保健福祉の現場から

感じるままに

バイオテロの懸念

2014年12月25日 | Weblog

ロシアの声「北朝鮮、「宣戦布告」を宣言」(http://japanese.ruvr.ru/news/2014_12_26/281714882/)。

国民保護(http://www.kokuminhogo.go.jp/pc-index.html)は武力攻撃事態だけではない。国際情勢によっては天然痘(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/j-terr/2004/0514-1/index.html)等のバイオテロが懸念される。今年7月には、読売新聞「絶滅したはずの天然痘、米保健機関にウイルス」(http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=101681)と報道されていたが、天然痘ウイルスの保管は米国機関だけではないであろう。平成15年11月の感染症法改正で、天然痘が一類感染症に位置づけられるとともに、予防接種法の政令改正で法に基づく臨時接種がされることになっているが、世界根絶宣言されている天然痘が法律で規定されるのは、起こりうる可能性が否定できないからである。以前の保健師国家試験(http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/04/dl/tp0419-3-2am.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/04/dl/tp0419-3-2-kaitou.pdf)問69で天然痘が出題されたことがあり、「天然痘では1例でも発生した場合はアウトブレイク」である。保健医療関係者は天然痘研修会資料(http://idsc.nih.go.jp/disease/smallpox/index.html)をみておきたい。天然痘は、①空気感染する、②潜伏期間がやや長い(7~16日)、③全く免疫がない若者が多い(わが国では1975年まで種痘実施)、④致命率が高い(20~50%)、⑤テロ実行者はワクチン接種でリスクが小さい等から、最も警戒したいバイオテロの一つである。以前、ウイルス学者から聞いたところでは、テロとして使用するには凍結乾燥で扱いやすい感染症とのことであった。天然痘(痘そう)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-01-03.html)は、感染症法の1類感染症(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html)であるが、今年話題になったエボラ出血熱(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola.html)の諸準備が役立つことであろう。また、臨時の種痘は、新型インフルエンザ対策(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html)の特定接種、住民接種(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/jumin-sesshu.html)の準備が役立つはずである。「市町村のための新型インフルエンザ等住民接種に関する集団的予防接種のための手引き(暫定版)」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/dl/tebiki_zantei.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/dl/tebiki.pdf)を参考に、市町村行動計画が策定されているであろうが、具体的な検討(接種場所、スタッフ、案内方法等)はどうなっているであろうか。医療機関以外での住民接種に係る巡回診療届出や診療所開設届出(http://www.pref.toyama.jp/branches/1273/main/imu.htm)様式も事前準備しておきたい。なお、政府の「NBCテロ対処現地関係機関連携モデル」(http://www.j-poison-ic.or.jp/ippan/1122nbc.pdf)では「保健所」がしっかり組み込まれていることを認識したい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生活保護医療扶助の適正化と生活困窮者自立支援

2014年12月25日 | Weblog
日本経済新聞「生活保護者への向精神薬「多剤処方」、健保加入者の4倍」(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27H6N_U4A221C1CR8000/)。<以下引用>
<生活保護の受給者が、医師から睡眠薬など複数の向精神薬を大量に出される「多剤処方」の割合が、健康保険組合加入者の約4倍に上ることが、厚生労働省研究班の全国調査で分かった。受給者の処方割合を自治体別に見ると、最高は兵庫県西宮市で最低は富山県。都道府県別では関西地方が多かった。生活保護受給者の医療費に自己負担はなく全額が公費。過去に受給者が病気を装って入手した向精神薬がインターネットで転売される事件が発覚するなど、制度の悪用が懸念されている。研究班は「適正な処方に向けてより詳細な分析が必要だ」としている。調査は、厚労省の科学研究費補助金を受けて財団法人「医療経済研究機構」(東京・港)が実施。2011年と12年の各年の主に5月診療分のレセプト(診療報酬明細書)について、生活保護受給者に関しては延べ約228万件、健保組合加入者では全国約50組合の延べ約80万件を分析した。その結果、抗不安薬、睡眠薬などの向精神薬が3種類以上出される多剤処方の割合は、健保組合加入者の0.5%に対し、生活保護受給者は約4倍の2.1%だった。薬物依存になる危険性が高まるとして、睡眠薬などの向精神薬を3種類以上出した場合、医療機関に支払われる診療報酬を減らす改定が今年10月から実施されている。また、受給者の多剤処方の割合を地域別に分析。都道府県と政令指定都市、中核市など107自治体を比べたところ、トップは兵庫県西宮市で、岐阜市、大阪府高槻市と続いた。最低は富山県。都道府県別のみだと上位6位のうち大阪、奈良、和歌山の関西地方が半数を占めた。地域差が生じた理由として、同機構の奥村泰之研究員は、生活保護受給者数が多く精神病床が少ない自治体では、多剤処方の割合が高くなる傾向があると指摘。こうした地域では重症度が高く、入院できない外来患者が多い可能性があるとしながらも、「自治体などが定期的に割合を調査するなど詳細な分析を行い、地域の実情に応じた対策を取る必要がある」としている。>

向精神薬の過剰入手は貧困ビジネス(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9)の一つとされ、「生活保護の医療扶助における緊急サンプル調査の一次調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000gmbj.html)が出ていたことなど、適正化について考える必要がある。財務省資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia241022/01.pdf)p36に出ているように、生活保護医療扶助ではタクシーを利用した受診も交通費として認められ、1片道通院当たりの支給額の全国平均は1,170円であるが、主要都市の平均1片道通院当たりの交通費支給額では、奈良市12,149円、宮崎市10,981円と片道1万円超えていることもどうなのであろうか。そういえば、キャリアブレイン「生活保護、後発薬との差額を自己負担に- 財務省案、490億円削減効果」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44098.html)が出ていたが、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000046422.pdf)p43に出ているように、医療保険に比べて生活保護の後発医薬品使用割合が低いことは認識したい。とにかく、社会全体が生活保護の実態(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia241022/01.pdf)に関心を持つべきと感じる。資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia241022/01.pdf)p58にあるように、地域別の保護率に10倍以上の格差があること、p60に出ているように、非求職者、非就業希望者の地域的なばらつきが強いことはどれほど知られているであろうか。なお、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/z-fukushi/gyosei/gyousei05.html)では、「精神入院患者の2割が生活保護受給」とされている。市町村同意による医療保護入院の多くが生活保護医療扶助であろうが、精神障害者対策は生活困窮者自立支援の面からの取り組みが必要と感じる。資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-12-01d.pdf)p24~「新たな生活困窮者自立支援制度について」を理解したい。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000046438.pdf)p198に出ているように、生活困窮者自立支援法は平成27年4月1日施行であり、生活困窮者自立支援法(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000046438.pdf)の関心をもっと高める必要があるように感じる。「生活保護受給者数が多く精神病床が少ない自治体では、多剤処方の割合が高くなる傾向」というが、それぞれが自分たち自治体の状況に関心を持たなければならない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

セクハラ、パワハラ

2014年12月25日 | Weblog
厚労省「セクシュアルハラスメントによる精神障害の労災認定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/120827.html)が出ている。パワーハラスメント(http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/)とセットで理解したい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボディクロック

2014年12月25日 | Weblog
ボディクロック研究会HP(http://nemgym.com/bodyclock/)が目にとまった。平成25年「国民健康・栄養調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000067890.html)結果概要(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000068070.pdf)p14~睡眠の質で、20代、30代では高齢者に比べて「睡眠時間が足りなかった」「睡眠全体の質に満足できなかった」「日中、眠気を感じた」の割合が高い。睡眠の質は肥満、運動、欠食等との関連も気になるところかもしれない。健康づくりのための睡眠指針(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042800.pdf)があるが、ボディクロック(http://nemgym.com/bodyclock/)を意識すべきかもしれない。睡眠医療プラットフォーム(http://sleepmed.jp/platform/)も役立つ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地域包括ケアと保健師

2014年12月25日 | Weblog
ネットに出ている「地域包括ケアにおける保健の意義について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000036ouk-att/2r98520000036p0y.pdf)p7「求められる使命から離脱傾向の保健師;保健師には公衆衛生の専門の深化、行政組織への耐性の欠如などの要因によって次第に生活現場から離れてゆく傾向がみられ、加えて、生活をみる他のSW関係職種の発達もその傾向を加速させている」とあるのが注目された。p17「予防・治療・生活の混合化」、p20「ソーシャルワークの重要性の増大」は、例えば、生活習慣病対策(糖尿病、脳卒中等)や精神保健福祉対策などを鑑みても、何も特別のことではないし、新しいものでもない。p23「保健師は、地域との関わりがより重要になってゆく中で地域社会との関係を弱めてゆく職種という性格を帯びてきた」とあることにカチンとくる保健師がいてもおかしくないであろう。さて、先般、「保健師に係る研修のあり方等に関する検討会中間とりまとめ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000069264.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000069313.pdf)が出ている。昨年3月の「地域における保健師の保健活動に関する検討会報告書」(http://www.jpha.or.jp/sub/pdf/menu04_2_h24_02.pdf)をもとに、4月19日付で通知「地域における保健師の保健活動について」(健発0419第1号)・改定「地域における保健師の保健活動に関する指針」(http://www.jnapc.co.jp/material/pdf/news/no108.pdf?PHPSESSID=158b15556ef437d9291c676369ab7995)が出され、日本看護協会「保健師活動指針活用ガイド」(http://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/2014/hokenshikatudo-01.pdf)も出ていたが、保健師研修で対応されるであろうか。最近では地域包括ケアに関する保健師研修(http://the-hokenshi.com/report/2014/000032.html)が行われるようになっているが、もっと実践を踏まえた研修にしたいものである。医療介護連携については、介護保険の地域支援事業実施要綱改正案の在宅医療・介護の連携推進業務(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000061024.pdf)では、(ア)地域の医療・介護サービス資源の把握、(イ)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応の協議、(ウ)在宅医療・介護連携支援センター(仮称)の運営、(エ)在宅医療・介護サービスの情報の共有支援、(オ)在宅医療・介護関係者の研修、(カ)24時間365日の在宅医療・介護サービス提供体制の構築、(キ)地域住民への普及啓発、(ク)二次医療圏内・関係市区町村の連携の8業務が示されている。現在策定中の各自治体の第6期介護保険事業計画(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052532.pdf)でも打ち出されるであろうが、保健師の役割に期待したい。保健所には、9月12日告示の「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000058301.pdf)p11「在宅医療・介護の連携を推進する事業に関する事項については、都道府県の保健・医療担当部局と市町村の介護・福祉担当部局が連携して、整合性のある計画を作成していく必要がある。特に、在宅医療体制の整備、医療及び介護の連携に向けた取組等はこれまで市町村になじみが薄かったことから、都道府県がより広域的な立場から、保健所の活用等により、市町村の後方支援等を積極的に行うことが重要である。」を重く受け止めたい。厚労省「平成24年度 在宅医療連携拠点事業 総括報告書」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/seika/dl/h24soukatsu.pdf)p60で、「保健所は、これまでに医療計画を通じた在宅医療の推進に留まらず、難病対策、地域リハビリテーション対策、がん緩和ケア対策、認知症対策、介護予防対策等の実績があり、地域の関係機関・団体に働きかけやすく、これらの技術的なノウハウがある等の強みがある。これまで取り組みの経験がない市町村に対して市町村どうしの情報交換を促し、市町村を越えた広域での調整を行うなど、積極的な支援が期待される。」と記述されているように、保健所には様々な取り組み実績があることを認識したい。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/siryou1_1.pdf)p11~13にある「都道府県医療介護連携調整実証事業」は現在9府県の二次医療圏において、病院ネットワーク+ケアマネネットワーク+病院-ケアマネ協議によって、適切な退院支援を行い、要支援・要介護の入院者をケアマネにつなぐよう図られているが、保健所保健師が中心的な役割を果たしている。また、地域包括ケア推進の一環として、データヘルス(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061273.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000044053.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000060316.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000061280.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000061278.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000061279.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000060316.pdf)を普遍化させる必要がある。今年度からの保健事業指針改正(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000044053.pdf)によるデータヘルスの推進を真剣に受け止め、市町村では、少なくとも、「国保データベース(KDB)システム活用マニュアル」(http://www.kokuho.or.jp/hoken/public/lib/kdb_manual_ver.1.1.pdf)をマスターしておきたい。国保と保健の連携のためには、健康増進計画と医療費適正化計画・データヘルス計画の一体的展開が重要と感じる。また、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)は、「介護予防Webアトラス」(http://www.doctoral.co.jp/WebAtlas/top.html)が進化した感じで、今年度、全国各地の自治体で実施されている日常生活圏域ニーズ調査(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)データ送信が期待される。これらは予防~医療・介護までの貴重な分析ツールであり、地区診断に不可欠なものである。とにかく、地域包括ケアはSW関係職種でこと足りるような薄いものではない。これまで地元の大学で一度も講義したことがないので、よくわからないが、現場から遊離した地域看護教育ではいけないであろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

精神病床の転換と精神保健医療福祉

2014年12月25日 | Weblog
キャリアブレイン「精神病床を転換する“精神保健施設”が必要」(http://www.cabrain.net/management/article.do?newsId=44465)。<以下一部引用>
<「とにかく病床を減らせ、減らせではなく、老人保健施設のように、“精神保健施設”のような中間施設が必要」-。精神科病院の長岡病院(京都府長岡京市)を有する一般財団法人長岡記念財団の中野種樹理事長はそう話す。「長期入院精神障害者」の地域移行を促す施策が強化される中、同院も退院を促進し、病床を徐々に削減してきた。その上で、急激な「脱施設化」は患者が行き場を失うとして警鐘を鳴らす。長岡病院(旧・財団法人伏見病院長岡分院)は、精神科の単科病院として1935年に誕生。その後、80年近くにわたって地域の精神医療を支えてきた。86床からスタートした病床は、徐々に増床を重ね、ピーク時には499床までになったという。しかし、「ベッドを増やすだけでよいのだろうか」と疑問を抱くようになり、96年に今後の方針を検討する「将来計画委員会」を設置。ハードとソフトの両面から検討を開始した。その後、2002年までに、老朽化した病棟の刷新を図るとともに、病床機能を精神一般病棟、精神科急性期治療病棟、精神療養病棟、老人性認知症疾患療養病棟に再編。段階的に454床まで削減し、7病棟を9病棟に変更し、病棟単位を小さくすることで居住性を高めた。その翌年には、病院の通称を「長岡ヘルスケアセンター」とし、病院のイメージを一新させた。また、12年には、社会ニーズの高まりを受け、個室を増やしたストレスケア病棟を新設。ストレスマネジメントに有効とされる「心理・社会的プログラム」の提供を開始した。その際、441床に削減し、現在の病棟編成となった。「ここ数年は、ずっと地域に帰すことに力を入れてきた」と中野理事長は話す。外来機能を強化し、精神障害者向けのグループホームや共同住宅を立ち上げ、訪問看護や訪問介護の体制も強化した。その上で、「すぐに地域に帰ることができる人は既に帰った。自分で自立できる患者はそうするのが理想的だが、今までプロテクトされてきた人がいきなり自立するというのは、なかなか難しい」と話し、さらに地域に帰すためには、段階を経て徐々に地域で自立していく道筋をつくった方がよいのではないかと語った。>

今年7月の「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000051136.html)を受けて、11月4日の障害保健福祉関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/index.html)では、「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会取りまとめを踏まえた主な取組について」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000064165.pdf)が出ていた。「病院の敷地内における指定共同生活援助の事業等の経過的特例について」(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495140300&Mode=0)も注目の一つである。平成24年10月に医療計画に係る「精神疾患の医療体制の構築に係る指針」(http://www.c-yaku.or.jp/post/di-center_rmlo/121024_204.pdf)が出た後、今年3月、「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針(精神医療指針)」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/houritsushikou.files/daijinkokuji.pdf)(http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/syofuku/files/2014-0409-1331.pdf)が告示されているが、平成26年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000037464.pdf)でp100~「精神病床の機能分化」、p104~「精神疾患患者の地域移行と地域定着の推進」等があるように、診療報酬からも精神病床の機能分化、地域移行が誘導されている。中医協総会資料「精神医療について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031076.pdf)のp8「精神病床の平均在院日数」をみれば我が国の長期入院が国際的にみて際立っていることがわかるが、まずは「長期入院精神障害者をめぐる現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000042347.pdf)を社会全体が認識する必要があるように感じる。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000064544.pdf)p564精神病床の「都道府県別・指定都市別の在院期間別患者数」にもっと注目すべきであろう。「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会取りまとめを踏まえた主な取組について」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000064165.pdf)p92「都道府県だけでなく市町村でも精神障害者地域移行・地域定着推進協議会を設置し、市町村における体制整備を図る。」とあるが、そのためには、保健所と市町村の連携・協働が不可欠と感じる。精神医療は市町村完結ではない。また、保健所には、入退院報告・定期病状報告、通報対応・措置事務、精神科病院実地指導、立入検査、医療計画など、市町村にはない法定業務があるとともに、精神保健福祉法第49条第3項(http://www.ron.gr.jp/law/law/seisin_h.htm)で「保健所による市町村支援」が規定されている。保健所に期待されるのは個別対応だけではない。少なくとも、精神保健福祉資料「630調査」データ分析(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/vision/data.html)をもとにした政策科学としての戦略的な対応が求められる。それは、「医療計画(精神疾患)」「障害福祉計画(精神障害者)」「介護保険事業計画(高齢精神患者、認知症)」「健康増進計画(心の健康)」等の組織横断的対応でなければならない。まさに、精神保健医療福祉は地域包括ケアシステムのモデルの一つと感じる。この資料(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/vision/pdf/data_h22/h22_630_sasshitai.pdf)では都道府県の詳細な実態が出ているが、圏域レベルの実態把握が必要と感じる。「精神医療の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=146953&name=2r98520000037jxk.pdf)を変えるには、医療計画での精神疾患の取り組みがもっと重視されるべきである。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000064165.pdf)p96「一般病床と療養病床以外の取扱いについては、今後、地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会において検討予定」とあり、地域医療ビジョン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)における精神医療も注目である。今年3月20日の新たな財政支援制度にかかる都道府県担当者会議(http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226651633445)で例示された54事業の中での、2番「精神科長期療養患者の地域移行を進め、医療施設の病床削減に資するため、精神科医療機関の病床のデイケア施設や地域生活支援のための事業への移行を促進するための施設・設備整備;精神科医療機関の機能分化を進める観点から、病床を外来施設やデイケア施設等新たな用途に供するための改修又は施設・設備の整備を行う。」、15番「早期退院・地域定着支援のため精神科医療機関内の委員会への地域援助事業者の参画支援等;精神科医療機関の院内委員会へ入院患者本人や家族からの相談に応じ必要な情報提供を行う相談支援事業者等を招聘するなど、地域における医療と福祉の連携体制を整備するための経費に対する支援を行う。」について、先般内示された平成26年度地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000065773.html)では、果たしてどれほど対応されているであろうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする