木曜日の夜はテレビドラマを連続して観ている。9時からはTBS系列のCBCテレビで『MOZU』を、10時からはフジ系列の東海テレビで『続・最後から二番目の恋』である。続けて観るのはちょっとしんどいが、全く別の作品だから面白い。『MOZU』の方は、これまでの日本のドラマにはなかったと思うほどハードボイルドで、まるでアメリカ映画を観ているようだ。主人公を演じる西島秀俊さん、脇役の香川照之さんらがやたらとタバコを吸うところもアメリカ作品を意識しているような映像である。
警察の中の公安が舞台だけれど、初めはいったい何が描きたいのかよく分からなかった。タバコの煙ばかりが目立っていて、どういう事件なのかもつかめなかった。昨夜になって、事件の黒幕に内閣官房長官がいて、その男が警察庁、警視庁とは別に公安庁を創設し、盗聴や盗撮あるいはインターネットによる情報収集を屈指して国家機構を牛耳ろうとしていることが判明してきた。国家が存続するためには犠牲が伴うという政治の役割を説明しているようだった。
公安の警察官で、妻を事件で失った男を西島さんが演じている。彼は「真実を知りたい」と、事件にかかわっていく。そんな彼に、事件の推進役でもあった男が、「たとえ真実を知っても、事実を変えることは出来ない」と言う。「事実を知っても真実は変わらない」の逆説である。なぜ、妻が死んだのか、と彼は追及する。そして真実を知るとしても、妻が亡くなった事実を変えることはできない。どういう経過を辿って死んだのか、たとえ事実が明らかになっても、真実がどこにあるのかまでは解明できないわけだ。
国家とか社会とか組織とか、重いテーマの後で観る『続・最後から二番目の恋』は、中井貴一さんと小泉今日子さんのやり取りが抜群で、掛け合い漫才を観ているようだ。前編の時もそうだったけれど、面白おかしく描きながら、気の利いたセリフが随所に出てくる。中井さんと小泉さんがベランダでお酒を飲みながら話す場面で、年齢を重ねることもいいねという会話があった。「歳を取ると分からないことが分かるようになる。分かったと思うけれど、それがまた分からない。まだ、まだですね」。
明日は宮参りのためにブログを休みます。