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太古の昔、雨を降らせたいとき、自然災害を止めたいとき、人々は天に祈りをささげた。時として生贄を捧げることもあった。
そして現代、人類は神の領域に足を踏み入れている。人工降雨(クラウドシードリング)や気象制御など、天候を操る術を得たのだ。
だがこの技術は諸刃の剣だ。悪用されれば人工的に飢餓や自然災害を引き起こすことも可能だし、自然をまだ完全に制御するまでには至っていない。
とはいえうまく運用することができれば、干ばつの防止、農作物の生産高増加、大気の浄化といった平和的な成果を上げることもできる。
ここで紹介するのは、良きにしろ悪しきにしろ、気象を操作しようと試みられた10の事例だ。
2008年北京オリンピック、特に開会式当日の雨を嫌った中国政府は公然と降雨技術を利用した。開会式に先立ち、1,000本以上のロケットを打ち上げ、雨雲の形成を阻害した。
中国政府は休日や重要な催し物にあたって降雨技術を普通に利用している。ただ晴れさせるだけでなく、前もって雨を降らしスモッグや汚染物質を洗い流すような使い方もされる。
この技術はヨウ化銀を大気中に散布するもので、これを多用することの影響に対する懸念もあるが、北京市気象局は人体にはまったく無害と説明している。
CIAがこの類の実験を行なっていたからといって意外でもなんでもないが、2015年12月にラトガース大学の気象学者アラン・ロボックがCIAの実験に関与していたとの発言を実際に耳にすれば、やはり驚かざるを得ない。
その一例として、ベトナム戦争中に実施された5年間のプロジェクトがある。これはモンスーンの期間を長引かせようという試みで、米軍の飛行機が利用されていた。またキューバでも、砂糖の収穫に打撃を与えるべく、似たようなプロジェクトが行われている。
もしロボックの話を信じるなら、世界では他のいくつもの国家が気象兵器を利用していることになる。その方法は雨を作る薬剤の使用から高度なパルス技術までさまざまだ。
米軍が関与したものとして最も詳細な文書が残れているものの1つが「シラス計画」だろう。1947年10月、米空軍、陸軍通信部隊(Army Signal Corps)、海軍研究事務局(Office of Naval Research)ならびにGE社は最初の台風への干渉を試みた。
標的とされた台風はそのとき海へ向かっていたが、軍用機がその中に突入すると突然進路を変更。これによってジョージア州サバンナに大きな被害がもたらされたと言われている。台風の中では82キロのドライアイスが散布されたという。
この一件によってシラス計画には批判が集まり、裁判沙汰にもなったため、最終的に中止された。関係者はドライアイス投下に対する台風の反応を分かってやっていたのだ。
南アフリカでは1997年から2001年にかけて吸湿性のフレアを散布するという計画が実施された。その狙いは雨量を増やし、農作物の生産高を増加させようというものだ。
人工衛星とレーダーを用いて計95の嵐の動きを追跡調査しつつ、その3分の1に”処置”を実施。その後の降雨への影響を観察した。
処置を受けた37の嵐の雨量は、何もしなかった場合に予測されるものより平均2倍に増加。この結果を受けて、政府の優先順位の高い項目としてさらなる研究と開発が推奨されるにいたった。効率性や制御性が改善されれば、対象地域に社会経済的恩恵がもたらされると期待されている。
イリノイ州は産業の大部分を農業に依存している。そのような同州が天候改変の恩恵に注目するようになったのは1975年7月にまで遡れる。気象改変協会による当時の論文では、「心配げに空を見上げる」のではなく、気象を自分たちの手で制御すればいいと論じられている。
氷点下に達する冬の嵐から激しい雹嵐、春の竜巻や夏の熱波まで、イリノイ州の気象は多岐に及んでいる。こうしたことから、「技術発展による将来的な問題」について認めながらも、気象改変は一層正当化されると主張されていた。同論文は、イリノイ州は全米の気象改変技術研究の主導的立場に立つことができるとも述べていた。
イスラエルもまた1975年から積極的に人工降雨の研究や計画を実施している。当初地中海から同国にやってくる雨雲を増やすことが目的だったが、その後の研究でガリラヤ湖の上空に形成される雲の方が利用価値が高いことが判明したため、そちらでの計画に主軸が移された。
ガリラヤ湖の雲は海水の塩分の散布によってより自然にクラウドシードリングが行えることも支持された要因である。
最先端の技術力を有する国として知られるUAEがアラブ諸国として初めて人工降雨技術を利用したとしても意外ではないだろう。
人工衛星とレーダーで同国周辺の気象を24時間体制で監視しながら研究を進めた結果、年間を通じてクラウドシードリングが効果的な雲を特定するにいたった。
人工降雨に加えて、同国の試みは環境汚染や自然災害といった他の懸念事項への対策、さらには農業向けの情報収集といった意味合いもある。UAEはまた他国の人工降雨プロジェクトにも注意を払い、それが自国の気象に影響を与えないかどうか目を光らせている。
カナダでは日常的に激しい雹(ひょう)を伴う嵐が発生する。そこでアルバータ州雹抑制プロジェクトでは台風の目に飛行機を飛ばし、シードリングを行なっている。家屋や産業に与える雹害額は毎年3億円にも達するため、このプロジェクトには出費を抑えたい保険会社も参画する。
雹害をもたらしそうな台風が検出されると、直ちにアルバータ州ディズベリー空港から飛行機が発進し、台風の目の中でヨウ化銀を含んだフレアを散布する。こうすると氷のサイズが一気に縮小し、場合によっては台風自体が完全に霧散してしまうこともある。
皮肉なことに、カナダでは強烈な雹嵐がますます当たり前になりつつある。これが偶然なのか、それとも必然なのか、今のところは不明である。
インド、マハーラーシュト州では定期的に干ばつによる被害が発生しており、これを受けた州政府は2017年ついに3年間の人工降雨計画にゴーサインを出した。
他のプロジェクトと同じく、飛行機で対象となる地域の大気にヨウ化銀とドライアイスを散布するものだ。
数年間の計画段階を経た同計画であったが、皮肉にも例年を上回る梅雨のせいで本格的な開始が大幅に遅れていた。だが、ついにゴーサインが出され、一帯における気象サイクルを把握するための貴重なデータが集められると専門家から期待されている。
この実験計画は地域に恩恵をもたらすことだろうが、同時に印政府が主導する世界的な研究プログラムの一環でもあり、この技術が地球の気候に与える影響についても調査が進められる。
多くの国々と同じく、メキシコも天気に翻弄され、度重なる干ばつの発生とその長期化に悩まされてきた。1940年代後半には特に大きな被害が発生し、農業や水力発電への影響のほか、産業の生産高の低下にまで見舞われることになった。
要するに、干ばつは同国全体を停滞させる恐れがあるということで、それが顕著に現れたのが1949年であった。そこでヨウ化銀を燃焼させる装置を搭載した飛行機を干からびた地域の上空に飛ばさざるを得なかったのである。飛行機は毎日2時間のシードリングを実施した。
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☆日本の雨ごいは相手にもされてへんなぁ!
太古の昔、雨を降らせたいとき、自然災害を止めたいとき、人々は天に祈りをささげた。時として生贄を捧げることもあった。
そして現代、人類は神の領域に足を踏み入れている。人工降雨(クラウドシードリング)や気象制御など、天候を操る術を得たのだ。
だがこの技術は諸刃の剣だ。悪用されれば人工的に飢餓や自然災害を引き起こすことも可能だし、自然をまだ完全に制御するまでには至っていない。
とはいえうまく運用することができれば、干ばつの防止、農作物の生産高増加、大気の浄化といった平和的な成果を上げることもできる。
ここで紹介するのは、良きにしろ悪しきにしろ、気象を操作しようと試みられた10の事例だ。
10. 人工降雨(中国)
2008年北京オリンピック、特に開会式当日の雨を嫌った中国政府は公然と降雨技術を利用した。開会式に先立ち、1,000本以上のロケットを打ち上げ、雨雲の形成を阻害した。
中国政府は休日や重要な催し物にあたって降雨技術を普通に利用している。ただ晴れさせるだけでなく、前もって雨を降らしスモッグや汚染物質を洗い流すような使い方もされる。
この技術はヨウ化銀を大気中に散布するもので、これを多用することの影響に対する懸念もあるが、北京市気象局は人体にはまったく無害と説明している。
9. CIAの気象兵器(アメリカ)
CIAがこの類の実験を行なっていたからといって意外でもなんでもないが、2015年12月にラトガース大学の気象学者アラン・ロボックがCIAの実験に関与していたとの発言を実際に耳にすれば、やはり驚かざるを得ない。
その一例として、ベトナム戦争中に実施された5年間のプロジェクトがある。これはモンスーンの期間を長引かせようという試みで、米軍の飛行機が利用されていた。またキューバでも、砂糖の収穫に打撃を与えるべく、似たようなプロジェクトが行われている。
もしロボックの話を信じるなら、世界では他のいくつもの国家が気象兵器を利用していることになる。その方法は雨を作る薬剤の使用から高度なパルス技術までさまざまだ。
8. 台風への干渉。シラス計画(アメリカ)
米軍が関与したものとして最も詳細な文書が残れているものの1つが「シラス計画」だろう。1947年10月、米空軍、陸軍通信部隊(Army Signal Corps)、海軍研究事務局(Office of Naval Research)ならびにGE社は最初の台風への干渉を試みた。
標的とされた台風はそのとき海へ向かっていたが、軍用機がその中に突入すると突然進路を変更。これによってジョージア州サバンナに大きな被害がもたらされたと言われている。台風の中では82キロのドライアイスが散布されたという。
この一件によってシラス計画には批判が集まり、裁判沙汰にもなったため、最終的に中止された。関係者はドライアイス投下に対する台風の反応を分かってやっていたのだ。
7. 人工降雨(南アフリカ)
南アフリカでは1997年から2001年にかけて吸湿性のフレアを散布するという計画が実施された。その狙いは雨量を増やし、農作物の生産高を増加させようというものだ。
人工衛星とレーダーを用いて計95の嵐の動きを追跡調査しつつ、その3分の1に”処置”を実施。その後の降雨への影響を観察した。
処置を受けた37の嵐の雨量は、何もしなかった場合に予測されるものより平均2倍に増加。この結果を受けて、政府の優先順位の高い項目としてさらなる研究と開発が推奨されるにいたった。効率性や制御性が改善されれば、対象地域に社会経済的恩恵がもたらされると期待されている。
6. 気象改変計画(アメリカ)
イリノイ州は産業の大部分を農業に依存している。そのような同州が天候改変の恩恵に注目するようになったのは1975年7月にまで遡れる。気象改変協会による当時の論文では、「心配げに空を見上げる」のではなく、気象を自分たちの手で制御すればいいと論じられている。
氷点下に達する冬の嵐から激しい雹嵐、春の竜巻や夏の熱波まで、イリノイ州の気象は多岐に及んでいる。こうしたことから、「技術発展による将来的な問題」について認めながらも、気象改変は一層正当化されると主張されていた。同論文は、イリノイ州は全米の気象改変技術研究の主導的立場に立つことができるとも述べていた。
5. 人工降雨(イスラエル)
イスラエルもまた1975年から積極的に人工降雨の研究や計画を実施している。当初地中海から同国にやってくる雨雲を増やすことが目的だったが、その後の研究でガリラヤ湖の上空に形成される雲の方が利用価値が高いことが判明したため、そちらでの計画に主軸が移された。
ガリラヤ湖の雲は海水の塩分の散布によってより自然にクラウドシードリングが行えることも支持された要因である。
4. 人工降雨(UAE、アラブ諸国)
最先端の技術力を有する国として知られるUAEがアラブ諸国として初めて人工降雨技術を利用したとしても意外ではないだろう。
人工衛星とレーダーで同国周辺の気象を24時間体制で監視しながら研究を進めた結果、年間を通じてクラウドシードリングが効果的な雲を特定するにいたった。
人工降雨に加えて、同国の試みは環境汚染や自然災害といった他の懸念事項への対策、さらには農業向けの情報収集といった意味合いもある。UAEはまた他国の人工降雨プロジェクトにも注意を払い、それが自国の気象に影響を与えないかどうか目を光らせている。
3. 雹害対策(カナダ)
カナダでは日常的に激しい雹(ひょう)を伴う嵐が発生する。そこでアルバータ州雹抑制プロジェクトでは台風の目に飛行機を飛ばし、シードリングを行なっている。家屋や産業に与える雹害額は毎年3億円にも達するため、このプロジェクトには出費を抑えたい保険会社も参画する。
雹害をもたらしそうな台風が検出されると、直ちにアルバータ州ディズベリー空港から飛行機が発進し、台風の目の中でヨウ化銀を含んだフレアを散布する。こうすると氷のサイズが一気に縮小し、場合によっては台風自体が完全に霧散してしまうこともある。
皮肉なことに、カナダでは強烈な雹嵐がますます当たり前になりつつある。これが偶然なのか、それとも必然なのか、今のところは不明である。
2. 人工降雨計画(インド)
インド、マハーラーシュト州では定期的に干ばつによる被害が発生しており、これを受けた州政府は2017年ついに3年間の人工降雨計画にゴーサインを出した。
他のプロジェクトと同じく、飛行機で対象となる地域の大気にヨウ化銀とドライアイスを散布するものだ。
数年間の計画段階を経た同計画であったが、皮肉にも例年を上回る梅雨のせいで本格的な開始が大幅に遅れていた。だが、ついにゴーサインが出され、一帯における気象サイクルを把握するための貴重なデータが集められると専門家から期待されている。
この実験計画は地域に恩恵をもたらすことだろうが、同時に印政府が主導する世界的な研究プログラムの一環でもあり、この技術が地球の気候に与える影響についても調査が進められる。
1. 人工降雨計画(メキシコ)
多くの国々と同じく、メキシコも天気に翻弄され、度重なる干ばつの発生とその長期化に悩まされてきた。1940年代後半には特に大きな被害が発生し、農業や水力発電への影響のほか、産業の生産高の低下にまで見舞われることになった。
要するに、干ばつは同国全体を停滞させる恐れがあるということで、それが顕著に現れたのが1949年であった。そこでヨウ化銀を燃焼させる装置を搭載した飛行機を干からびた地域の上空に飛ばさざるを得なかったのである。飛行機は毎日2時間のシードリングを実施した。
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