風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ひきこもり

2010-03-19 02:01:40 | 時事放談
 火曜日の日経・朝刊に、ハーバード大学の学長が、都内で行なわれた日本の大学関係者との懇談会で、今年の一年生の中に日本人は一人だけだと、日本人留学生の減少に懸念を表明されたとの記事が出ていました。昨今の経済状況を反映するかのように、中国人・韓国人留学生は増える一方で、日本人留学生の減少に、大学も注目していると言い、内向き志向からの転換を勧められたそうです。気候変動や感染症といった問題をはじめとして、世界に目を向けなければ答えは見つからないのだと。その後、学長は鳩山首相とも会談し、海外留学を増やす必要があると強調されたそうです。
 日本は他所様から心配されるほどに落ちぶれてしまったのですね。
 この新聞記事を思い出したのは、今宵のニュース番組で、大学生の生活費がここ10年でなんと30%も減っているという統計データが紹介されていたのを見たからでした。少子化で一人ひとりは豊かな生活をしているものとばかり思っていたので、意外に思いました。あるいは二極化が進んでいるのかも知れませんし、もう少し仔細に見てみないと何とも言えません。
 初めの話題に戻りますが、学長からの叱咤激励に、鳩山首相は果たしてどう応えたのでしょうか。よきにはからえとばかりに、子供手当てをばら撒いて、結果としてその6割を貯蓄に回される(と予想されている)より、ある思想のもとにあらまほしき方向に誘導してこそ、お金も生きると思います。もっとも、大企業を敵に回す労組を支持基盤にする民主党ですから、福祉や(内向きの)教育などの内需拡大を目指しこそすれ、輸出振興や海外進出には興味がなくて、適当に話を合わせて終わったのかも知れません。
 若い世代が国内に引きこもっている現状を憂えます。好んで引きこもっているのであれば、そういう若者を育てた大人の責任で、どうしようもありませんが、この失われた20年の間に、昔、流行った縮み志向に追いやられているとしたら、これほど不幸なことはありません。かつてのイケイケドンドンを知っている私たちはともかく、そういう引きこもりの環境が当たり前で育った若者が海外に向かう時のハードルは一段と高いであろうからです。企業も社会も、それを支える人の育成の観点から、失われた20年を取り返すのは容易ではありません。
コメント
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