沖縄へ孫娘とふたりで旅行してきたカミさんに、「沖縄はどうでした?」と感想を聞くと、買い物の話をする。どこどこの店ではいくらだったものが、国際通りの店ではいくらだった。「ガッカリしちゃった」とか「凄く損した」とか、嘆き節である。同じものでも品質が違うということもあるし、たとえ同一のものであっても、そんなにガッカリすることはない。じゃーどのくらい差があったのかといえば、わずか何百円という程度のことなのだ。「私が選んだものが最高と思った方がいいよ」と慰めるけれど、本人は納得いかないようだった。
3泊4日の旅行にしては費用もかなりお得な設定になっている。しかし、泊まるホテルは最高級という。沖縄での行動は午前10時から午後5時までとゆったりしている。カミさんと孫娘はホテルライフを楽しんだようだ。沖縄は軍事基地が目立つけれど、彼女たちのコースには軍事基地も沖縄戦の遺跡も目にしない。今、沖縄はこうした観光に力を入れているようだ。そういえば、旅行各社の新聞広告でも沖縄や八重山諸島が多い。NHKの朝ドラマも再び宮古島に戻った。
それでも沖縄の観光収入は日本国内では下位クラスだそうだ。カミさんの話を聞いて、沖縄に来る観光客はそんなにお金を使わないからなのだと分かった。軍事基地が無くなれば沖縄の人々が一番困るはずだと言う人もいるが、私はそうは思わない。沖縄の人々が本土並みの生活を維持しようとすれば困ることになるかも知れない。けれど、沖縄は暖かい、人も温かい。「なるようになるさね」とのんびり暮らしていくだろう。
沖縄に行った時、どう見てもここは日本ではないと私は感じた。言葉も違うし、文化は中国に近い。軍隊を持たず、強国には貢物を行なって生き抜いてきた。軍事基地が無くなっても、それなりに知恵を出して生き抜いていくはずだ。今、沖縄は日本一の長寿の座を失ってしまった。それは戦後生まれの人たちの食事に原因があると言われている。米軍が駐留し、沖縄の人々も肉やスナック菓子を食べるようになったからだと。
その現象は多分、日本中に起きるだろう。戦前の人たちは粗食だったし歯も丈夫だ。けれども戦後生まれは、飽食でしかも油っぽいものを食べている。高齢者がどんどん増えた時代から徐々に減る時代へと移っていくだろう。戦後、昭和20年から30年生まれの人々が高齢化を迎える頃は、戦前生まれの人々のような長生きはいなくなる。早死にを食い止めようと、医療関係者は研究しているそうだけれど、自然なサイクルと受け止めることは間違いなのだろうか。