友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

肝心なことは多くの人が納得できること

2012年02月24日 19時52分34秒 | Weblog

 作家の塩野七生さんが、古代ローマの共和政時代に存在した独裁官のことを書いていた。そんな記事を載せているのは朝日新聞だろうと思って、この何日間を調べてみたが無い。中日新聞の間違いだったのかと思って、同じように古新聞を眺めてみたけれど、やはり見当たらない。無いものは仕方がない、そう諦めて、もう一度『共喰い』を読んでみようかと思い、文芸春秋3月号を寝転んで見ていた。ところがそこに、私が気になっていた塩野七生さんの記事はあった。

 

 新聞に載っていたとばかり思い込んでいたのだ。このところ、そういうことが多くなった。「ホントに勝手に思い込むんだから」とカミさんに注意される。マンションの改修工事について、組長さんが集まる会議で「工事が承認された」という議事録が回覧された。それを見た人たちは、1千万円かけた大工事が行われると抗議の集会を持った。組長のひとりである私は、「プランも金額も決まっていない。どういう工事にするかはこれからみんなで決めていくことで、会議では工事を行うことを了承しただけ」と説明しても、カミさんらは「あなたの思い込みだ」と言う。

 

 執行する側の説明がキチンとされないので、誤解を生むことが多いし、逆に執行する側が説明をあいまいにして強行してしまうことも多い。マンションの住民も、政治の流れを敏感に感じ取っていて、政府が国民をだまして強行するように、自分たちにいい加減なことを言って、役員は業者の言いなりに工事をしてしまうのではないか、そんな空気が読める。政治不信はこんなところにもあるのだ。

 

 塩野七生さんが取り上げていた独裁官は強大な権限を持ち、その決定には誰も反対できない。目前の課題というか危機からの脱出するだけが任務で、任期は6ヶ月だという。任期の終了後はただの人となり、政治は選挙で選ばれた執行官に戻る。古代ローマ時代から、人間はいろいろと悩み、その解決策を考えてきたようだ。そして今、民主主義という「思想と制度」を手に入れた。ところが、世界の主な国はなかなか何も決められないと事態にぶち当たっている。多様な意見は、強力な政策を押し進めることを阻害している。

 

 政治がもたもたしていると、国民はイライラして、早く強力なリーダーが決めてくれないかと願ってしまう。それが大阪市の橋下市長へのラブコールだろう。個人の思想信条さえも調査しようとする治安維持法的発想の人なのに、何もしない政治よりはマシと思われている。たとえ6ヶ月の期限付きであっても、実際には橋下市長は4年間は居座るつもりだが、ひとりの人間に権力を集中させる政治はごめんだ。もたもたしていてもいいじゃーないか、みんなでボチボチ進めれればそれでいい。そういう思想を持たないといけないだろう。

 

 マンションでも早く決着をつけてしまいたいと思う人は大勢いる。私は気が長いから、そんなに慌てて決めなくてもいいと思っている。肝心なことは、ひとりでも多くの人が納得できることだろう。

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