行ってみたいレストランとなると、料理の美味しさもさることながら、ロマンチックさや雰囲気をかもし出したいところではあります。
しかし一般的にロマンチックなレストランというと、刺激のない室内装飾に、重々しすぎるウェイター、そして追い詰めてくるようなバイオリン、ギター、アコーディオンなどの奏者……といった感じではないでしょうか。
ということで定番から少しはずれて、へんぴで、冒険的で、ミステリアスで風変わりな世界レストランを12ご紹介します。
世界のあちこちにある魅力的な景色、落ち着いた周辺環境、すばらしい料理、そして媚薬のような雰囲気を持っていることを重視して選ばれたレストランです。
1. ラ・ゼブラ(La Zebra) メキシコのトゥルム
La Zebra
Boca Paila, Km 8.2
Tulum, Mexico
Tel: 52 998 112 3260
魅力: 数あるビーチサイドのバーの中でも、ここはヒッピー度が薄く、スタイリッシュ。
雰囲気: トゥルムのビーチを真ん前に心地よい潮風と青空を堪能しながら、ヤシの木にぶら下がったカラフルなハンモックにわらぶきの屋根。こんな癒しの環境で、女性は腰からサルサを巻き、マルガリータを飲んで心がくすぐられない人はいないのではないでしょうか
魅惑の料理: 料理の進化は一つの要素からスタートしています。火です。スパイシーなシーフードベースの火釜で作られたスープが、テーブルのサイドに置かれています。この燃えるように熱い石でじっくりと調理されたバナナの皮にくるまれた子羊のマリネ、レンガを並べたバーベキューなど。
特等席: レストランから離れたヤシの実のすぐ下に独立した席があります。そしてこのカリビアンの美しい青さがより近い席となっています。
2. レ・トブシル(Le Tobsil) モロッコのマラケッシュ
Le Tobsil
22 Derb Abdellah ben Hessaien
Marrakesh, Morocco
Tel: 212 24 44 4535
Email: restobsil@yahoo.fr
魅力: じっくりと時間をかけてモロッコの料理を楽しみたいなら、観光地で混雑した大きなところより、小さなセッティングで楽しめるところが良いのです。
雰囲気: 1日の疲れを癒したいなら、このサインのないドアの後ろに隠れているこのレストラン(Riad Catalinaホテルの隣り)を選べば、ほっとくつろげる環境が待っています。現地のギタリストの音色は酔いを誘い、キャンドルの灯りが辺りからこぼれ、絹やベルベットの上にちりばめられたバラの花びらが、神秘的なマラケッシュをリッチでダークでセクシーな魅力のある場所にしています。
魅惑の料理: 玉ねぎとローストしたトマトでじっくり煮込まれたチキンは、界隈で最高のメニューと言えます。あるいはカルダモンやナツメグなどの香りをほどこしたラム肉も人気です。
特等席: レストランは50人しか収容できず、各テーブルは中庭を囲むように配置されており、その囲いの上部に当たるテーブル9番はちょうどアーチの下からいろんな景色が見渡せる最良の席です。階下の奥まった暖炉の横にも"table de la cheminee" と呼ばれる心地よい席があります。
3. シュガー・ミル・レストラン(Sugar Mill Restaurant) イギリス領のヴァージン諸島
Sugar Mill Restaurant
Sugar Mill Hotel
Apple Bay
Tortola, British Virgin Islands
Tel: 800 462 8834 (toll-free)
Tel: 284 495 4355
魅力: 風化した17世紀の砂糖のひきうす場を、残骸から彫りなおして作ったという、ひと際目立った魅力のレストランです。
雰囲気: ジャングルのように密度の高い庭に面した、テーブルを囲むキャンドルの灯りが石壁に反射し、まるで秘密の隠れ場所に来たかのような気分を味わえます。
魅惑の料理: このレストランのオーナーは料理本を出しているジェフ&ジンクス・モーガンで、カリビアンでもっともエレガントなひとつである料理を出してくれます。定番の小エビ、大貝、ポークなどの素材を、タイのチリ、わさび、ホワイトトリュフ、モレロチェリーなどでパンチを利かせています。
特等席: 砂糖をひいていた時代の銅製の大釜を利用した滝があり、これを前にして座ると絶好の眺めです。
4. イーグルズ・アイ(Eagle's Eye) カナダのコロンビア
Eagle's Eye
Kicking Horse Resort
1500 Kicking Horse Trail
Golden, BC, Canada
Tel: 866 754 5425 (toll-free)
Tel: 250 439 5424
魅力: 高度2300メートルの高さで食事をするということ、それは広大なロッキーを見上げるのではなく、見下ろすことを意味します。雲より高いところで食事をするのは、胸が詰まる思いにさせてくれます。
雰囲気: ジェットライナーの飛行高度と同じ高さにある、この粗野なレストランへはゴンドラに15分乗ってたどり着きます。店内には床から天井まである大きな窓があり、はちみつ色の丸太や自然の石を使って、窓そのものがパレットのようです。そこから見える景色は何物にも代えがたい価値があります。
魅惑の料理: シェフのアラン・ソレ氏はこの地域で一番の食材を集めてきます。北太平洋からは銀鮭、ケベックからはダックの肝、アルバータビーフ、そしてロッキー山脈からは野牛など。
特等席: どの席からもパノラマな景色が楽しめますが、テーブル36番と37番が暖炉に一番近いそうです。
5. アトラス・クラブ・ナウティカ(Atlas Club Nautika) クロアチア
Atlas Club Nautika
3 Brsalje Square
Dubrovnik, Croatia
Tel: 385 20 442 526
魅力: このレストランは入り江を見渡せる位置にあります。つまり最高の景色が見渡せる場所です。
雰囲気: 壁に囲まれた古い町は、まるで博物館が生きて動き出したかのようです。歴史を映し出すスポットとしてはこのナウティカのテラスより他にありません。2つの石でできた要塞は中世の美しさを見せるエレガントな例で、ヨットが波を切っていく様子が時折見られます。
魅惑の料理: 海を見ながらの注文なので、やはりシーフードが一番です。スズキにイカすみのソースや、ロブスターなどが野菜の上に盛られ、オリーブやビネガーとともに出てきます。
特等席: 3つのデッキがある中で、ドゥブロヴニク(Lovrijenac)テラスは一番小さく静かで20番、22番は手すりに一番近く海の景色が一番よく見えるテーブルです。
6. フカ・ロッジ・ダイニング(Huka Lodge Dining) ニュージーランドのノースアイランド
Huka Lodge Dining
271 Huka Falls Road
Taupo, New Zealand
Tel: 64 7 378 5791
魅力: 普通のレストランで言うテーブルなんてものはとりあえず忘れてください。ここでは自分だけのワイン貯蔵室、テラス、トロフィールーム、川岸を贅沢に満喫できます。
雰囲気: ノースアイランドの広大な野生の緑地を横切るワイカトリバーは、この17エイカー(約68万平方メートル)にも及ぶロッジをいかにも原始的でワイルドな気分にさせてくれます。この壮大な領地内であれば、テーブルを16箇所もあるスポットのどこにでも設置もできます。(ホテルの宿泊客が優先なので、ホテル滞在じゃない場合は前もって予約が必要)
魅惑の料理: 5コースのセットメニューは日替わりで、バンジージャンプやフライフィッシングに疲れて帰ってきたあなたを、鹿料理や子羊料理などで迎えてくれます。
特等席: 特に悪い場所はないですが、ワイカトリバーの2つの堤防の上部が人気です。そこでは川のせせらぎの音が夜になるとドラマチックに、そして南の空に見える星座が食事を照らしてくれます。
7. ウィートレー(Wheatleigh) マサチューセッツ州のレノックス
Wheatleigh
Hawthorne Road
Lenox, Massachusetts
Tel: 413 637 0610
魅力: 大邸宅を宮殿仕立てのホテルに改造してあり、山や庭を見下ろして19世紀の好況時代を体験したいとなると、ここより他にはないでしょう。ヨーロッパ人のスタッフがもてなしてくれます。
雰囲気: 絶えず変わる山の光がこの大きな窓から差し込んできます。それにマッチした室内装飾が非常に優雅です。天井からカーペットの色まで全てが計算しつくされており、それがうるさくならないようになっています。
魅惑の料理: 日替わりでオススメ料理が変わり、キングサーモンの刺身、ラムのソース煮、カナダのフォアグラと、同等のメニューをニューヨークで食事することを考えると非常にお値打ちです。
特等席: 古風な中庭の柱廊玄関ルームにある、テーブル35番か45番がお勧めです。ブロンズの円柱の間に巨大なガラスパネルが個性豊かに張られています。
8. アンブロシア(Ambrosia) ギリシャのサントリーニ島
Ambrosia
Oia Village
Santorini, Greece
Tel: 30 22860 71413
魅力: ギリシャの神アポロとダフネが現在に存在したならば、このルーフトップに座って香ばしい白ワインを飲みなつつ、サントリーニ島で沈んでいく夕日の色を楽しんでいたでしょう。
雰囲気: この小さな洞穴ハウスはイアの絶壁に彫られたレストランで、満月の夜に食事をすると月の光が海に差し込んで壮観です。
魅惑の料理: ギリシャのリキュールとバジルガーリックのペーストでソテーされたベイビーイカのサラダなど。市場からシーフードと新鮮な野菜が届きます。シーフードがダメな人はラムのローズマリーソースがおすすめです。
特等席: 2つのテラスを合わせてもたった11テーブルしかなく、その中でも上の階は景色の邪魔が入らずリクエストする価値はあるでしょう。数少ない他の客以外に食事を共にするのは、きらきら光る星々だけです。
9. レ・アンバサドール(Les Ambassadeurs) フランスのパリ
Les Ambassadeurs
Hotel de Crillon
10 Place de la Concorde
Paris, France
Tel: 33 1 44 71 16 16
魅力: ロマンチックな食事をすことだけならそれほど難しいことではありませんが、フランス人ほど豪奢で甘美にそれを表現する人々はいません。そんな贅沢な食事を味わうならここです。
雰囲気: 1758年からあるホテル・ドゥ・クリヨンとそのレストランには抑制の二文字が辞書は無いといっても過言ではありません。7種類の大理石が床や壁を覆い、フレスコ画で描かれた無邪気な子供や雲が天井を埋め尽くしています。壮大な部屋を巨大な鏡がさらに強調しています。淑女のみなさんはマリー・アントワネットの気分を味わうため、胸がローカットになったドレスも忘れずに。
魅惑の料理: ジャン・フランソワ・ピエージュと言えばパリでトリュフを扱う最も器用な料理人の一人です。イタリア人がガーリックを普通に扱うように、この香り高いトリュフをさばきます。ピエージュのハーブサラダはブラックトリュフが何層にもなっていて、テーブルの上で開いてくれます。マカルーンやチョコレート、その他のデザートやチーズまでコースは甘美に続きます。
特等席: 18番のテーブルがマリー・アントワネットが恋に落ちた相手と会ったテーブルだと言われています。
10. ラグーン(Lagoon) フランス領ポリネシア
Lagoon
St. Regis Bora Bora
Motu Ome'e
Bora Bora, French Polynesia
Tel: 689 607 848
魅力: ジャン・ジョルジュ・ヴォンゲリヒテン(Jean-Georges Vongerichten)はこのポリネシアのファンタジーとも言える美しい景色に、価値ある料理を用意したシェフです。本当にその驚くほど青い海と遠くに見えるオテマヌ島にかかる雲は偽りではありません。
雰囲気: 非常に甘美な水上のバンガローで、謙虚なスタッフと輝くサンセットでこのセントレジスは幸福のパラダイスをかもし出してくれます。
魅惑の料理: シェフのロミュアルド・フェガー(Romuald Feger)はジャン・ジョルジュのビジョンが明確なった、フランス料理の手法にうるさすぎないアジア風のタッチを加えられたものです。アヒルディッシュはタマリンドと共に、大西洋のマカジキはココナツとレモングラスのスープに漬けられて出てきます。
strong>特等席: 2人掛けのテーブル173番からは礁湖が2つのアングルで見えます。
11. リストランテ・カステロ・バンフィ(Ristorante Castello Banfi) イタリア
Ristorante Castello Banfi
Sant'Angelo Scalo
Montalcino, Italy
Tel: 39 05 7781 6054
魅力: トスカーナ地方の幻想的な風景を、古い丘の上にそびえるこの場所より堪能できるところはありません。使われている中世の石は800年代のものらしいです。
雰囲気: 新しい方の17世紀の建物のダイニングルームはたった7テーブルしかなく、親しみのある雰囲気が楽しめます。木の葉やフレスコ画の壁紙を除けば、装飾は非常にシンプルで、部屋の木枠に白いテーブルクロス、大きな暖炉などです。窓からはぶどう園を、イタリアで2番目に高い火山であるアミアータ山を背景にして見ることができます。
魅惑の料理: ミシュランの星を持つシェフ、グイド・ヘイバーロックは厳選された材料を使い、優雅な7種類のコースを堪能できます。ホワイトトリュフリゾットに、高級ポーク、ウズラやピジョンソースのかかった手打ちのスパゲティなど。ドッピオ・エスプレッソまで堪能できます。
特等席: 暖炉のある部屋は暖かく活気がありますが、その後ろの部屋にはたった2テーブルしかなく、誰にも邪魔されたくない親密な食事をしたいときにはそちらがオススメです。
12. パタゴニア・サー(Pantagonia Sur) アルゼンチン・ブエノスアイレス
Patagonia Sur
Rocha 803, Pedro de Mendoza
Buenos Aires, Argentina
Tel: 54 11 4303 5917
魅力: たった5つのテーブルしかないこのきらびやかで愛らしく改装されたタウンハウスは、混雑したステーキハウスしかないという町のイメージを一掃させています。
雰囲気: やわらかい照明、皮の壁紙、ベルベットのカーテンに飾られたユリの花は、このレストランをセンスの高い隠れ場のようにしています。 経営者のフランシス・モールマンはアルゼンチンでもっとも尊敬されているシェフで、上の階に住んでいます。このレストランでさらに嬉しいことは、殺到するような群集がいないところです。ダイニングルームにはたった14席しかなく、ほとんどの旅行者は近所のラ・ボカにある砂利や落書きを避けて寄り付かないのです。
魅惑の料理: 壁に掛かっている300年もののタペストリーと同様、モールマンのメニューは丁寧に作られたパッチワークのようです。アンデスからパンパス、そして南大西洋までの材料を非常に器用にうまく組み合わせていきます。ポテトはニョッキ(Gnocchi)と共に、脂の乗ったリブアイステーキはチムチュリーソースと共に、そしてアルゼンチンのオオハタという魚の白身は焼かれたチェリーやアボカドと共に出てきます。
特等席: テーブルにはナンバーはついていません。ただリクエストするときに「ベストテーブル」を指定すると、部屋の真ん中のウィンドウの席に案内してくれるでしょう。
世界中のあちこちの変わったレストラン、写真だけでもいい気分を味わえる雰囲気がありますね。
ひとつでも行くとなると大変ですが、人生で一度は行ってみたいものです。もしこれらのレストランに行かれましたら、ロマンチックだったかどうかお知らせください。
相手による……というのは、責任を負いかねます。
World's Most Romantic Restaurantsより
☆どれひとつとして、行かれへんやろなぁ!