保健福祉の現場から

感じるままに

近未来健康活躍社会戦略の気になる11点

2024年08月30日 | Weblog
R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42966.html)(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)が出ているが、気になる点が少なくない。
第一に、R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)p2「創薬力の強化による革新的新薬の開発」「創薬イノベーション」について、R6.8.15日刊ゲンダイ「製薬企業リストラ相次ぎ、次の焦点に…小野薬品「オプジーボ」特許切れで生じる衝撃波」(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/359078)で「成長機会を自ら摘み取るようなもの」と報じられる現実は考慮されているであろうか。

第二に、R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)p2「アジア圏等における医療・介護の好循環の実現(インバウンド・アウトバウンドの推進等)」について、例えば、R6.7.22朝日「訪日外国人、医療費未払いの懸念 値切られることも「日常茶飯事」」(https://www.asahi.com/articles/ASS7N2QQ8S7NUTIL01TM.html?iref=pc_apital_top)、R6.8.1CBnews「外国人患者の受け入れ、未収金総額は平均50万円 前年度の2倍超に増加 厚労省」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20240801175820)が報じられているように、訪日外国人の医療費未払いが普遍化している現実は考慮されているであろうか。また、不払いではないが、H30.5.23PRESIDENT「「留学ビザ」で日本の医療費を食う中国人 「抜け道」を作った日本が悪いのか」(http://president.jp/articles/-/25207)も良くない。

第三に、R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)p2「後発医薬品の安定供給体制の構築」について、R6.7.3Web医事新報「【識者の眼】「今秋、厚労省の政策によって未曾有のジェネリック不足に」坂巻弘之」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=24620)の「後発品の需給に大きな影響をおよぼす自主点検、選定療養、薬価削除が10月、ほぼ同時に終了あるいは開始される。厚労省は、これらによって後発品の需要がどの程度拡大するのか、需要変化や他社の撤退に対応できる供給力があるのかどうかのシミュレーションを行わないまま、これらの仕組み導入を進めている。他方、後発品業界の再編など、供給不足への効果もないことに厚労省は無駄に議論の時間を費やしている。その間に事態はひっ迫しかねない。」と懸念される現実は考慮されているであろうか。

第四に、R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)p3「国が先頭に立って、あらゆる手段を通じてマイナ保険証の利用を促進」について、R6.7.17東京「マイナ保険証利用率9.9% 現行保険証の廃止まで5カ月なのに1割に届かない 「無理矢理底上げ」指摘も」(https://www.tokyo-np.co.jp/article/340588)の「あの手この手で税金も使い、なりふり構わず、マイナ保険証を推し進める政府のやり方に、憤りと情けなさを感じる国民は多い」と報じられる現実がある。厚労省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html)では「国家公務員共済組合の利用率」が掲載されているが、今年3月(https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001252339.pdf)でストップしたままである。医療保険部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28708.html)のR6.5.15「マイナ保険証の利用促進等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001255485.pdf)p17「マイナ保険証の利用状況(国共済組合の利用状況) 令和6年3月利用実績」の「防衛省共済組合3.54%(R5,11月実績+1.04)」「外務省共済組合4.50%(R5.11実績+0.73)」「厚生労働省(第二)共済組合4.88%(R5.11実績+0.92)」のその後はどうなっているであろうか。R6.7.27FNN「「マイナ保険証が使われない理由はコレ!」現役医師が脚本、出演の動画が大バズり いま起きているリアルなトラブル」(https://www.fnn.jp/articles/-/735012)の「リアルなトラブル」(https://www.youtube.com/watch?v=faR8fckYa_Y)(https://www.youtube.com/watch?v=j_EfKupPBXc)をみると、R6.8.21弁護士jp「マイナ保険証“本格運用”まで4か月切る「いずれ致命的なトラブルが起きるのでは」 現役開業医が不安を吐露」(https://www.ben54.jp/news/1426)のような思いを抱く方が少なくないかもしれない。R6.8.30「「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律別表の主務省令で定める事務を定める命令の一部を改正する命令案及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第十九条第八号に基づく利用特定個人情報の提供に関する命令の一部を改正する命令案」に係る意見募集の結果について」(https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/1040?CLASSNAME=PCM1040&id=290406071&Mode=1)(https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000278925)について、R6.8.30毎日「マイナ保険証移行のパブコメに5万件超 「情報漏えい」など懸念多く」(https://mainichi.jp/articles/20240830/k00/00m/040/144000c)が報じられている。

第五に、R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)p4「医師偏在是正に向けた総合的な対策」の「保険医制度における取扱い等の規制的手法」はどのようなものであろうか。財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)のR6.4.16財務省資料(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20240416/01.pdf)p64「医師数の適正化及び偏在対策」の「今後の主な改革の方向性」では「経済的インセンティブ;診療所の報酬単価の適正化、診療コストにきめ細かく対応する地域別単価の導入」「規制的手法;外来医療計画における都道府県知事の権限強化、自由開業・自由標榜の見直し」が示され、「診療コストにきめ細かく対応する地域別単価の導入」はp69「診療所の偏在是正のための地域別単価の導入」とあったが、どうなるであろうか。

第六に、R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)p5「後発医薬品の安定供給等を実現する産業構造改革」について、「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_ryutsu-yakka_00002.html)のR6.5.22報告書(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40339.html)について、R6.5.16Web医事新報「【識者の眼】「産業構造を理解していない後発医薬品産業構造検討会報告書」坂巻弘之」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=24319)、R6.7.8Web医事新報「【識者の眼】「『医薬品業界の不正・不祥事は決してなくならない』という知恵」小野俊介」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=24644)が出ているが、医薬品不足解消につながるのであろうか。

第七に、R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)p6「女性の健康や疾患に特化した研究や診療機能の充実等を図るなど、女性が健康に働き続けられるよう支援」について、例えば、「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36255.html)のR6.7.19「一般定期健康診断における女性の健康に関する健診項目について」(https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001277114.pdf)p4「「一般健康診断問診票」改訂案  質問32:女性に関連する健康問題で職場において困っていることがありますか。①はい、②いいえ、③どちらとも言えない  質問33:(質問32に「はい」と回答された方)職場において相談したいこと(配慮してほしい こと)がありますか。①はい、②いいえ、③どちらとも言えない」が示されているが、R6.7.19「一般定期健康診断における女性の健康課題に関する議論の概要」(https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001277113.pdf)をみると慎重な意見が少なくないようで、「受診と事後措置の義務は課さず」(保健衛生ニュース8月5日号)とある。また、「フェムテック(femtech)」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A0%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF)のデジタルヘルス機器に関して、R6.8.1東京大学大学院新領域創成科学研究科「働く女性の健康管理を目的としたIoTおよびアプリの利用実態が明らかに―日本人女性1万人にアンケート調査を実施―」(https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/11069.html)では「働く女性の健康問題を改善するためのIoT/アプリなどのデジタルヘルス機器の普及が進んでいない」という現実がある。

第八に、R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)p6「適切な外国人材の確保が図られるよう、その受入れ・就労環境の整備を推進」「海外からの介護人材の確保に積極的な介護事業者の支援」について、例えば、R6.8.29CBnews「介護福祉士国試、パート合格導入への懸念」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20240827193154)の「スキル担保の方向性と逆行」の懸念を感じる方が少なくないかもしれない。「外国人介護人材の受入れ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28131.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syakai_225506_00001.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38935.html)も良いが、R6.7.4NHK「介護事業者の倒産 ことし6月までに81件 上半期では過去最多に」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240704/k10014500651000.html)が報じられる現実がある。

第九に、R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)p7「保険収載も進めつつ、民間保険の活用も含めた保険外併用療養費制度の見直しの検討」について、R6.5.23経済財政諮問会議(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0523/agenda.html)の厚労相資料(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0523/shiryo_06.pdf)p7「民間保険(先進医療特約等)の活用も関係省庁と連携して検討」が進められるようであるが、例えば、R6.7.2Web医事新報「「AIによる治療提案」サービスをがん中核病院などに無償提供─SBGが米TEMPUSと合弁会社設立」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=24598)では「標準治療で手を尽くした後にしか遺伝子検査を受けられない日本のがん医療の現状を変えたい」が出ている。R6.4.9Web医事新報「【識者の眼】「高額な医療技術・医薬品の『保険外し』論には多面的な議論を」坂巻弘之」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=24072)の「がんや稀少疾患などで効果(臨床上の便益)があるものを、高額であるから、あるいは費用対効果が悪いから公的保険から外すというのは、共助でリスクに備える公的保険の役割そのものの否定ともいえる。自由診療や混合診療においては、情報の非対称性により、設定価格の妥当性を患者(消費者)が正しく判断できず、かえって不利益につながりかねないこともある。であるなら、公的保険のもとで管理し、適正使用をさせるべきであろう。」に賛同する方が少なくないかもしれない。

第十に、R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)p9「新型コロナについて入国者を含めた重層的なサーベイランスを継続、さらに下水サーベイランスを拡充」について、いつまで行われるのであろうか。R5.1.20FNN「新型コロナ“5類”に引き下げへ 専門医「重症化しなければ感染やむなし」マスク撤廃も賛成【静岡発】」(https://www.fnn.jp/articles/-/473648)の「新型コロナができる前に、人に風邪を引き起こすコロナウイルスは4種類ありました。これまでと同じように今回の新型コロナは5番目の風邪になるはずです。」とあり、いずれ「5番目のコロナかぜ」あるいは「武漢かぜ」と呼んでも良いかもしれない。R5.12.13Web医事新報「【識者の眼】「COVID-19ワクチンとCOVID-19根絶、これからの課題に関する考察」西條政幸」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=23287)の「オミクロン株によるCOVID-19はCOVID-19にあらず、COVID-21あるいはCOVID-22などの名前に変更すべきではないか」に賛同する方が少なくないかもしれない。

第十一に、R6.8.30「近未来健康活躍社会戦略」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001295098.pdf)p9「予防接種データベースを整備し、接種情報やレセプト情報等との連結解析等により、予防接種の有効性・安全性の更なる分析を行う体制の構築」について、新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-shippei_127696_00006.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-shippei_127696_00001.html)のR6.8.22審議結果(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001293594.pdf)p3「これまでの進達受理件数:11,773件、認定件数:7,970件」「死亡一時金または葬祭料進達受理件数:1,464件、認定件数:777件」「障害年金進達受理件数:589件、認定件数111件」等は、これまでの予防接種行政(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/index.html)ではみられなかった異様な光景であり、まずは、コロナワクチン(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html)で試行されるべきと感じる方が少なくないかもしれない。そういえば、予防接種基本方針部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127714.html)のR6.3.13「予防接種事務デジタル化及び接種記録の保存期間について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001224835.pdf)p39「事務局案;予防接種に関する記録について、予防接種のデジタル化に合わせ、現状の5年間から延長することとしてはどうか。」とあるが、R4.9.23毎日「関東の2市がコロナワクチン接種記録の保存期間を延長した理由」(https://mainichi.jp/articles/20220921/k00/00m/040/127000c)はあくまで一部の自治体に留まる。
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