友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

映画『4月の雪』と『ひまわり』

2011年01月22日 22時55分14秒 | Weblog
 韓国映画のスターで、おば様たちが憧れるペ・ヨンジュンが出演している映画『4月の雪』を観た。『冬のソナタ』のように、雪景色の小都市が舞台だった。1台の車が事故を起こし、人を撥ねて殺してしまうが、車に乗っていた男女も意識不明のままである。男の妻と女の夫が病院へ駆けつける。しかし、どうしてふたりは一緒だったのか?そこから物語りは展開していく。同じビジネスホテルに宿泊する男の妻と女の夫は、初めは敵対するような間柄だったのに、男と女がただならぬ間柄であることを知るうちに、ふたりは相手を意識するようになる。お互いに惹かれ合う何かを感じるのだ。

 女の夫役がペ・ヨンジュンだが、相手の男の妻との恋に落ちていく儚さというか、悲しさというか、なかなか見事なラブストーリーである。『冬のソナタ』の時とは全く違っていて、冬ソナが初恋ならば、こちらは大人の恋で、ベッドシーンもあった。相手の女優さんの裸の背中がビックリするほどきれいで、それだけで充分事態が理解できた。男と女は寝たっきり状態であったけれど、男は息を引き取り、女は息を吹き返した。ヨンさんの妻は生き返ったのだが、彼はなぜともどうしてとも問わなかった。

 ラストシーンは車で走っているところで、これは映画の中では2度目の場面だ。最初の場面はヨンさんと男の妻がすでに仲良くなっていた時のドライブで、「どこへいこうか」とヨンさんが言う。女が「あなたの好きなところでいいわ」と答える。そしてふたりはホテルで抱き合うことになる前の場面だ。ラストシーンでも同じようにヨンさんは「どこへいこうか」と聞く。すると相手は同じように「あなたの好きなところでいいわ」と答えるのだが、果たして隣の女性は妻なのか、あるいは女なのか、顔が写されていないので分からない。

 私は妻の方が普通だろうと思うけれど、女の方かもしれない。すると、ヨンさんは妻を昔のままに受け入れているけれど、女の方に心惹かれているのだと映画は語っているのか。その描き方はかつてのフランス映画のように微妙で美しいから癪だ。どうして日本にはこういう美しい映画の撮り方が出来ないのだろうかと思ってしまった。もし、隣にいるのが女であれば、現実はなんと大胆かと言える。小説でしか本当のことは書けないというけれど、確かに現実の生活はいやらしく複雑なものだが、これを映画も小説もひとつに切って見せてくれる。

 イタリア映画の『ひまわり』は、第2次世界大戦で、ソ連との戦場に送られた男を愛して待ち続けた女の物語だ。女をソフィア・ローレン、男をマルチェロ・マストロヤンニが演じていた。昔はソフィアの豊満な肉体ばかりに目がいっていたけれど、この前、テレビで上映されていたのをふと見て、こんな愛憎の物語だったのかと知った。愛し合った男と女であったのに、戦争のためにふたりは引き裂かれた。再び、やっとの思いで巡り会えた時、男は結婚し子どもがいる。男が再び女のもとに会いに来るが、女は結婚しやはり子どもがいる。その最後のシーンは、別々の道を歩む選択をするというものだった。

 男と女の物語の描き方も、1970年の『ひまわり』と2010年の『4月の雪』では40年の差があるが、なるほどなと思った。
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