ブルーシャムロック

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12月の曇りの日_08

2019-01-25 16:45:20 | 逆襲の藤隆
「本丸、なんで日本に出来杉英才という男のことを調べに行くんだ。
確か、半年くらい前に奥さんが殺害されて、その犯人探しに日本に戻るのか?」
僕、イザヤ・ケーニヒスベルクは日本人城野本丸に尋ねた。
もちろんフランス語でだ。僕はフランス人じゃなくてドイツ人だ。
転職でパリの出版社に勤務している。
「そうだな。俺は出来杉にも興味があるが、出来杉を憎んだ男にすごい興味を感じる。
嫁さん目当てで彼を憎んだのに、殺せなかったのかだよ。」
本丸が言う。
「そう。僕は出来杉本人にインタビューしたい。科学雑誌のジャーナリストとして。」
僕はそういった。
「イザヤ、昔住んでいたフランクフルトの出版社に勤務していた時代の女性がいたけれども、
あの人日本人だってな。」
本丸はデュフフと笑っている。
「独身だと思ったの?彼女獨逸で知り合った男性と結婚しているんだぜ。
何も知らないでフランクフルトに来て、旦那様と出会って、勝手の僕の古巣に
就職して、現在日本人にしても小柄な女性だけれども、僕がパリに引っ越してからは
出版社のインターネット室の室長に登ったんだ。」
と僕は返した。
「イザヤ、君はあの出来杉と同じよく出来る人間だけれども、何か恐れを感じているようだ。」
本丸は言う。彼は好色な部分も含めて多少俗物だ。僕には眞似ができない。
「ああ。今から日本に足を運んで会おうとしている出来杉と同じで、優等生で多くの人に
好かれるけれども、自分を猜むものの影を凄く恐れている。
本丸、あの出来杉という男は文武両道に優れ、性格も良好だが、それが彼のちからを
見せつけて、人に恐怖を与える部分がある。そこに僕は興味を惹かれたんだ。
みんなが憧れる力こそ恐怖に繋がる。人はわからないのだな。そして、そこの微妙な
部分を理解しない・・。」
そういうふうに言う僕に本丸は
「そうだな。そこを恐れて彼を憎んだ人間は出来杉を憎むことをやめたのかもしれない。」
といい、羽田行きのチケットを見ていた。

コメント
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