息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

もののけ本所深川事件帖 オサキと江戸の歌姫

2014-04-21 10:26:32 | 著者名 た行
高橋由太 著

第五弾は大雨で出水におびえる本所深川の人々と、江戸版アイドルの
「本所深川いろは娘」の物語。
なんていうか、A○Bだよね? 秋○らしきプロデューサーみたいな
人物も登場するけど、絶対モデルだよね?
モー○ング娘。だよとか、つ○くだよという以外の異論は認めない。

伝説の「十人の仔狐様」を歌うことで雨をとめようとする娘たち。
ただただ金儲けをたくらむ大人たちは、興業の利益のみを考えている。
中央で歌う歌姫様であった小桃の急死後、目をつけられたのは
献残屋の一人娘・お琴。周吉は身の回りの世話という名目で、
娘たちが暮らす寮に住み込むことになった。

神社の敷地内に建てられた寮は出入りが制限されている。
なのに、娘たちは次々と死んでいく。
そして雨は降り続き、大川はいよいよ危険な状態になってきた。

華やかな歌組の娘たちも、所詮は金で買われてきた商品。
いまはちやほやされていても、いずれは遊郭なりに売られることは確実。
そこに金繰りに困る者がかかわればなおさら。
なんとか逃れよう、それがだめなら来世に賭けようと考える娘たちが哀れだ。

しかし、軽い!
あっという間に9人もの人が死に、背景も悲惨そのものなのに、
あれあれっと終わってしまう。
さらっと読めるのがこのシリーズの強みであるが、これに限っては
裏目に出た感じ。っていうかこのシリーズでなくてもよかったのでは。
アイドルと江戸時代っていう組み合わせはそれなりに面白くつくれそうだし。
最後に読んで正解だったかもしれない。

もののけ本所深川事件帖 オサキ つくもがみ、うじゃうじゃ

2014-04-18 11:05:11 | 著者名 た行
高橋由太 著

第六弾。間違えたまま突き進む。
でもこれって短編集だし、登場人物がわかっていればさして問題なし。

お見合いだの初鰹だの、江戸の庶民にとって身近な話題を取り上げている。
身近といってもそれが誰にでも手に入るものではないのも事実。
平和な世に食べるにも困るような武士の切ない暮らしの様子も語られる。

もののけとひとことでいってもさまざまであるが、付喪神と呼ばれるものは
長く長く人に使われていたものが変化しただけに、人そのものよりも
人のことを知っているようだ。
それでいて、人とは違うところがあるもののけのこと、そのちょっとした
ずれがいとしくもおかしい。

さらさらっと読めるのに、そこにきちんと心が動く。
気持ちのよいシリーズだ。
電獣ビリビリのクロスケがちょこっと登場するものマニアにはうれしい。

もののけ本所深川事件帖 オサキと骸骨幽霊

2014-04-17 10:34:53 | 著者名 た行
高橋由太 著

第五弾。ええっ?て思いましたね。
私も思ってます。
間違って第四弾のつもりでこれを読みました。いいもん。いいの!
順不同。天地無用。

オサキもちの周吉。
それゆえに故郷を追われ、両親も失った。
自分は災厄を起こすのではないか。
それがお琴へ想いを告げることをためらわせる。
文を書いてはみたものの、わたせないままに仕舞い込む日々。

その文が飛ばされ、追いかけていった先は見知らぬ墓地だった。
墓の下から現れた幽霊・朱里はその文を見て、自分あてだと思い込み、
周吉と結婚することに。
墓地には朱里だけでなく骸骨幽霊たちが数多く集まっていた。
店に帰るに帰れなくなった周吉は、彼らを成仏させるべく力を尽くす。

そのころ、本所深川では畜生働きといわれる強盗殺人が連続していた。
華やかな江戸でも、貧しい人はとことん貧しい暮らしをしている。
故郷で食べられず、流れ着いたものも多い。
その貧しさゆえに起こる悲劇や犯罪もある。
そんな暗い面も語られる。

生きているものと死んだものとの上に流れる時間の違いとか、
なにかに心を奪われてこの世に縛られているのにかかわらず
それについての記憶はなかったりとか、はかなさやもの悲しさを
感じることもあった。

それでもさわやかに終わるのはシリーズならでは。

もののけ本所深川事件帖 オサキ婚活する

2014-04-16 11:22:03 | 著者名 た行
高橋由太 著

婚活ってなに?
とまたクエスチョンマークから始まった第三作。

本所深川で疱瘡が流行している。器量定めとも言われた病であるから、
若い娘たちは気が気ではない。
疱瘡地蔵にお参りし、何とか難を逃れようとする者も多いのだが、
その周辺で若い娘が姿を消す事件が相次いだ。
それも当時の適齢期を逃した20歳すぎの娘ばかりである。
本所深川の男たちは交代で見回りをすることにした。
そこで怪しげな小袖を見つけた周吉だったが、なんとそれは
徳川秀忠の正室・お江の方の亡霊であるらしい。

周吉はお琴と想いあっているのだが、なかなか進展しない。
やきもきした店の主人はお琴に見合いをさせることにした。
桜が満開の河辺の道を、美しく装った娘たちが歩く。
それとなく姿かたちを見定めて、気に入った娘に男は扇子を投げ、
それにこたえる娘はそれを拾って男に届けるという。
何とも優雅でなんとものどかなお見合いである。

おくての周吉と、そろそろ行き遅れのうわさも立ち始める年頃のお琴。
まわりの者たちもハラハラと見守っているのに、煮え切らない周吉が
何ともじれったい。

軽々しいタイトルだが、なかなかの読み応え。
キャラクターへの思い入れも深まってきて、先がますます楽しみだ。

もののけ本所深川事件帖 オサキ鰻大食い合戦へ

2014-04-15 10:04:52 | 著者名 た行
高橋由太 著

なぜに大食い? と戸惑いつつ第二弾へ。

本所深川の穏やかな日々に、連続放火事件が起こる。
木造住宅が密集した江戸では、火事は何よりも恐ろしい。
たとえボヤで消し止めても、店の信用は落ちるし、おとがめもある。
町中が落ち着かない中、周吉がつとめる献残屋が放火される。
幸い広がらなかったものの、高価なあずかりものの掛け軸が焼け、
店は存続の危機に瀕する。

この窮地を救おうと周吉は大食い合戦に参加することにする。賞金は100両。
失脚した力士、店がかたむいたうなぎ屋の娘、剣の達人である浪人が出場する。

オサキもちはやたらと大食いになるといわれる。
これも貧しい農村では憑物筋を嫌うひとつの要因となるのであるが、
それを利用した大食い合戦となるのだ。
いかにも大食いな力士よりも、きゃしゃな娘ややせた周吉のほうが強かったのは
ひとえにこれが理由。なぜか江戸の狐の親分・おこんが参入している。

優勝候補と思われた浪人が、武士として腹から割いたうなぎは食べられないと
棄権したり、あてこんだオサキがその場を離れることになったりとハプニングは
続くが、さまざまなものが落ち着くところに落ち着く。

この物語、やたらめったらおいしそう。
オサキの食いしん坊につられて、ついつい食べ過ぎそう。
ちなみに私はうなぎが苦手で食べられないのだが、それでも実においしそうに
楽しく読んだのだった。