みのハイキングクラブ

友と山に登り、自然に親しみ、心身を健やかに、親睦を深めます。

霧訪山ー大芝山

2018-05-09 | クラブ山行

クラブ報告

2018年5月6日(日)   天候 晴れ     参加者 39名
   

CL 長谷川さん
 「霧が訪れる山…きりとうさん」響きの良い名、叙情を感じさせる名の山、さらに大展望が得られる人気の山である。霧訪山は太平洋に流れ込む天竜水系と、日本海に流れる信濃川水系の分水嶺にあり、気候の変化も著しく、山名の如く霧がよく発生し、雨乞いの山として崇められてきた。オキナグサが咲く山頂は戦国時代武田信玄がのろし台として利用したとも紹介されている。今回は花で名高い北側の大芝山からの縦走コースを設定してもらえたので期待を抱いて参加した。

 定刻前に関をスタートし恵那峡SAで可児発の1台と合流し8台で小黒川PAへ向かう。恵那山トンネルを抜け伊那谷へ入ると東に南アルプス連山のシルエット、西は間近に中央アルプスの白い山々が望め好天が期待された。小黒川PAで休憩後に伊北ICから北上した国道153は旧伊那街道・三州街道で小野宿の雰囲気を残し、辰野町・塩尻市境界付近の国道を跨ぐ信濃国二之宮小野神社・矢彦神社の大鳥居を潜って進むと伝説から名付けられた善知鳥峠(うとうとうげ)に着く。分水嶺公園から200m程北に登山者用駐車場が設けられていて下車し登山準備。準備中に各車両は北小野登山口Pに移動し、運転者一同がデポ車で峠駐車場へ戻ったら各自ストレッチを終えておられた。リーダー指示は何故か小生の属するD班を先頭にA~Cの4班編制、脱落懸念ある小生への配慮かも?。スタートしてすぐの路傍にニリンソウの群落やヤマブキが迎えてくれ幸先良し。分水嶺登山道と名付けられた道は地形図の破線路とは違った位置だったが尾根取付から暫く急坂続きで息が弾んだ。10分余登った鉄塔から大芝山方向が望めヤマツツジの咲く赤松の多い尾根の高度を上げて行く。標高950m付近から緩やかな巻道となり1020m標高で主尾根に乗った。付近はカラマツの新緑が眩しいほど美しかった。イカリソウ・ヒトリシズカなどに迎えられて進み3ツ目の鉄塔に着いたら甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳が望めた。1200m標高に着くと「大芝山の肩」標識が有り、洞の峰展望台への名前に魅せられ一部の者のみ進んでみたが距離が有りそうで鉄塔手前でUターン、10分程のロスタイムとなった。平坦な稜線は芽吹きの明るい雑木林が続き名残のカタクリも見られた。特徴の無い平坦地の太い木の横に「大芝山」の標識が立てられて山頂と判るが標識が無ければ通過してしまう。WEBで紹介されていた通り、ここからは林床にニリンソウ大群落、カタクリやラショウモンカズラなども見られ10分程は光と新緑と花のプロムナード。大芝山から下る途中で団体さんと擦れ違う。聞けば北麓の山ノ神自然園を起点として周回中の美濃加茂山岳会さんご一行30名程とか。遠隔地で岐阜の人達と出会うとは奇遇であった。鞍部から僅かに登った鉄塔脇1080mピークが「たきあらしの峰」標識で通り過ぎた大芝山や北アの常念岳等が望めた。平坦地西端で小憩、「もぐもぐタイム」と言う流行の時間となりエネルギーを補給。ここから道はほぼ90度南西方向に向かう。1196m標高点へ着くと「北小野新登山道」分岐標識があり霧訪山30分と記されていて「ようやく着くか」と期待が高まった。1220m標高まで進んだ南側植林、北側雑木の稜線に「ブナの分れ」標識。周囲を見回したがブナの木は見られず不思議。北へ下れば山ノ神自然園に達し霧訪山は20分の地点であった。すぐ先に男坂・女坂分岐標識が有りGLさんよりどちらのルートでも良いとの許しをもらい花が多いとされる女坂を進んだ。男坂は植林境界尾根の直登で、女坂は明るい雑木林の中をジグザグに登っていて最盛期ならカタクリが美しいらしい。振り返ったらこの坂を辿ったのは6名のみ、元気な仲間達殆どが急坂も苦にならない様で男坂を登られた。1260m標高で両坂は合流、北に穂高連峰が望めて感激した。ここからは緩やかな明るい雑木林となり山頂直前は立木が伐採され山頂台地に先着した仲間達が見えた。

 やっと辿り着いた山頂中央に2等三角点が鎮座していた。点の記によれば点名は「きりとひやま」明治35年埋標で保護石も有ることになっているが見当たらない。柱石が新しいのは昭和61年(1986年)に交換されたとあった。仲間達は360度の展望や山頂に祀られた会地社(おうちしゃ)周辺に保護された絶滅危惧種のオキナグサ撮影に余念が無い。リーダーから「先に記念写真を撮るよ」との声が有り撮影を終える。終了後13時まで休憩との指示で各自お気に入り場所に陣取って賑やかなランチタイムが始まった。小生は北アを眺めるベンチに腰を下ろし3度目の登頂にして初めて見せてくれた大パノラマに感動しながら摂った。先客の登山者達はいつの間にか消えておられ人気の山なのに我がクラブの貸切状態となっていた。食後はデポ車回収の先発隊3名を見送り予定時間まで改めて山岳展望を楽しんだ。御嶽山は頭部のみを見せていて鉢盛山の三角形が目立つ。穂高連峰から槍ヶ岳・大滝山・常念岳・燕岳辺りまではクッキリ見えたが以北の山々はボンヤリで残念。来し方大芝山の彼方は鉢伏山・美ヶ原。霧ヶ峰の東は蓼科山から連なる八ヶ岳の山々。入笠山・守屋山を前景に南アは甲斐駒ヶ岳・北岳・仙丈ヶ岳・塩見岳、赤石岳辺りからはボンヤリとなりこちらも残念。中アは経ヶ岳の大きな山塊に遮られていた。

 定刻となりA班からかっとりコースを下山開始、わがD班は最後の下山となり誰もいないスッキリとした山頂が撮れてラッキー。道はミツバツツジが咲くいきなりの急坂で始まった。少し下った北の展望地から大芝山や鉢伏山を目に焼き付け、茸山入山禁止看板の目立つヤセ尾根左右のロープに助けられ、爽やかな松籟を聞きながら下る。トタン葺きの避難小屋前にも少し展望が有った。その下で北小野新登山道が合流し下って行くと鉄塔の平坦地となり「かっとり城跡」の標識が立っていた。戦国期の山城らしいが検索しても詳細不明であった。そこから10分程で御嶽大権現碑に着く。1811年に御嶽講の信者が建立と案内されていたが、御嶽山は見えず遙拝もできない場所に有るのが不思議であった。最後は257段のプラ階段を下りやっと横断幕の登山口に帰着。駐車地へ着いたら先発されたデポ車回収隊は既に戻っておられ韋駄天下山に驚いた。リーダー達が心遣いされたコーヒーで疲れを癒し、リーダー挨拶や新会員さん達の感想をお聞きし現地解散となった。

 企画して頂いた山行部、当日の諸役の皆さんに感謝。小生には天候と展望と花々と仲間達に恵まれた幸せな一日であった。下山時刻が早かったので各車渋滞も無く無事帰着できたと後日聞いた。

  感動の花々の名は毎度の事ながら花咲人さんにご教示願った。

クサボケ、ニリンソウ、イカリソウ、ムサシアブミ、ノイバラ、ラショウモンカズラ、カタクリ、エンレイソウ、シロバナエンレイソウ、キジムシロ(黄色)、ルイヨウボタン、ミヤマスミレ、ミツバツツジ、オキナグサ、チゴユリ、ヤブレガサ、マイズルソウ、クサフジ、ヒメオドリコソウ

 ※オキナグサ 山頂の保護区域に咲いていた
絶滅危惧II類 (VU) 白く長い綿毛がある果実の集まった姿を老人の頭にたとえ、翁草(オキナグサ)という。 ネコグサという異称もある。毒性植物なのに花言葉は華麗・清純な心とある。

 ※会地社(おうちしゃ) 山頂の祠 
由緒書には「小野神社の境外社の一つで小野の一番高い霧訪山(1305米)頂上にまつられている。祭神は伊装諾命(いざなぎのみこと)と・伊装冊命(いざなみのみこと)であり神代の昔我が国土・山川草木はじめ、万水・万物の主宰天照大神をはじめ神々を生み成なされた夫婦の神である。古代山岳信仰の地で、健御名方命が跋渉された旧地といわれている。地元では古くから雨乞いの神としても信じられてきた。」

 ※小野宿や、山麓の矢彦・小野神社の由来、憑の里(たのめのさと)と言われる辰野町・塩尻市両小野地区の歴史、善知鳥峠(うとうとうげ)の民話など登った山以外に興味深い事が数多く有るも、山行記録として馴染まないので割愛したが関心の有る方はぜひ検索してみて欲しい。 
                                                                    (記録担当 水野Oさんの報告より)


                                                                    (写真提供 須田Kさん)

 

 登山道脇の

                        (写真提供 須田Kさん)


     
                                                                                                        
(地図提供 須田Kさん)


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