友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

頭金はプレゼントだと恰好をつけた

2022年10月27日 16時22分20秒 | Weblog

 三浦綾子著の『塩狩峠』は自己犠牲の物語である。北海道の塩狩峠に差し掛かった列車の連結部分が外れ、暴走し始める。婚約の為に札幌に向かっていた青年は、今、自分が線路に落ちれば暴走列車を止めることができると判断する。青年の命と引き換えに列車は停車し、乗客は全員救われた。

 凄まじい自己犠牲の物語だ。三浦綾子さんはキリスト教徒だから、十字架の上で殺されたキリストの死は、人々を救うためだったという意味を込めてこの物語を書いたのだろう。命を捧げた訳では無いが、ある意味ではそれ以上の犠牲を払った女性がいる。

 彼女の愛する男は敵対する集団に襲われ、瀕死の重体となった。生きていて欲しい。安否が知りたいし、どこの病院に入院しているのかと焦った。男と親しかった男に、藁をも掴む思いで電話をした。すると男は卑劣にも、「1晩付き合うなら教える」と答える。彼女は悩んだ、悩んだ末に受け入れた。

 好きでもない男に抱かれ、吐き気がする情交だった。それもこれも、愛する男の安否が知りたかった為なのに、病院には行けなかった。男には妻子がある。黙ってお見舞いの花を託すしかなかった。受け取った男はすぐに彼女だと気付いた。回復した男は、誕生日の度に彼女の職場に花束を贈った。

 女に尽くした先輩もいる。キャバレーで知り合った女に惚れた先輩は、女に頼まれて店を持たせるために頭金を支払った。女は彼が店に来ると喜びもてなしたが、店が繁盛してくるといつしか軽い扱いになった。それでも男女の仲でもあったので、愚痴も言わなかった。しかし、別れはやって来た。「頭金はプレゼントだと恰好をつけた」と話す。

 今晩はカミさんたちの「誕生日ゴルフ」の反省会に、ゴルフをしない私も呼ばれている。深酒にならないように注意しよう。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 素直でいい、羨ましい限りだ | トップ | 秋の散策にふさわしい日より... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事