かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

人生を語る宴や花曇

2014-04-06 06:45:11 | わが健康生きがいづくり三重の会記録

どうも日本人は天気に関心があるらしい。

「日記に先ず天気のことを書くのは、日本人ならでは」と

読んだことがある。

世は桜満開、天気は低気圧の影響で明るく曇っている。

 

健生みえの会の総会と句会が4月6日中井宅で開かれた。

なんと19名が寄ってきた。句会だけにもう一人、全部で

20人の老々男女。(朗々男女のほうがいいかなあ)

 

大平達男さん、退院後の療養中で欠席。

伊藤敏正さんが総会を進行してくれた。

1年を締めくくり、今年1年を描く。

これから何をしようとか企画を並べるというより、

「さあ、こんなお互いでどんなことで楽しめるかね」といった

そんな総会だった。(これは、ぼくの感想)

 

昼食会はおふくろさん弁当から特別弁当を調達。

どこからともなく一升瓶。新潟・長岡産。余川さん差し入れ。

そのうち鈴鹿の銘酒”鈴鹿川”。これは中井さん。

 

葱坊主の炒め物、お酒のつまみにぴったり。小浪さんが

今朝はたけから坊主のとこだけ刈ってきた。

八重子さん「わあ珍しい。はじめて。おいしい!」と感激。


句会、今回は各人の句を短冊に書き、全員の句を壁に

掲示して、そのうち5句を各人が選び、一人ひとり発表して、

句の下に誰が選んだか書く方式だった。

なんと64句。


ずらりの並んだ句を眺めて、「どうしよう、これ?」

「一回、全部読んでみようよ」「そうしよう」

伊藤敏子さん、よく通る声で読んでくれた。

 

「この中からどうやって5句選べばいいの?」

「どの句も俳句らしくなっている・・・レベルがあがってきた?」

「だって、これまで余川さんが事あるごとに、俳句の薀蓄を

ああだ、こうだと言ってきてくれたでしょ。それも大きいよ」

余川さん「あーだ、こーだっていうのは、誉め言葉かい?」

大爆笑。

 

句会は笑いあり、涙あり、洒落があり、述懐があった。

人生の語りがあり、今のその人の近況があり、その人の

こころが溢れていた。

俳句の面白さにも触れるときもであった。

 

「けなげ」という言葉に何かを託す人がいた。

「けなげ」とは、幼いものや弱いものが、困難なことに懸命に

立ち向かう様子と辞書にある。幼いもの、弱いものの内にある

純なものに焦点があたっているのかな。


すみれ草には、通り過ぎてから、はっと振り向いてみると

「ああ、そこに・・」という風情がある。


「ほっこりくつろぐ」

「あたたかき治療」

「病気を友として」

「草だんご丸めて孫に・・・」

「松葉杖心につつまれ」

「膝おり見入るつくし」

やさしい心があらわれてくる。


一服の絵のような・・・

「寒緩み伊勢の漁師の戻り船」

「空家にて艶やか競う昔し雛」

「浅間山千曲の流れや福寿草」


今回は、作者の作ったときの気持ちを披露する場面が

たくさんあった。

「山寺の桜吹雪に・・・」この句は南伊勢の上野さん。

どこの情景か、結構感に堪えなかった背景を語ってくれた。

「あそ」という固有名詞が出てきた。

「そこは神社?」「いや、そこの地名・・」

というやりとりの、その一瞬、進行してくれていた敏子さん、

息を一つ吸って、「みなさん、いっしょに!」と合いの手を

入れた。

参加者が、何かを察して「ああ、そー!」と合唱した。

上野さん、ぽかーん。間をおいて、「やあー」と笑った。

参加者もこのハプニングを楽しんだ。

 

「娘の卒業感謝の手紙に潤む母」辻屋哲夫作。

辻屋さん、その娘が母に書いた手紙を携帯から読んでくれた。

しーんとした中で、目を潤ませる人、何人も。

敏子さんはしばらく涙していた。


「消費税我関せずと桜咲く」これ、誰だろう?

「はい、わたし」と手を挙げたのは伊藤八重子さん。

今朝、ふと思いついたという。

時事も句に織り込む、新鮮さ。最年長、八重子さんのゆとりの作。


「ぶらんこの子らは宇宙へ第一歩」

「”ぶらんこ”というのは、春の季語なのよねと敏子さん。

「へえー」

この句は余川さん。

ここで歳時記から薀蓄。”ぶらんこ”は、古中国では「鞦韆」

(しゅうせん)と言った。日本では、「ふらここ」とか。”ぶらんこ”は

ポルトガル語らしい。こんなこと知ったからといって、暮らしの

お役は立たないかも。

とはいえ、鈴鹿の里山のぶらんこは、振り幅が大きい。

宇宙、「そら」の果てまで届くように、翁の願い・・・

 

 

「いよいよ鶯啼きて・・・」の句は炭窯に命をかけるおっさんたちの

心情を詠ったという。

ウグイスもこれから啼き方を習得する。

炭窯の火入れの時を待つ気持ちと掛けた。

 

「冬の旅終えて花咲く福寿草」

評。

中井さん「これは出来すぎ。これからはじめる”理想の暮らしを

語る会”のテーマの句にしたい」

郡山さん「人生の応援歌だよ。ああ、これまできびしい旅だった。

花を知らなかったんだよ。オレの前途を祝福してくれている、

そんな句だよ」

まあ、なんという感受性。

「これは、誰の作でしょう?」

「はい」と辻屋さんが手を挙げた。

 

まだまだ記録しておきたいことたくさんある。

ほんの一端しか表現できないもどかしさ。

何をこの句会から受け取ったかは、それぞれ人の胸の内に

あることでしょう。

それを足してもらって、今の糧として、明日への暮らしを

豊かにしていきたいですよね。

 

           (宮地記)