保健福祉の現場から

感じるままに

病床ダウンサイジング

2019年03月11日 | Weblog
茨城新聞「なめがた地域医療センター 入院機能を縮小し継続 県厚生連方針 救急・休日夜間休止へ」(https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15517854072706)。<以下引用>
<土浦協同病院なめがた地域医療センター(行方市井上藤井)の規模縮小問題で、運営するJA県厚生連が4月から、同病院の入院機能を約5分の1に縮小して継続する一方、診療時間外の救急は休止する方針を固めたことが5日、関係者への取材で分かった。救急や休日夜間の患者は、道路距離で約25キロ離れた「本院」扱いの土浦協同病院(土浦市)と連携して対応する。同センターの規模縮小は当初、今年4月からの休日夜間の救急受け入れ休止のほか、入院病棟の将来的な閉鎖などが浮上。地元自治体などから機能を継続するよう要請を受け、県厚生連は地域医療に与える影響を最小限にする方向で、医師派遣元の筑波大や自治体などと協議している。複数の関係者によると、同センターの病床数は199床から40床に大幅縮小するが、入院機能は「地域包括ケア病棟」として継続する見通しとなった。一方で、診療時間外の休日夜間や救急の患者受け入れは休止し、本院機能を担ってきた県南地域の基幹病院の一つ、土浦協同病院が代替する形で調整を進めている。常勤医は16人から8人程度に半減する見込みだが、土浦協同から非常勤医の派遣を得て診療機能の維持強化を図る。通院患者の利便性を図るため県厚生連は両病院間を結ぶシャトルバス運行も検討している。同センターは2000年6月に開院。全国最下位レベルの医師不足に悩む鹿行地域の拠点として役割を担ってきた。土浦協同が16年3月、土浦市の中心部から約4・5キロ東側の同市おおつ野に移転し、鹿行地域寄りとなったのを機に、土浦協同との連携を強化し、18年10月からは土浦協同の「分院」に位置付け機能分担を図ってきた経緯がある。同センターは、24時間365日体制で重症の救急患者を受け入れる3次救急に指定されてきたものの、実際は医療体制が整わず、重篤な患者は水戸地区や土浦協同に運ばれているのが実態だった。規模縮小後は土浦協同との役割分担をより明確にした上で、鹿行地域の救急患者の扱いなどに関し県厚生連が関係機関と協議している。県厚生連の財務事情は、土浦協同の移転新築に伴う設備投資で悪化した。さらに、なめがた地域医療センターは開院以来一度も単独で黒字を計上できず、近年は患者数の減少が進み、18年度収支は赤字が5億円を超えるまで膨らむ見通しとなった。同センターは199床のうち稼働が179床にとどまり、実稼働病床はさらにその半数程度に低迷しているという。「働き方改革」による人件費の増加や今年10月の消費増税などコスト高も今後見込まれるため、県厚生連は経営状況のさらなる悪化を防ぐため、最小限の入院機能を残した上で、同センターの規模縮小を判断したとみられる。規模縮小について県厚生連は、茨城新聞の取材に「関係機関と協議中で、方針は正式に決まっていない」としている。>

「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)の推進にあたって、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)に出ている「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」において、人口減少地域では、政策医療を勘案しながら、ダウンサイジングが避けられない。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p23に示すように、必要病床数を計算する際の稼働率は「急性期78%」であるが、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)に出ている「医療機関ごとの病床種別の許可病床数と前年度一日平均入院患者数」をみれば、かなり利用率が低い一般病床を有する病院が少なくない。医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349458.pdf)p7「平成30年2月7日付け医政地発0207第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知」では「都道府県は、個別の医療機関ごと(病棟ごと)に、以下の内容を提示すること。①医療機能や診療実績 ②地域医療介護総合確保基金を含む各種補助金等の活用状況 ③公立病院・公的病院等について、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報など」とあるが、各地域の地域医療構想調整会議でデータ・資料が示されているであろうか。病床ダウンサイジングを伴う施設転換には地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html)も活用すべきであろう。
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