保健福祉の現場から

感じるままに

外来定額負担の行方と医療費適正化

2016年08月04日 | Weblog
M3「日医、「かかりつけ医受診以外の定額負担に反対」経済財政諮問会議の動きをけん制」(https://www.m3.com/news/iryoishin/447183)。<以下引用>
<日本医師会の横倉義武会長は8月3日の定例記者会見で、経済財政諮問会議で議題にあがった「外来受診時の定額負担」について、反対の意向を示した。7月26日に開催された経済財政諮問会議で、社会保障ワーキング・グループの主査を務める民間議員の榊原定征氏(経団連会長、東レ株式会社相談役最高顧問)が「今年は2つの大きな課題として、高額療養費の見直しと、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入を関係審議会で検討をお願いしている。ぜひ今年中に改革をする方向で結論を出していきたい」と発言したことを受けたもの。2015年12月に公表された「経済・財政計画改革工程表」でも、「かかりつけ医普及の観点から、かかりつけ医以外を受診した場合における定額負担を導入することについて、関係審議会等において検討し、2016年末までに結論」と明記されている。横倉会長は、かかりつけ医の推進は日医も一致するところとした上で、定率負担に加えてさらなる自己負担として定額負担を徴収することは、「国民の理解を得られるか疑問」と指摘。かかりつけ医を持つよう普及に努める段階であるとし、「現状でかかりつけ医以外を受診した場合の定額負担を導入すれば受診抑制につながる。外来受診時の定額負担には改めて反対する」と述べた。また、受診時定額負担の検討の前に、高齢者の金融資産の多寡に応じた負担の検討など、応能負担の議論を先に行うべきであると指摘した。>

経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「経済・財政再生計画改革工程表」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/0511/sankou_01-2.pdf)p7「かかりつけ医の普及の観点から、かかりつけ医以外を受診した場合における定額負担を導入することについて、関係審議会等において検討し、2016年末までに結論;関係審議会等における検討の結果に基づいて必要な措置を講ずる(法改正を要するものに係る2017年通常国会への法案提出を含む)」とある。医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)では「高額療養費、後期高齢者の窓口負担」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000130224.pdf)について協議されているが、外来定額負担の行方も注目である。「平成28年度診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p67「紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入」がなされており、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=344633&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000119348.pdf)の問197~問205「大病院定額自己負担」は正確に理解しておきたい。法改正による「外来定額負担」よりも「大病院要件の見直し」の方がスムーズな感じがしないでもない。そもそも「紹介状なしの大病院受診時に係る選定療養」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000098761.pdf)は200床以上の病院が徴収できるものである。また、医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p37「地域包括診療料」「認知症地域包括診療料は200床未満の病院も算定可能である。社会保障改革では医療費適正化(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000117386.pdf)のウエイトは高いであろうが、健康増進による適正化を前面に掲げたい。「保険者努力支援制度における評価指標の候補」(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T160506S0020.pdf)、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121902.pdf)、「個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する取組に係るガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000124579.html)について、まずは各市町村がしっかり取り組まれなければならない。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p11~15、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)では、それぞれ保健事業による大幅な医療費適正化事例が紹介されているように、保健事業による医療費適正化はけっして夢物語ではないように感じる。
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医療・介護の推計と実績との乖離

2016年08月04日 | Weblog
メディウォッチ「2015年の医療・介護、推計値と実績には大きな乖離があるため新推計を行うべき―日医総研」(http://www.medwatch.jp/?p=9905)。<以下引用>
<2011年に行われた「2015年度の医療・介護に係る推計値」と、実際の2015年度の姿を比較するとさまざまな乖離がある。在宅医療や介護の状況なども踏まえて、将来推計の改訂版を示すべきである―。日本医師会のシンクタンクである日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は、このほど公表したワーキングペーパー「過去の医療・介護に係る長期推計と現状(2015年の姿)」の中でこうした提言を行っています。2015年の医療・介護費、推計では55-57兆円だが、実際は51.9兆円 社会保障・税一体改革論議が進められる中で、政府は2011年に「医療・介護に係る長期推計」を行いました。日医総研では、こうした推計値と現状を比較しています。まず「2015年の医療費・介護サービス費」を見てみると、2011年推計では、現状(当時)のままで推移(現状投影)すると55兆円(医療費45兆円、介護費11兆円、端数処理の関係で合計値が異なる)となり、改革シナリオのパターン1では57兆円(医療費45兆円、介護費11兆)と推計されました。しかし、実際には医療費41.8兆円・介護費10.0兆円の合計51.9兆円にとどまっています。改革シナリオのパターン1には、一般病床の2割を高度急性期(平均在院日数2割短縮)、5割を急性期(同33%短縮)、3割を亜急性期・回復期に機能分化するといった内容が盛り込まれています。平均在院日数や病床数などは、推計よりも早いペースで短縮・減少 医療についてもう少し細かく見てみると、次のようなことが明らかになっています。【入院】▽入院医療の単価(1人1日当たり費用)は、推計値と実績ともに「2011年度の1.09倍」となっている ▽入院患者数は、現状投影で143万人、改革シナリオパターン1で133万人と推計されたが、実績は128万人にとどまっている ▽平均在院日数は「1日程度短縮する」と推計されたが、実際には「1.8日短縮」している【特にDPCで短縮幅が大きい】 ▽病床利用率は「一般病床73―80%程度、長期療養91%程度、精神病床90%程度」と推計されたが、実際には「一般病床70.4%、医療療養87.7%、精神病床85.6%」にとどまっている ▽病床数は、「一般病床109万床(高度急性期22万床、急性期53万床、回復期等34万床)、長期療養23万床、精神病床33万床」と推計されたが、実際には「一般100万床、医療療養28万床、精神病床34万床」となっている 【外来】▽外来医療の単価(1人1日当たり費用)は、12,1万円(経済前提を加味する)と推計されたが、実際には12.3万円となった【薬剤費の伸びが大きい】 ▽外来患者数は、1日当たり「現状投影で812万人、改革シナリオパターン1で802万人」と推計されたが、実際には1日当たり「768万人」にとどまっている【病院から診療所への外来移行は進んでいない】 介護保険3施設の入所者、推計値よりも少なく、整備遅れか また介護分野については、次のような乖離があることも分かりました。▽施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養病床)の利用者数は、「現状投影で115万人、改革シナリオパターン1で106万人」と推計されたが、実際には「98万人」にとどまっている ▽施設の1人1か月当たり費用は、41万円(経済前提加味)を推計されたが、実際は38万円となっている 「社会保障の充実」が疎かになっていないか、新推計を行って検証すべき こうした乖離の原因について日医総研は、「2011年の推計では外来、在宅医療、介護について精緻な推計がなされていない」ことがあると見て、厚生労働省に対して「将来推計の改訂版を示すべき」と提案しています。2011年時点と比べて、入院医療から外来医療へのシフト、在宅医療の推進、医療・介護連携の推進など、さまざまな動きがあるため、新たな制度(診療報酬改定や地域医療構想、病床機能報告制度など)を踏まえた推計が必要と言えそうです。その上で日医総研は、社会保障・税一体改革には、社会保障の効率化にとどまらず、「社会保障の充実」という側面がある点を指摘。「退院後の受け皿」「在宅医療」「介護施設サービス」の整備といった充実がなされないことで、「保険給付範囲の縮小」「所得による格差の拡大」などにつながることを懸念しています。なお日医総研では、入院患者数・病床数の減少について「高齢者で平均在院日数が急速に短くなっている」点に着目。「効率化が進んでいるように見えるが、公的保険外の民間介護サービスを頼らざるをえない事態になっていないか」と危惧しています。>

日医総研「過去の医療・介護に係る長期推計と現状」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_601.html)が出ている。社会保障と税の一体改革(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/index.html)での将来推計(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/syutyukento/dai10/siryou1-1.pdf)(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/syutyukento/dai10/siryou1-2.pdf)と実績の乖離が示されているが、①医療・介護政策、②診療報酬・介護報酬改定、③医療・介護技術など、様々な要因があるのかもしれない。平成26年7月からの「社会保障制度改革推進会議」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/kaisai.html)の次回以降にも注目である。とりあえず、今年夏頃に出るとされている「医療機適正化基本方針一部改正」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/dai6/shiryou3.pdf)による第3期医療費適正化計画と、平成30年度からの第7次医療計画、第7期介護保険事業計画、そして、平成30年度の医療・介護報酬同時改定が気になるところである。しかし、「患者を増やし、医療・介護サービスを増やす」は必ずしも幸福につながるわけではないことは認識したい。本来は「健康増進・介護予防施策」によって、医療・介護の推計と実績の乖離が生じるのが理想といえるかもしれない。国全体の統計だけでは「我が事」として認識されにくいであろう。やはり、自治体レベルで、医療費適正化計画や介護保険事業計画での推計・目標と実績の乖離の情報公開の徹底が不可欠と感じる。消費税は全国一律であるが、保険料は違う。
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将来の介護需要と貯蓄

2016年08月04日 | Weblog
キャリアブレイン「シミュレーションで必要な貯蓄額をつかむ-介護のお金はいくら必要?(上)」(http://www.cabrain.net/management/article/49298.html)。<以下一部引用>
<介護のリスクと費用を早めに知っておく-。経済産業省の研究会が昨年度末に公表した報告書(※「将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会」報告書)では、65歳で年金を受給してから亡くなるまで、どのくらいの費用がかかるのかシミュレーションし、若いうちから老後に直面するリスクを認識したり、生涯設計を考えることを促している。医療・介護従事者もいつかは介護サービスの利用者。どれくらいの費用がかかりそうか、つかんでおこう。研究会では当初、生涯未婚の人などが単身のまま高齢者になった場合、どのような介護需要があるのか、介護保険サービス以外に、自助努力の観点から、どのような仕組みが考えられるのかもテーマとなった。経済産業省産業構造課の前田翔三課長補佐は、ある程度若いうちから、自分が高齢者になったらどのような生き方があり、どれくらい費用がかかるのかを知ってもらうために、大まかなシミュレーションを行ったという。■経産省研究会が4つのオプションで老後にかかる費用を試算 シミュレーションは、65歳から厚生年金を受給し、“持ち家”で暮らすことが前提。男性は79歳で要介護状態に入り、84歳で死亡。女性は84歳で要介護、89歳で亡くなることを想定している。厚生年金の受給額は、単身世帯で月14.7万円、夫婦世帯で月20.2万円(夫の死別後は、国民年金〈月5.4万円〉と遺族年金〈月8.2万円〉)を想定している。自宅での生活費などの支出(要介護状態になる前)は、単身世帯月15.5万円、夫婦世帯26.5万円で試算している=表=。要介護状態になれば、介護保険サービスの自己負担分が増えるほか、例えば、特別養護老人ホームに入居すれば、住居費をはじめ、食費や水道・光熱費なども変化する。シミュレーションでは、要介護状態になってからの4つのオプションを示し、それぞれ単身世帯・夫婦世帯でどれくらいの貯蓄や資産が必要になるかを試算している。(1)生涯在宅で過ごす(訪問介護と通所介護を利用)(2)要介護2まで在宅(訪問介護と通所介護を利用)、要介護3以降は特養で過ごす(3)要介護1からサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で過ごす(4)要介護1から有料老人ホームで過ごす>

今年3月の経済産業省「「将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会」報告書」(http://www.meti.go.jp/press/2015/03/20160324004/20160324004.html)では団塊の世代が85歳を越える2035年に向けた対応の方向策について提言されている。厚労省「第6期計画期間・平成37年度等における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000083954.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12303500-Roukenkyoku-Kaigohokenkeikakuka/shuukei.pdf)が出ていたように、各介護保険者では2025(平成37)年度の介護保険料の見込みを出しているが、どれほど周知されているであろうか。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)も2025年の医療需要・必要量とそれに向けての施策を示すものであるが、それぞれの地域において、医療と介護の中期的な見通しに関する普及啓発が欠かせないであろう。また、「サービス付き高齢者向け住宅」(https://www.satsuki-jutaku.jp/)や「介護施設」(http://www.kaigokensaku.jp/)の実態把握だけではなく、「在宅医療にかかるコスト」(http://www.zaitakuiryo.or.jp/zaitaku/money.html)の普及啓発も重要と感じる。今年3月「「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集」(保険外サービス活用ガイドブック)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000119256.html) (http://www.meti.go.jp/press/2015/03/20160331007/20160331007.html)が出ているが、保険外サービスのコストの普及啓発も必要であろう。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の内閣府「一億総活躍社会の実現に向けた成長と分配の好循環モデルー賃金・所得・消費の循環を中心とした試算ー」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/0418/shiryo_05.pdf)は理想かもしれない。しかし、内閣府「子供・若者白書」(http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/hakusho.html)の各種データ(http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h28honpen/sanko_10.html)の巻末5-4「非正規雇用者比率」は増加傾向にある(平成27年の25~34歳の非正規雇用者比率は37.5%;男性16.6%、女性40.9%)。「全国高齢者医療主管課(部)長及び国民健康保険主管課(部)長並びに後期高齢者医療広域連合事務局長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=252919)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000077892.pdf)p54「都道府県別の国保保険料収納率」、p55「政令指定都市及び特別区の国保保険料収納率」、p57「都道府県別滞納世帯数(割合)・短期被保険者証交付世帯数(割合)・資格証明書交付世帯数(割合)」が出ていたが、地域間格差が小さくない。国民年金も気になるところである。
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児童虐待の急増と児童福祉対策の前倒し

2016年08月04日 | Weblog
朝日新聞「児童虐待対応、10万件超える 15年度、心理虐待が増」(http://www.asahi.com/articles/ASJ836TNRJ83UTFK01P.html)。<以下引用>
<全国の児童相談所(児相)が2015年度に対応した児童虐待は初めて10万件を超えた。暴言や脅しによる「心理的虐待」が目立って増え、全体の半数近い。統計を取り始めた1990年度から25年連続で過去最多を更新し、10万3260件となった。厚生労働省が4日に速報値を公表した。住民や警察などからの通告をもとに全国208カ所の児相が対応した件数をまとめた。前年度から1万4329件(16・1%)増え、10年間で3倍になった。暴言や脅しなどで子どもの心を傷つける「心理的虐待」が4万8693件(前年度比9918件増)で、全体の47・2%(14年度は43・6%)を占めた。子どもの目の前で家族に暴力をふるう「面前DV(家庭内暴力)」が心理的虐待として警察から通告されるケースが増えたという。殴る・蹴るなどの暴行を加える「身体的虐待」は2万8611件(前年度比2430件増)、食事を与えないなどの「ネグレクト(育児放棄)」が2万4438件(同1983件増)、子どもへの性行為など「性的虐待」は1518件(同2件減)だった。都道府県別で最も多かったのは大阪府の1万6581件(同2843件増)。神奈川県の1万1595件(同1405件増)、東京都の9909件(同2095件増)が続いた。最も少なかったのは鳥取県の87件(同5件増)だった。児相に電話で相談しやすくなったことも件数が増えた理由とみられる。厚労省は昨年7月から、虐待通告や子育ての悩みを受け付ける児相の全国共通ダイヤルを10桁から3桁の「189」に変更。共通ダイヤルにかかってきた電話は14年度の2万144件から、15年度は23万3880件と急増した。NPO法人児童虐待防止協会(大阪市)の津崎哲郎理事長は「核家族化で家族が孤立しやすくなり、経済的に苦しい家庭も増えている。一方で子育て家庭への支援は十分とは言えず、厳しい環境の中で虐待が増えている」と分析している。>

「平成27年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000132381.html)が出ている。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000132366.pdf)p2では都道府県、指定都市、児童相談所設置市別に出ているが、対前年で5割以上増えている県(長崎、高知、岩手)もあることは認識したい。児童虐待防止対策(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000122772.html)に関して、児童福祉法等の一部を改正する法律(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000122788.pdf)では、「支援を要する妊婦等を把握した医療機関や学校等は、その旨を市町村に情報提供するよう努める」「都道府県は、児童相談所に①児童心理司、②医師又は保健師、③指導・教育担当の児童福祉司を置くとともに、弁護士の配置又はこれに準ずる措置を行う」「児童相談所等から求められた場合に、医療機関や学校等は、被虐待児童等に関する資料等を提供できる」「親子関係再構築支援について、施設、里親、市町村、児童相談所などの関係機関等が連携して行うべき旨を明確化」の施行日は今年10月1日であり、対応を急ぐ必要があるように感じる。「厚生労働省における児童虐待防止対策の推進体制」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000122786.pdf)、「児童虐待防止対策に関する業務の基本方針」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000122791.pdf)が出ているが、現場でしっかり取り組まれなければならないであろう。国の児童相談所強化プランでは31年度までに児童福祉司約550人、児童心理司約450人、29年度までに保健師約120人強化する(保健衛生ニュース6月27日号)とのことであるが、地方自治体で取り組まれなければ全く意味がない。改正児童福祉法等(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000122788.pdf)の施行は今年4月1日で、「施行後2年以内に、児童相談所の業務の在り方、要保護児童の通告の在り方、児童福祉業務の従事者の資質向上の方策を検討する。」「施行後5年を目途として、中核市・特別区が児童相談所を設置できるよう、その設置に係る支援等の必要な措置を講ずる。」とあるが、前倒しは検討されないであろうか。そういえば、日本産婦人科医会「メンタルヘルスケアを要する妊産婦をめぐる諸問題」(http://111.87.74.44/all/conference/post_726.php)の「メンタルヘルス介入が必要な妊産婦の頻度とその背景」(http://www.jaog.or.jp/all/280511kishamental2.pdf)p6「メンタルヘルスに問題があり介入が必要な妊産婦の頻度は4.0%で、全国で年間約4万人と推計される。」「半数近くはメンタルヘルスケアの専門職のアドバイスを受けることなく、経過していた可能性がある。これらの精神疾患とその既往がなかった妊産婦は、比較的若年で、周囲から孤立する傾向が強く、育児障害や児童虐待に関し、よりハイリスクと推察された。」等とあった。厚労省「平成27年度子育て世代包括支援センター事例集」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123792.html)では「おおむね平成32年度末までに、地域の実情等を踏まえながら、全国展開を目指す」とあるが、これも前倒しは検討されないであろうか。改正母子保健法(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000122788.pdf)による「子育て世代包括支援センターの法定化(法律上は母子健康包括支援センター)」の施行日は平成29年4月1日である。
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治療と職業生活の両立支援

2016年08月04日 | Weblog
日刊ゲンダイ「会社への報告義務なし がんのため仕事を辞めてはいけない」(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/187012)にあるように、がんと診療されたことは勤務先に報告する義務はないが、保険者は電子レセプトを確認することができる。すでに厚労省「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000113365.html)が出ている。。「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129197)の資料「保険者インセンティブの検討状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121285.pdf)p9にあるように、被用者保険では今年夏~秋頃を目途にインセンティブの仕組みが検討されているが、「治療と職業生活の両立支援」の取り組みは医療費適正化の観点からは厳しいかもしれない。しかし、「健康経営」の一環として位置付けたいものである。ところで、厚労省「がんと診断された時からの緩和ケア」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/pdf/kanwakea.pdf)は拠点病院に限定することはない。
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ポケモンGOとウォーキング

2016年08月04日 | Weblog
保健指導リソースガイド「「ポケモンGO」を糖尿病の運動療法に活用 運動不足を解消できる」(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2016/005426.php)に目がとまった。運動施策の推進(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html)には「階段利用キャンペーン」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/undou03/index.html)も悪くないが、ユニークな発想が求められるのかもしれない。そういえば、健康づくり推進本部(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkoudukuri_sokusin/index.html)はどうなっているであろうか。健康・医療戦略参与会合(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/kaisai.html)の「健康・医療戦略の実行状況と今後の取組方針2016(案)(骨子)」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai11/siryou2.pdf)では「健康・医療に関する新産業創出;■ 地域におけるヘルスケア産業の創出・育成 ■ 健康経営の推進・健康投資基盤の整備 ■ 保険外サービスの見える化と質の確保」に期待したい。「保険者インセンティブの検討状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121285.pdf)が出ており、新たな事業についてエビデンスが確認され、評価指標として採用されれば、普及が進むように感じる。ところで、日本健康会議データポータル(http://kenkokaigi-data.jp/)が出ているのであるが、「保険者データヘルス全数調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/dhcs28/)は、経済・財政一体改革推進委員会(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/index.html)の「見える化ポータルサイト」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)での「見える化」が期待されるように感じる。
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組織横断の肝炎対策

2016年08月04日 | Weblog
肝炎対策の推進に関する基本的な指改正(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160028&Mode=0)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/pdf/hourei-27.pdf)で「肝がん罹患率の減少を目標」「職域での啓発や検査実施」が示されたが、全国「がん登録」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_toroku.html)(http://ganjoho.jp/reg_stat/can_reg/national/index.html)による肝がん罹患の分析にも期待したい。また、今年10月からのB型肝炎ワクチンの法定接種化(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10905750-Kenkoukyoku-Kanentaisakusuishinshitsu/0000117609.pdf)を機に、今後、妊婦健診での肝炎ウイルス検査や、エイズ動向委員会(http://api-net.jfap.or.jp/status/index.html)の定期発表で「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」が公開されているように、献血血液での肝炎検査陽性件数も含めて、一般の肝炎ウイルスキャリア率を評価すべきと感じる。「肝がん罹患率の減少を目標」「職域での啓発や検査実施」を掲げるのであれば、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/2181KB.pdf)p45「定期検査費用助成の拡充」の対象について、妊婦健診や職域健診での陽性者に拡充されないといけないであろう。地域・職域連携推進協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128579)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128578)においても肝炎対策について協議すべきと感じる。肝炎対策(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/index.html)(http://www.kanen.ncgm.go.jp/index.html)は組織横断でなければならない。
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医療広告の罰則規定の行方

2016年08月04日 | Weblog
日本経済新聞「医療HPの誇大表現規制 トラブル受け厚労省方針」(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG03HAX_T00C16A8000000/)。<以下引用>
<脱毛や脂肪吸引などの「美容医療」を巡るトラブルが相次いでいることを受け、厚生労働省は3日、美容医療に限らず全ての医療機関のホームページ(HP)での虚偽、誇大な表現を規制する新たなガイドラインを作成する方針を決めた。医療法を改正し、違反した場合には罰則を設けることも検討する。ガイドラインは、虚偽の内容や誇大な表現、不適切な表示を掲載しないよう求める。具体的には、効果があるように加工・修正した術前術後の写真や「絶対安全な手術」などの表現を禁じることを検討している。現行の医療法は、医療機関の広告に掲載できる項目を診療科名や手術の内容などに限定している。ただ、HPは利用者が自ら検索して閲覧するため広告には当たらないとして、別のHPに閲覧者を誘導する「バナー広告」などを除き、規制の対象外としてきた。しかし、美容クリニックがHPで施術効果や安価な料金を誇張するなど、契約トラブルや健康被害の相談が増加。厚労省は医療機関のHPを、引き続き医療法上の広告としては扱わないとした上で、不適切な表示を規制すると決めた。>

医療広告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html)について、「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=335126)で協議されている。「医療法における広告規制の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000117468.pdf)は正確に理解しておく必要がある。医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126719)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/shiryo3-2.pdf)p31~36「医療広告の在り方」もみておきたい。「医療広告ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kokokukisei/dl/shishin.pdf)や「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000117472.pdf)が医療現場にどれほど周知徹底されているであろうか。今後、医療広告の罰則規定を設けるのであれば、ホームページ公表されている医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)だけではなく、各医療機関のホームページのチェックが必要となるであろう。医療機関広告の取締(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/)は、医療法(http://www.ron.gr.jp/law/law/iryouhou.htm)第六条の八で、「都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関する広告が第六条の五第一項、第三項若しくは第四項又は前条各項の規定に違反しているおそれがあると認めるときは、当該広告を行つた者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、当該広告を行つた者の事務所に立ち入り、当該広告に関する文書その他の物件を検査させることができる。2 都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関する広告が第六条の五第一項若しくは第四項又は前条第一項若しくは第三項の規定に違反していると認める場合には、当該広告を行つた者に対し、期限を定めて、当該広告を中止し、又はその内容を是正すべき旨を命ずることができる。」と規定されており、保健所長に事務委任されている自治体も少なくないであろう。「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=327739)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000114072.pdf)p305、308「医療安全支援センター」(http://www.anzen-shien.jp/)の役割が重要になるように感じる。以前、総務省行政評価局から、医療安全対策に関する行政評価・監視(http://www.soumu.go.jp/main_content/000170025.pdf)が出ていたが、医療機関広告の取締も医療安全対策の一つといえるであろう。医療広告の罰則規定の行方に注目である。
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