息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

おぢいさんのランプ

2012-06-18 10:48:44 | 著者名 な行
新美南吉 著

教科書にも使われているし、絵本にもなっているから、子どもの頃の
思い出にある人が多いかも。

まだまだ貧しい時代、文化の発展と新旧の入れ替わりが始まったときのこと。
身寄りのない少年が、仕事で訪れた町でみかけたランプ。
まだ暗闇の残る地元にこれを普及させたいと考え、ランプ売りとして生計を
建てるようになる。人々に喜ばれ、成功を収める彼。
しかし、時代の流れは残酷だった。

電気の供給が始まり、自分のランプが用無しになることを恐れた彼は、電気の
悪評を広めようとしてしまう。思い余って放火に及ぼうとしたとき、古い
火打ち石ではものの役に立たないことに気付く。

古いものと新しいもの。
その変化についていくこと。

年をとればとるほど固くなる思考。

これはいつの世にも課題なのだな、と思う。
譲りたい、時代遅れの想いがやまやまでも、暮らしのためにそういえない。
結果、あるべき進化を止めてしまうこともあるのかもしれない。

子どものための物語なのに実に深い意味をもつ。
胸が痛くなったり、はがゆい想いをしたり、のめりこんで読んでしまうのは
私だけではないはずだ。