風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

橋下徹の夢

2015-12-20 12:40:54 | 時事放談
 昨日の「ウェークアップ!ぷらす」辛坊さんによると、退任した翌日(つまり昨日)の関西の大手紙の一面、三面、社会面は全て橋下氏引退の記事で占められていたそうだ。相変わらず絶大な人気である。今後、おおさか維新の顧問弁護士に就任するそうだが、日経や産経の記事では法律政策顧問と書いてあり、政界に半分足を突っ込んだままのようだ。
 従来の所謂政治家にはない型破りな言動で、これほど毀誉褒貶の激しい人もなかなかいないだろう。敢えて対立軸を浮き彫りにし、反対派を挑発し、議会を超えて府民や市民の支持を背景に前に推し進めようとする派手で強引な手法は、橋下劇場と呼ばれた。弁護士的な正論を吐いて、慰安婦問題ではアメリカを怒らせたこともあった。しかし粗削りながらも自らの信念を率直に時に過激に語りかける姿勢は新鮮で好感が持てた。政治の世界でも、ビジネスの世界と同様、結果責任つまり成果が問われるのだとすれば、大阪のことなので実はよく知らないのだが、辛坊さんの番組でも、橋下劇場の主演男優賞は間違いないが作品賞はどうだったか?と疑問符を付けており、道半ばと言うところなのだろう。
 大阪都構想も僅差だったように、今の日本の社会では保革均衡する、あるいは賛否両論、意見が真二つに割れる懸案が多い状況と言える。なにしろ投票率が低いし、世論調査やアンケートの取り方(対象者、質問の仕方など)にも左右されるので、実態はよく分からないとも言えるのだが、原発、安保法案、沖縄基地といった懸案は多かれ少なかれそうだと感覚的には言えるだろう。これに対し、特に革新側あるいは所謂日本的リベラルは、報道ステーションのMCを見れば分かるように、正義を疑わず自陣営をさも多数派であるかのように見なし反対陣営を一方的に糾弾しがちである。橋下さんも反省を踏まえてか、最後の市議会演説では良いことを言っていた(産経Webからの抜粋)。

(前略)大阪維新が公認した新市長は、約60万票。そして相手方候補(柳本顕氏)もですね、約40万票という大変多くの票が集まっておりますので、大阪維新の主張が100%支持されているわけではない、大阪維新以外に投票した有権者の声もくんで、大阪維新の皆さんも他会派との議論をやってほしいと思います。(中略)また他会派のみなさんも今回の選挙結果を踏まえて、全否定ということだけはやめていただきたいと思っています。大阪維新の提案は一定の支持があるわけですから、全否定ではなく、やはり修正と妥協で一致点を見いだして、少しでも大阪が前に進むように、大阪維新、他会派、そして新市長で、しっかり議論やっていただきたいと思います。(後略)

 先日、前原誠司さんの講演を聴いた。会社の労働組合が企画したもので、近頃、人気政治家に求められる辻説法の一種なのだろうか。その中で、一強多弱の政治に緊張感をもたらすために、野党を結集して行くと決意表明されていた。よく聞かれる言葉だが、野党の皆さんを見る限り、多弱を束ねようにも纏まらないのが現実だろうに。ビジネスの世界では弱者連合は所詮成功しないものだが、政治の世界では違うとでも言うのだろうか。民主党という団体には期待しないが、前原さんには少しは期待するので、是非、与・野党を含めた政界再編で大きく保革に分けられないものかと思う。実際のところ、自民・公明の連立与党は、集団的自衛権の定義でも随分後退したし、今まさに消費税の軽減税率でも妥協しているように、政策的には相性が良くないし、公明党自体は少数ながら創価学会の組織的動員力に引き摺られ、結局、政策より政局優先で、有権者は蚊帳の外に置かれ、疎外感と無関心が続いている。むしろ自民・おおさか維新で連立した方が無駄な妥協なく余程すっきり政策を打ち出せそうな気がする。橋下さんには、そんな保革対立の健全な緊張感を生む政界再編の触媒として機能することを期待したい。そして、一億総活躍と言うのであれば、制度疲労甚だしい中央集権ではなく、地方毎に特色ある分権構造を目指して欲しいものだ。
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