友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

酔っぱらって川に落ちる

2023年07月10日 17時22分34秒 | Weblog

 『文豪たちが書いた酒の名作短編集』は、酒にまつわる小説や随筆など15編が集められている。『学問のすすめ』を書いた福沢諭吉が、「生来酒を嗜むというのが一大欠点」と告白している。緒方塾に入門したその日、ひとりの書生が「懇親にお交際したい。就いては酒を一献酌もうではないか」と、声をかけてきた。

 諭吉は「私は元来の酒客、然も大酒だ。一献酌もうとは有難い、是非お供致したい。だが念の為に申し上げて置くが、私には金がない」と告げる。書生は「酒を飲みに行けば金の要るのは当然の話だ。長崎から来たばかりならなら、金のない筈はない」と言うが、諭吉は「何と言われても、ない金はない」と言い切る。

 次に書生に会った時、諭吉が「私は今日も酒が飲みたい。連れて行ってくれないか」と言うと、書生は「馬鹿言うな」と別れて行ったそうだ。新入生に先輩が「たかる」ことを、諭吉は見抜いていたのだ。酒が止められない諭吉に友人が、「煙草を吸って、禁酒に耐えよ」と勧めたため、酒も煙草も止められなくなったとも書いている。

 私が大学生になった時、新入生歓迎会があり、先輩からしこたま飲まされた。帰宅の途中、避けても避けても塀が身体に寄って来て、服がビリビリになってしまった。大学4年の時は、酔っぱらって川に落ちた。先生に指示され東京の出版社で働いていて、2人の先輩に「銀座で飲ませてやる」と誘われた。

 銀座のレストランで食事を奢ってもらい、新橋のバーへ連れていってもらった。バーの女の子に「あなたはもう飲まない方がいい」と言われ、外に出て吐いた。先輩に「先に帰ります」と言ってタクシーに乗ったが、気持ちが悪くなりまた吐いた。運転手に怒られ、とにかく歩いた。東京タワーが見えた。そして気が付いたら水の中だった。

 「オーイ」と叫んでいると上から声がして、「誰かいるわよ」と言う。やがてパトカーが来て、ロープが降ろされ、引き上げられた。「川の中央でなく、川岸に向かったから、運がよかったんだゾ」と、警察官に諭された。最初の「九死一生」の事件だった。


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