友々素敵

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消費者の趣向は10年で変わる

2013年03月26日 19時47分34秒 | Weblog

 20年か30年か前のことだ。この地方で一番大きな都市の商店街の一番奥にあった、大型スーパーが撤退するというので、街中が大騒動になった。スーパーがなぜ撤退するか、その説明会が開かれた。その時、スーパー側から説明に立った社長の言葉に、私は衝撃を受けた。説明の細かいことは忘れてしまったけれど、肝心なことはこんなことだった。

 消費者の趣向は10年が限度である。同じ場所よりも、その次を見越した場所へ移転することは小売業の宿命である。そうすることで売り上げを伸ばし続けなければ生き残れない。デパートが何年に1回は必ず模様替えを行なうのもそのためである。同じ場所で、同じ商品を、同じ方法で売っていたら、その店は潰れてしまうだろう。

 ちょうど、車社会へと変わる時で、駅前の商店街から店が減り、郊外に大型店が造られていく時代だった。私はアメリカに行った時、もちろんアメリカは広すぎるからだけれど、砂漠のようなところに、何でも揃っている「モール」と呼ばれる場所へ連れて行ってもらったが、それが日本にも出現したというわけである。

 私の生まれた街のことを思い出す。昔からの商店街にアーケードが出来、やや遅れて駅前に新しい商店街が出来ていった。何十年ぶりに故郷に帰ると、昔からの商店街はシャッター通りになり、駅前の商店も数はうんと減った。それに代わって、郊外に新しい商店がひとつの街を造っていた。車社会は商店の形を変えてしまったのだ。

 ところが車の少ない東京では郊外型の大型店が見当たらない。名古屋市でも大型店があるのは、比較的新しく街が形成された地域ばかりだ。ヨーロッパは、イタリアとスペインしか行ったことがないけれど、アメリカのような大型店は見なかった。昔ながらの商店が軒を並べている風景は、東京の下町のそっくりだった。

 時代は変わり、消費者の趣向も価値観も変わる。同じ商品がいつも同じようには売れるとは限らない。日本の電化製品の技術を韓国や中国が盗んだと言う人もいるが、日本もアメリカの商品を真似して売り上げを伸ばしてきた過去がある。ところが今、世界の先進国はどこも人口減の傾向にある。物を作る技術は高くなっているのに、消費者が少なくなっているのだ。

 これが時代というものなのだろう。アメリカ型の社会からヨーロッパ型の社会に日本も変わっていくのかも知れない。人々が何を望むのか、何に価値を置くのか、そうして少しずつ変化していくのだろう。

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