分の体内リズムになっていました。

けれど今は、生まれて初めてといってもいいくらい
ゆっくりした時間が流れている感じがします。
たまに「これもガンになったおかげだなぁ」なんて思ってしまいます。
家族とか周囲の人のいたわりも、もちろんあるのですが
自分自身でも「もうあんまりしゃかりきにがんばらなくてもいいかな」
と力を抜けるようになりました。
生きていると、本当に色々なことがあるものだなぁと
我ながら、柄にもなくちょっと感動したりもしたお正月でした。





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ジャパンマック福岡のCRAFT勉強会

2016-01-01 12:52:05 | 依存症
明けましておめでとうございます。
無事に新年を迎えることができたことが、素直にうれしいです。
昨年このブログを訪れてくださった皆様には心からお礼を申し上げます。
今年もよろしくお願いいたします。

告知を受けてからは、将来の予定を3か月単位くらいで考えるようになりました。
半年後とか一年後のイベントを安請け合いすると
いろいろ迷惑をかけたらいけないので
ほんのちょっとづつ、未来の景色が見えているという毎日を過ごしています。

今年のお正月は、ダンナが大晦日も元日も夜中まで仕事なので
我が家にお正月がくるのは明日になります。
というわけで、のんびりした元旦を迎えています。

秋口に録画のできるTVが来て以来、映画廃人になり果てていましたが
そろそろ社会復帰しなければと
1月11日(月)から、ジャパンマック福岡で始まる
依存症の人の家族を支援するプログラム「CRAFT」の勉強会に参加しようと思います。

依存症(今は薬物、アルコール、ギャンブルが中心ですが)の問題では
家族の対応の仕方が重視されています。
「CRAFT」は、アメリカで開発された家族のための回復プログラムで
私がこの言葉を始めて聞いたのは
2014年にNHKの「ハートネットTV」でした。
その時のことは、2014年11月25日のブログにも書いています。

番組の中では、このブログラムを実施されている治療期間として
徳島県の藍里病院が紹介されていました。
ネット上でも、その藍里病院の吉田精次先生が書かれた
「CRAFT」についての資料を読むことができます。

ネット依存の問題で「親子の信頼関係が大切」とか「コミュニケーションが大事」と
安易に書いてきましたが、それでは具体的にどうすればよいのか
悩まれている親御さんは、相当多いのではないかと思います。
「命令や指示、叱責は意味がない」「それをすることが依存を強める結果に」と
言葉で言われて、たとえ頭ではそれを理解できても
例えば、受験まであとわずかというような今の時期に
子どもがスマホばかりやっているという状況では
つい口やかましく注意してしまう、あるいは口出ししなくても
心の中は、心配や不安でいっぱいで、それが表情にも出てしまう。

ネットだけでなく、薬物でも、アルコールでも、ギャンブルでも
はたまた他の依存でも、問題を抱えた家族がいると
始終怒ったり文句を言ったり、泣きごとを言うか
以前の私がそうだったように
ないもののように無視をして、見て見ぬふりをするか
たいていはどちらかだと思います。

アルコール依存症についての記述ですが
吉田先生の資料を一部引用します。

「「依存行動のコントロール不能に陥っている患者」と
「その患者の依存行動を止めさせようとしてコントロール不能に陥っている家族」という
二重のコントロール不能の構造が、アルコール問題のもたらす患者、家族の構造である」

このように言語化されると、よく分かります。
自分自身が家族の依存の問題から、思考を解放しなければなりません。
私の場合は、ダンナのギャンブル依存症が本人だけの問題ではなく
社会と深く関わり合って起こったことなのだという認識は最初からありました。
こういう仕組みを作り、助長させてきた何物か。
それは、今社会や、世界のあらゆる場所で起きている
不都合で理不尽な事柄の全てに共通して言えると思います。

ただ問題の本質が分かっているからといって
それで自分がダンナの将来に感じている不安がなくなるわけではありません。
というわけで勉強していかなければならないことはたくさんあります。

この、ジャパンマック福岡の「CRAFT」の勉強会は、電話でおたずねしたところ
1月から2期目が始まり、毎月第二月曜日 18:30~ 2時間程度
5回で終了という予定だそうです。
途中から参加することも可能で、参加できなかった分は
また次の3期目で受講することも可能だと思います
費用はテキスト代1500円。

もしも福岡市にお住まいで、こどもさんのネット依存などを契機に
依存症を治療するための家族のプログラムに関心を持たれた方は
お話を聞いて見られるのもよいかと思います。
ただジャパンマック福岡の案内にも書いてありますが
こちらは勉強会ですので、家族の依存のことで
個人的に相談があるという方は
相談窓口のほうを利用してくださいとのことです。

相変わらずお正月らしからぬ話になりましたが
少しはちゃんとした目標を持たないと
回りが何かと甘やかすこともあって
病気を口実のダメ人間生活になりそうですので
当面この5ヶ月間の「CRAFT」勉強会をクリアできるのが年頭の目標です。



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性依存症

2015-12-28 16:44:41 | 依存症
先日ダンナが遅番だったので、一人でご飯を食べながら
アメリカドラマの「クリミナルマインド」を観ていました。
「クリミナルマインド」は、犯人の心理を分析しながら
凶悪事件を解決していく、プロファイラー系の犯罪ドラマ。

その中で、捜査を監督する女性上司に
部下が「あんた、酒の匂いがするぜ。捜査をぶち壊す気か」
と怒るシーンがあり、ラストシーンでは
プロファイラーチームのボスが彼女に
「(アルコール依存症であることは公にはしないので)
すぐに入院して治療を受けてください」と申し渡します。

少し前に放送されていた「スコーピオン」というドラマでは
ハーバード大を出た天才心理学者がギャンブル依存症という
ものすごい設定があって「えっ、これって心理学でギャンブル依存症は
治せないっていう皮肉なのかな」と愕然としましたが。
彼は仕事でカジノなんかに行くと、賭けたいという衝動を抑えられないので
心拍数を察知して警報を出すアプリをスマホにダウンロードして
ストップをかけていました。(そんなアプリあるのか?)

アメリカのドラマで、依存症は、こんな風に
日常会話にいくらでも出てきます。
犯罪者だけでなく、捜査をする刑事や捜査官が依存症という
ケースも多くて「えっ、この人も!」とびっくりすることもあります。

これはドラマの話ですが、ラグビーの日本代表が南アフリカ戦に勝利した
直後に、全日本のヘッドコーチをされていた
エディー・ジョーンズさんが出演された「プロフェッショナル」が
NHKで再放送されていました。

その時にエディーさんが
「以前に指導した選手で、どうしても集中力が続かない選手がいて
個人的に事情を聞いてみたら、父親がギャンブル依存症で借金もあった。
それで父親には治療施設を紹介し、ラグビーに集中できるようにした」
と話されたのが、試合の結果より、五郎丸ポーズより何より
ものすごく印象に残りました。

社会で生活していく上で守らなければならないルールを守れない。
違法薬物の使用や飲酒運転などの
明らかな違法行為はもちろんですが
仕事中に飲酒をするとか、パチンコに行くとかの行動があれば
「これは依存症だ」と周囲の人が即判断できる
それが「依存症」という病気が、社会に広く理解されているということです。
さらに欧米では、そういう依存症者の受け皿になる
相談機関、治療施設が、ある程度整備されているのです。

だからエディーさんのように第三者が相談を受けた場合でも
どう対応すればいいかが分かっていて、治療につなげる手段もある
これが「依存症に対応できるシステムができている」ということだと思います。
日本の現状がどれほど遅れているかがよく分かります。

飲酒運転で事故を起こしている人間に対して「依存症の可能性があるので
受診をするように勧める」なんていうピンポケ対応の
お役所のニュースなんか聞くと「だめだ。こりゃ」と絶望的な気分になります。

そんな現状で話を広げると何が何やらわからなくなりそうなので
今まであまり触れませんでしたが
ギャンブル依存症を考える会の田中紀子さんが
人気コメディアンの逮捕を受けて、性依存症の問題に言及されています。

性依存症は、性行為そのものに依存する場合もありますが
のぞきや痴漢、窃盗、盗撮など、性にまつわる行動がコントロールできなくなる依存症です。
薬物、アルコール、ギャンブルはもちろん
ネットやゲーム、性、買い物や浪費、男女や親子などの人間関係と
ある物質なり、行為なりに異常に執着し、やり続けて止めることができない
それは依存症の大きな特質です。

私がこれまであまり話を広げなかったのは
「何でもかんでも依存症にする」と反発する方がおられるのでは
ないかと考えたからです。
けれど、かなり昔のブログで書いたことがあるのですが
私は、人間は依存するものだと思っています。

仕事でも、ペットでも、宗教でも
趣味といわれるものもたいてい一種の依存です。
けれどそれが、法律を破ったり、周囲に甚大な迷惑をかけたり
正常な社会生活ができなくなったら病気の領域になり、依存症になります。
だから、ありとあらゆる依存症が存在するのは当然のことです。

ある特定のものや行為に過度に依存し
実生活で色々な不具合が起きているにもかかわらず
自分では止めることができない、脳がコントロールする機能を失っていれば
そこからが依存症という病気です。
そのボーダーラインを超えないためには
他の病気と同じで、早期発見と早期の治療が必要です。
依存症は決して特別な異常な病気でもなんでもありません。
今の社会では、一億総依存症といってもいいくらい
ポピュラーな病気だと思います。

政治はもちろんのこと、医療機関の認知も、医療体制の整備も
依存症についての情報の共有も
何もかもが全然追いついていません。
以前に大物ミュージシャンの薬物事件のおりに
ダルクという薬物依存症の回復施設についてや
「今後は医療機関で治療を受ける」ということが
とても特別なことのように報道されていましたが
実はそれが正しい方法で、当たり前のことになるべきなわけです。

そういう状態で、青少年のスマホ依存が広がっていますから
今わたしたちができることは
ひとりひとりが依存症についての色々な知識を集め、共有して
できれば病気の領域に入る前の段階で
コントロールを取り戻せるような方法を知ることや
もしも進行しているのならば
進行や悪化をどうすれば止められるのかを理解することだと思います。

本当なら、そこに医療の専門家や、相談機関や自助グループの経験者
セラピスト、カウンセラーといった、依存症という病気の知識を持つ人たちに
介入してもらって、客観的に冷静に説明してもらえば
依存症者本人も、少なくとも自分が病気なのだと受け入れることが
もっとできやすくなる気がしますが
どうすればそれができるのか、どこならそれができるのかといった情報も含めて
すべてが不足しているので、そこはどうしようもありません。
というわけで、取りあえずは自分たちで、できることから何とかするしかない。
それが日本の現状です。



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精神保健福祉センターの取り組み(SMARPP)について

2015-12-20 06:53:36 | 依存症
前のブログにも書きましたが
先日送っていただいたジャパンマック福岡の会報には
今回私は参加できなかったのですが
11月29日に行なわれた開設二周年記念セミナーの概要が載っていました。

セミナーでは施設長さんの挨拶と、回復されている方の体験談
それに支援機関の方のお話があったようです。
お一人は、福岡市精神保健福祉センターの所長河野さんです。
その内容を一部要約しつつ転載します。

「福岡市精神保健福祉センターは、市民の精神保健機構のリーダーとして
活動しています。近年、力を入れているのが依存症対策(特に
薬物依存症)です。全国的な傾向ですが、薬物乱用防止のレベルは
上がってきましたが、依存症対策はまだまだの状態です。治療機関
医師、病院クリニックが少なすぎます」

薬物の使用は、お酒やギャンブルと違って、明らかに違法行為であり
緊急性や危険度も高いので、当面これが最優先の課題だと分かります。
けれど、前にも書いた通り、その薬物でさえ
欧米ではかなり以前から、処罰よりも治療をという流れになっていたのに
日本は、半世紀以上対応が遅れていて
それが、依存症全体についての一般の人の理解の遅れや
この治療機関の決定的な不足という現状になっています。

もちろんお酒やギャンブル、薬物といった既存の依存症も
ものすごく深刻な問題なのですが、それに加えて、若年層に急速に広まっている
スマホ、ネット、ゲーム依存の問題は
国が、上の人たちが動くのを待っていたら、たぶんあと百年くらいかかります。
その頃には、PCとかスマホといった実体のあるツールなんかとっくになくなって
ホログラム(3D映像)かなんかでゲームやってるかもしれません。

というわけで、私のこのブログも、最近は
現在子どもさんのスマホ依存に悩んでいる親御さんの中で
依存症というものを理解したいという意識を持たれている方に
まずは少しでも助けになればという内容に変わってきていることを
お断りしたいと思います。

河野所長のお話の続きです。

「薬物依存症は病院治療では完結しない病気です。病院からの退院後
地域での治療が重要になります。福岡市精神保健福祉センターでは
マトリックスモデルを使っています。ベースはSMARPP(スマープ)になります。
家族支援にはCRAFT(クラフト)を採用しています」

SMARPPもCRAFTも、現在の、依存症治療の最新の方法と思われますので
どういうものなのか、ウィキペディアからですが引用します。

SMARPP(スマープ)とは、アメリカのマトリックス研究所のマトリックスモデルという
依存症の治療プログラムを参考にして、神奈川県の精神医療センター
せりがや病院で開発された、外来の治療プログラム。
2006年からは、現在依存症治療の第一人者である松本俊彦先生が中心となって
各地の精神保健福祉センターなどでの運用が始まっている。

どういう内容かというと、依存物質の使用の防止には、認知行動療法を
回復を支持する場合には、動機づけ面接の原則を取り
8週間全21回の短期間で、依存症の知識と具体的な対処スキルの習得
に重点が置かれているということです。
ただこういう治療が、ネットやスマホの依存でも行なわれている機関は
今のところほとんどないというのが現状だと思いますが、それらの依存
に関する相談は、各精神保健福祉センターや、全国のジャパンマックなどの
民間の相談機関でも、受け付けてくださるはずです。

このSMARPP(スマープ)に関しては、セルフヘルプのワークブック
(自分で読んで、依存症への理解や対処の仕方を学ぶ)も出版されています。



「薬物・アルコール依存症からの回復支援ワークブック」

        松本俊彦,小林桜児,今村扶美著

   B5判 160頁 定価(本体2,400円+税) 2011年3月刊 

ネットでも購入することが出来るようなので、年が明けたら
私も入手して目を通してみるつもりです。

かねてからしつこく書いていますが「うちはスマホ問題だから
薬物とかアルコールは関係ないよ」という話ではありません。
依存症は、脳に変化が起きて、依存する対象から離れなくなる
依存対象に対する強い欲求、衝動が起きるなどの、大きな特徴は共通しています。
「薬物」「アルコール」と書かれている部分を
「ギャンブル」とか「スマホ」とかに置き換えて読めば
該当する点はたくさんあります。

そしてこれも度々書いていますが
依存の問題に向き合うことは「急がば回れ」でもあります。
対処法が分かっても、実行に移すのには慎重になってください。
動機づけ面接の話の時に書きましたが
依存症の治療には、患者と治療者との信頼関係が大切だと分かってきています。
親子で言えば、普通に話が出来ている、コミュニケーションが取れている
ことが前提で、それができない場合は
まずはお互いの信頼関係を構築するところから始める必要があるからです。
重症化して、日常の生活が困難になっているような場合は
家族だけで対応することは難しいので
やはり依存症に対応できる専門の医療機関や相談機関に
相談をしてみるべきだと思います。

また依存の問題は本人だけではなく
家族や周辺の人たちの理解や対応が大きく関わってくる話なので
それについては次回CRAFT(クラフト)についての話に書こうと思います。

去年の今ごろは「来年は喪中欠礼がいるんじゃないかしらん。
こっそり用意しとこうかな」などと妄想していましたが
今月の定期健診の先生のお話では「今のホルモン剤の
アロマシンが、急激な悪化を防いでいるという意味では効果あり」
との判断で、まだしばらくはホルモン剤治療でいけそうです。

とりあえず60才の誕生日もクリアしたし
新年も迎えられそうなので、来年も
「今日一日、できることをやる」という感じで
地道に、地味~にやっていきたいと思っています。





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