ブルーシャムロック

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完成はしたものの・・・。

2021-04-04 05:59:11 | 逆襲の藤隆
「ええと、この椿柄の便箋をください。」
友人は夢二グッズや和風柄を扱う店であるアイテムに
手が行き、それを購入していた。
「xxさんにしては渋い趣味です。」
知世は本音を漏らした。
「そうね。でも、これ私必要なのよ。この柄じゃないとね。」
友人は知世に言う。
知世は店を見回しながら、また欲しい商品が出てくるのではないかと
思った。でも、浩一郎君を考えてしまうような柄が多くて、
そこまでほしいとは思えなかった。
「私としてはこの大島紬の柄のレターセットかな。」
と、それに手をとった。
「なんとも女性向きな柄だ。まあ、萌美ちゃん向きだと考えれば
私も安心かな。」
と友人が言う。
そして、知世は友人の居住スペースにおもむいた。
目の前にあるのは、ヤシの木柄とイルカ柄の水着用布だった。
「今囘はこれで、水着を作ります。ワンピース水着のイメージです。」
知世は無心に裁縫道具などを動かし、まず型紙を作り、そして水着を作っていた。
隣で友人がスキャナーで夢二風の椿柄を取り込んでいた。
「何をするんですか。」
知世は友人の行動を見ていた。
「まあ、見ていてね。」
友人は口に手を当てた。
元々、知世は柿沼萌美に恋愛感情を持っていた。その当時のことを考えると
女の子に着て欲しい水着を作っていた。
しかし、浩一郎君に雷に打たれたような気持ちになってから
女の子に着て欲しい水着よりも、浩一郎君と萌美ちゃんのペアルックみたいな
水着を作って、不思議なデザインの布や和風柄の布ばかり選んでいた。
しかし、それじゃだめなんだ。
このリゾートタウンにいる友人も憂慮している。
「知世さん、私も友達、萌美ちゃんも友達。友達のことを考えれば、きっとうまくいく。」
と友人はささやいた。
「ありがとうございます。」
知世は、そういう言葉しか出てこなかった。
無心に手を動かしていたら、もう夜だった。
「できました。そして、xxさんのビキニも作っていました。」
と、ヤシの木柄とイルカ柄の水着と、その布で作った友人用のビキニを見せた。
「頑張ったわね。そして、私の水着も作ってくれたんだ。実はね。
あなた向きの水着を昼間に購入した夢二の椿柄を使ってビキニの水着を作ってみた。
こんどこのリゾートタウンに来たとき、私と一緒に海やプールに行きましょう。
そして、蓮次君も連れて来てね。」と
友人は言う。
「そうですか。わかりました。それじゃあ假眠と取ります。」
と知世は友人が作った水着を手にしながらベッドで横になっていた。
目が覺めた時・・。
「しまった。羽田行きの飛行機に乗り遅れた。」
と、知世は開いた口が塞がらない状態になっていた。


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