友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

鎌田實さんの講演会に行ってきた

2011年01月16日 21時45分59秒 | Weblog
 朝から雪が断続的ではあるが降っている。もう随分積もった。写真を撮っておきたかったのに、残念ながらケイタイは昨夜から電池切れだ。それにしてもこんなに積もるとは思わなかったし、天気予報で「平野部でも雪になることがある」とはあったが、マークは晴であったので、大丈夫だろうと朝日新聞社へ出かけていった。伏見は雪景色で、都会の雪模様をカメラに収めようとする何人かに出会った。

 『人は一瞬で変われる』のタイトルで講演したのは、諏訪中央病院の鎌田實さんである。私が聞いてみたいと思ったのはタイトルからではなかった。鎌田さんは1948年生まれ、私よりも4つ年下の全共闘世代である。個人参加の全共闘は全国の大学に広がった。これは後になってのことだけれど、今井澄さんと鎌田實さんの名前を私が知ったのは、全共闘の闘士が地方の赤字病院を立て直したという何かの記事だったように思う。

 全共闘の闘士であった人がどんな話をするのか、興味を抱いた。履歴を見ると1974年に諏訪中央病院に勤めているから、今井さんと一緒に行くことにしたのだろうか。ここでふたりは「住民とともにつくる地域医療」運動に取り組む。年上の今井さんが40歳で病院長になり、その後を鎌田さんが引き継いでいる。鎌田さんはチェルノブイリ救援活動やイラクへの医療支援などを続けている。「困っている人がいるのだから、助けよう」。これが蒲田さんが医者を目指した原点であり、諸々の活動の原点でもあるようだ。

 講演の始まりも、そこからだった。医学生の最終目標は医大の教授になることにあるようで、田舎へ行ったのでは出世から取り残されると友人から忠告されたのに、諏訪へ来てしまったのも、困っているのだからという点にあった。信州は脳卒中で亡くなる人が多い。それは食生活に原因がある。だから食生活を変えることだと切々と説く。人々は「わかった」と言うが、なかなか変わらない。分かるだけでは変わらないのだ。ところがある時、検査の数値がよくなった人がいた。そこで思わず「よかったね」と自分も嬉しくなって叫んだところ、その患者はさらによくしようと努めるようになった。自分が変わらなければ、相手も変わらないのだと分かったと言うのである。

 男はダメだけれど、女はしがらみや歴史を横における。だから平和を実現できるのは女の人がキーポイントだと言う。今、日本をダメにしているのは、空気を読むことに熱中しているからだ。日本が戦争に突入していったのも、空気を読むことを大切にして、自分で考え自分で判断することを怠ったからだ。人がどうかではなく、自分がどうかと考える、そして自分で決めることが「強くて、暖かくて、優しい」人や国になる道だと説く。

 これまで合理的あるいは合理性ばかりを求めてきた。それが今日の社会問題の根源にある。包丁のない家がある。つまり料理をしない家だ。包丁を使わせない、ナイフを持たせない、だから鉛筆も削れない。自分のことしか考えない。人の死を見たこともない。確かに人間は歪だ。優しそうな顔をしていても冷たいところがある。そういうまだらなものがあることが人間なのだ。そう思ったら、楽に生きられる。人は人とつながっている。99%は自分のため、でも残りの1%は誰かのために使ってみよう。それが結びだった。

 なかなか味のある話であった。そして全共闘世代が到着した地点はここだなと合点した。
コメント
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