保健福祉の現場から

感じるままに

成田市医学部新設の行方

2014年12月26日 | Weblog
M3「「質の悪い医師増える」と高久氏、成田の医学部新設で 日医、医学会なども改めて反対を表明」(http://www.m3.com/open/iryoIshin/article/280855/?category=report)。<以下引用>
<千葉県成田市における国家戦略特区による医学部新設の検討を受けて、日本医師会、日本医学会、全国医学部長病院長会議は12月24日、医師養成数の過剰や現在の構想の不十分さを指摘した上で、「反対」を明言する会見を開いた。新設の影響について、会見者から「(募集停止する大学が相次ぐ)法科大学院のようになってはいけない」「質の悪い医師が増える」といった意見が出た。132人に1人が医師になる可能性;会見には、3団体から9人が出席。日医の横倉義武会長が強調したのは、医師養成数の問題。2008年度から2015年度にかけて、年間の医師養成数は1509人増加している点や、地域枠で入学した学生全員がまだ臨床現場に出ていない点を指摘して、「医師養成数に一定のめどがつきつつある」と述べた。さらに、人口減少の中で、1976年には437人に1人が医師になっていたのに対して、2014年には162人に1人となっているグラフを示し、現状の医学部定員数でも「2030年には132人に1人になる」として、医師過剰になるとの認識を示した。横倉会長は、医師1人の養成費用や地元医師会の反対にも言及した上で、「(成田への医学部新設は)反対。人口が減る中で、今後の医師養成数を検討した上で浸透に対応する必要がある」とした。「医師養成数を検討して対応」との表現について、「他の団体より表現が弱いのでは」との指摘に対して、横倉会長は、「トーンの違いはない」と足並みがそろっている点を強調した。加えて、横倉会長が紹介したのは、法曹界の規制改革で、募集停止が多発している法科大学院。合格率に課題がある法科大学院は、入学者が9割減り、募集停止校が、74校中20校に上っている点を踏まえ、「医学部は、(法律系の大学と比べて)設備が極めて重い。法科大学院のようにならないようにと、強く申し上げたい」と話した。「質の悪い医師増加、国民幸せでない」;日本医学会の高久史麿会長は、医学会の幹事会において、全員が新設に反対した点に言及し、「(現在までの定員増加で)医学生の質の低下を指摘するデータも出ている。質の悪い医師が増えるのは国民にとって幸せではない」とした。地域偏在などの問題について、高久会長は、「国として考えていかないといけない問題」とした上で、地域医師会と大学で、協働して取り組む姿勢の重要性も強調した。全国医学部長病院長会議副会長の甲能直幸氏は、成田市や国際医療福祉大学が示している「国際医療への貢献」「グローバルスタンダードの医療施設提供」などについて、「既存の大学で対応できる」と、同会議の従来の主張を繰り返し、新設医学部が不要である点を指摘した。同会議相談役の寺野彰氏は、国際医療福祉大学について、「栃木で計画があったときの目的は『地域医療』、神奈川の時『先端医療』だった。どこまで真剣なのか」と、同大学の姿勢を批判した。「成田の高度医療提供問題ない」;同じく同会議相談役の河野陽一氏は、千葉県の実情を紹介。成田市のある印旛保健医療圏について、既に基準病床数を満たしている上に、成田赤十字病院と2つの大学病院の分院がある点を指摘して、「近くに高度医療病院が存在していて、高度医療の提供に問題はない」と述べた。成田市に600床規模の大学病院ができた際の影響について、「地域医療提供や看護師確保からすると、プラスよりアンバランスになる側面がある」と指摘した。>

キャリアブレイン「医学部新設、成田市構想に日医などが反対- 定員増、医師の質に疑義も」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44560.html)。<以下引用>
<国家戦略特区に指定されている千葉県成田市が国際医療福祉大と連携して進めている医学部新設構想について、日本医師会(日医)と日本医学会、全国医学部長病院長会議は24日、合同記者会見を開き、人口の減少や、医学部の定員増によって毎年1000人以上の医師の就業が見込まれることなどを挙げ、「医学部新設に反対」との考えで足並みをそろえた。会見で、日医の横倉義武会長は、2008年度から15年度までの入学定員の累計増員数が約1500人となっていることを踏まえ、「新設医学部の定員数を従来の100人とすると約15医学部分に相当する」と指摘。「医師数の絶対数の確保には一定のめどが付きつつある」とし、今後の環境変化や勤務医の負担軽減にも対応できるとの見通しを語った。また、日本医学会の高久史麿会長も「質の悪い医師が増えてくるというのは、国民にとっては幸せではない」とし、増員によって医療の質が落ちることに懸念を示した。一方、今月18日に反対の姿勢を表明した全国医学部長病院長会議の甲能直幸副会長も「新設には膨大な費用がかかり、国民への負担が大きい。医療の現場に及ぼす混乱も予想される」と述べた。>

キャリアブレイン「成田市構想を痛烈批判、医学部長病院長会議- “国際”は「隠れみの」、対案準備も」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44525.html)。<以下引用>
<全国医学部長病院長会議の荒川哲男会長(大阪市立大医学部長)らは18日に開いた記者会見で、国家戦略特区に指定されている千葉県成田市が国際医療福祉大と連携して進めている医学部新設構想を痛烈に批判した。同構想が国際的な医療人材の育成をうたっていることについて、定員140人のうち、国際性の高いカリキュラムを受講する「特別国際枠」は20人にとどまるとし、特別国際枠の構想を「隠れみの」として一般臨床医の育成を主目的にしていると批判。また、医師の地域・診療科偏在問題を解消するための「対案」を、日本医師会などと準備していることも明らかにした。特区の医学部新設をめぐっては、東京圏の区域会議の下に設置された、成田市での新設を議論する分科会が17日に初会合を開いていた。全国医学部長病院長会議は、4月にも特区の医学部新設に反対する声明を発表。18日の会見では、改めて反対姿勢を示した。政府は、特区の医学部には、「一般の臨床医の養成・確保を主たる目的とする既存の医学部等とは次元の異なる際立った特徴を有する」必要があるとしている。同会議は、成田市などはこれをクリアするために「国際的な医学部」を強調しているものの、すでに既存の医学部で国際化の取り組みはなされているなどと反論した。会見に同席した小川彰顧問(岩手医科大理事長)は、成田市などの構想について、「本来は普通の医学部をつくりたいという意図があるが、“国際”を打ち出すことで、それを巧妙に隠している」と指摘。国際医療福祉大についても、「これまで何度も他の土地で新設構想を出しているが、そのたびに理念が異なり、ご都合主義だ」と一蹴した。さらに荒川会長は、「特区で一校でも医学部新設が認められると、他の特区からも新設の要求が出されて歯止めが利かなくなる」と危機感を示した。>

キャリアブレイン「医学部新設、特区の成田市分科会が初会合- 附属病院600床、病床規制の緩和要求」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44513.html)。<以下引用>
<国際的な医療人材を育成するための医学部の新設などについて議論する、東京圏国家戦略特別区域会議の下に設けられた「成田市分科会」は17日、初会合を開いた。千葉県成田市の小泉一成市長や、成田市と連携して医学部新設を目指している国際医療福祉大の矢崎義雄総長らが出席。成田市は、医学部新設が認められた場合に600床規模の附属病院をつくるため、病床規制に関する医療法の特例を適用することなどを求めた。東京圏の特区に指定されている成田市は、国際医療福祉大と協力し、国内外の医療需要に対応した国際的な医学部の新設や、国際空港の立地する同市にふさわしい国際水準の病院の設置などを盛り込んだ「国際医療学園都市構想」の実現を目指している。これらは、9日に決まった東京圏の第1弾の区域計画には入らなかったが、医学部新設について検討して結論を得ることは極めて重要で緊急性が高いとされ、同分科会を設置して議論することになっていた。17日の初会合では、成田市が資料を提出し、国際医療学園都市構想の実現のために必要な規制緩和策を具体的に提示。医学部の新設を認めないとする文部科学省の告示による規制の緩和を求めたほか、同市のある二次医療圏の既存病床数が基準病床数に達しており、不足病床数がゼロであることを挙げ、東北地方の医学部新設での公募の事例などから、附属病院の600床規模の病床規制の緩和が必要だとした。また同市は、この附属病院では国際的な医療サービスを提供することも必要だと指摘。そのため、現在は英・仏・シンガポールの3か国に限られている二国間協定に基づく日本国内での外国の医師免許を持つ人の診療業務を、他の国にも拡大した上で、それぞれの国籍の患者に対しての診療しか認められていない現状の規制を緩和し、母国だけでなく、日本を含むさまざまな国の人を診察できるようにすることを求めた。この日の会合には、オブザーバーとして、文科省の高等教育局長や厚生労働省の医政局医事課長らが出席した。今後、成田市と国際医療福祉大は両省とも協議しながら、医学部新設の実現に向けての課題や解決策を整理する。次回の会合では、具体的な課題の解決策や、医学部新設に伴って生じる病床規制の緩和などについて話し合う。>

東京圏国家戦略特別区域会議の成田市分科会資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/tokyoken/naritashi.html)が出ている。12月9日の東京圏国家戦略特別区域会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/tokyoken/dai2/shiryou.html)では、成田市における「国際的な医療人材の育成のための医学部等の新設に関する検討について「極めて重要かつ緊急性が高い」とされていたが、現在、東北薬科大学(http://www.tohoku-pharm.ac.jp/new/index.cgi)での医学部新設の動向が注目されている中で、さらに、成田市医学部が「極めて重要かつ緊急性が高い」と感じない方が少なくないかもしれない。全国医学部長病院長会「国家戦略特区での医学部新設に反対する。」(https://www.ajmc.jp/pdf/kokkasenryakutokku26-4-11.pdf)、日本医師会「東京圏国家戦略特区における医学部新設に改めて反対を表明―横倉会長」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1822.html)も出ている。文科省「医学部(医学科)入学定員の推移」(http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2013/11/15/1324090_1.pdf)をみれば、昭和59年~平成15年に655人削減されているが、今後、定員削減の必要が出てくる場面が絶対にないとはいえない。なぜ、柔軟な対応がしやすい大学医学部の定員増加ではなく、医学部新設なのか、よくわからない方が少なくないかもしれない。歯科医師過剰(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E9%81%8E%E5%89%B0%E5%95%8F%E9%A1%8C)や法科大学院定員割れ(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2%E5%AE%9A%E5%93%A1%E5%89%B2%E3%82%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C)と同じ轍を踏んではいけないであろう。将来の懸念だけではなく、「教員確保のため医療現場から多くの医師を引き上げることで、地域医療の崩壊が加速する可能性」(http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2014/m06/r0616.htm)を懸念する方も少なくないかもしれない。「国際的な医療人材の育成」は国立国際医療研究センター(http://www.ncgm.go.jp/)や既存大学医学部等では、なぜダメなのか、オブザーバーとして参加している、文科省の高等教育局長や厚生労働省の医政局医事課長から具体的に明らかにされるべきであろう。政府の国家戦略特別区域会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/tokyoken/dai2/shiryou.html)での医学部新設には何か特別な力が働いているのであろうか。ネット記事(http://yoshiko-sakurai.jp/2013/05/09/4677)では「2023年までに日本の医学教育が国際標準に改められない限り、日本の医学部の学生は米国の医師国家試験を受けられなくなる」とあるが、米国からの外圧がかかっているのであろうか。これまで、医学部新設についてのマスコミ報道(http://biz-journal.jp/2013/06/post_2293.html)では医師会ばかりが反対するような記事であったが、非常に不思議な感じがする。今年6月にはMEDICAL CONFIDENTIAL「成田「医学部新設」浮上で疑心暗鬼の日医会長選」(http://medical-confidential.com/confidential/2014/06/post-714.html)が出ていた。
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