息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

豆腐小僧双六道中ふりだし

2012-06-11 10:02:38 | 著者名 か行
京極夏彦 著

豆腐を手にただ立ち尽くすだけ……という妖怪・豆腐小僧。
彼は自身の存在意義について考え始めた。

で、“自分さがしの旅”に出るのだが、もし豆腐を手放したら、ただの小僧に
なってしまうかもしれないので、そっと持ったまま移動。
ほかの妖怪は怖いので、なるべく合わない方向で。
とまあ、何ともヘタレな道中なのだ。
何しろ江戸から埼玉までしか行かないし。

本書の形状はまさに豆腐である。
四角く角張り厚みもある。
なので、こんなB級感に満ち溢れていても、長い。中身充実。
そこに詰め込まれているのは、妖怪だの化け物だのあやしだの狐だのむじなだの
はたまた民俗学や哲学までのうんちくの数々。

ほのぼのと豆腐小僧の旅を楽しみつつ、かなり賢くなれる。
そしてラストは豆腐小僧らしからぬ大活躍が見られる。
なんだか笑顔で拍手したくなる感じだ。

強いて言うなら手は疲れる。
文庫版も出ているようなので、かよわい手の持ち主はそっちがいいかも。
そっちもかなりの厚みだが。